住宅クレーム110番
J110 News

24時間換気システムのため室内が寒い


<北海道釧路市・TYさん(男)>


 「24時間換気システムを義務づけた建築基準法は誰のための法律でしょうか」について。
 私も、昨年12月に新居に引っ越しました。私の所も24時間換気システムが義務づけられているからと、取り付けていますが、室内が非常に寒い。業者さんに聞いたところ、熱交換式だが外気温との差はせいぜい5度ほどといいます。
 当方、北海道ですので、外気温が氷点下20度であれば、氷点下15度の空気をがんがん室内に入れていることとなり、窓を開けて暖房をしているのと同じです。今では、換気システムのスイッチを切っております。こんなものを、わざわざ高い金を出す必要があるのでしょうか? みなさんの所では、どうなんでしょうか?



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 個別換気を採用している住宅は無換気状態にあるといえます。台所・浴室・トイレの個別換気扇は使用時以外止まっており、24時間換気扇が設置されていない場合、館内において通常の状態は無換気状態になっています。人が暮らす以上、汚れ・臭い・湿気・炭酸ガスなどを排出します。また、住宅の気密化に伴い、さまざまな使用材料から排出されるVOCからシックハウス症候群・化学物質過敏症などの問題が起きてきています。
 このようなことから、換気回数が0.5回/hの24時間換気扇が義務づけになりました。生活する人数・生活様式によって決められているものではなく、画一的に建物の床面積から決められているものなので、現時点では実態に合っていないにしても、30年・50年スパンで考えると、やはり規定のものを設置し、その上で実生活に合わせて24時間換気扇を調整して住まいするものと思います。
 確かに換気をすることは暖房エネルギーを大なり小なり放出することになりますが、健康衛生上のことも大切になるので注意が必要です。私のお客様で24時間集中換気扇を止めたいという方がいました。私の答えは、手動による窓の開閉などで必要な量の新鮮空気を入れ替え、室内の空気を自己管理できるのであれば止めても良いです。その時には換気不足による結露が一番心配なので、建物内の一番弱い所(北側の2階個室の押入れの北角の物の裏)を毎日点検して、結露がないことを監視ししながら暮らすこと。また、小屋裏に断熱点検口を設置して、屋根裏が結露していないことを監視することも条件にしました。換気をケチって建物を傷めてはなんにもなりません。この住宅は自然素材にこだわり、化学物質の検査をしっかり行い、数値が非常に低いことを確認しています。換気を低く抑えるのであれば、このことも条件になると思います。
 建物の性能も条件になります。隙間相当面積(C値)が1.0cm2/m2以下でなければ、24時間セントラル換気システムは性能を発揮しませんし、全館暖房の計画がキチンとなされないと換気による影響を受けることになります。
 「高気密・高断熱・計画換気・全館暖房の建物で、自然素材などの使用によりVOCの数値が低いこと」がクリアできて、初めて自己責任で管理できる省エネの住まいになりますので、建物の性能を確認の上、判断することをおすすめいたします。

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