住宅クレーム110番
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排気の臭いが逆流してくる


<神奈川県横浜市・MKさん(会社員・27歳・女)>


 築30年以上、内装リフォーム後4年、という賃貸物件に最近引っ越して来ました。
 内見のときには何でもなかったのですが、いざ暮らしてみると、キッチンの換気扇のところから油くさい排気の臭いが逆流してくるときがあります。どうも換気扇の先の管が、上下右の部屋と共同でつながっているようです。いるときには換気扇をこまめに回したりはしていますが、留守中、止めたりしていると、戻ってきたときにはその臭いが充満していることがあります。簡単にできる対処法等があるようでしたら、知恵を貸していただきたいです。よろしくお願いいたします。



お答えいたします
山本技術士事務所
所長 山本廣資


 30年以上前の分譲型マンションで、厨房・浴室・便所が外壁側に接していない場合の換気設備は、屋上まで立ち上がっている共用シャフトに換気扇等で排気し、シャフト頂部のガラリやベンチレーターにより屋上で外に排出されるシステムが一般的でした。当時の小型ファンが、ダクトで直接外に排気するには力が弱かったためです。
 しかし後述するように、MKさん宅のようなトラブルが多いため、強力なレンジフード・換気ファンの発達と共に、各戸別に専用ファンで直接外に排気するシステムが一般的となりました。
 MKさん宅のような、共用シャフト方式の場合の問題点は、うまく設計していないと住戸の排気が他所の住戸に流れてしまうことです。
 これを防ぐためには、
(1) 屋上のシャフト頂部に自然通風型、またはファンつきのベンチレーターが設置されているはずです(このファンが止まったままではないでしょうね)。初期のマンションでは、ガラリが一面だけに付いている場合があります。この場合は風がガラリに吹き付けると、排気ができませんから、臭気は換気扇を使っていない住戸に流れることになります。2面ガラリでも完全ではありません。
 したがって、
(2) 逆流防止装置またはレンジフードと連動の電動ダンパー(ダクトの開閉装置)が必要です。レンジフードの逆流防止装置は、出口側に付けられている鉄板の蓋状のもので、ファンが運転されると風に押されて上に開き、止まるとパタンと下がるようになっています。反対側から別の部屋の排気が流れてくると押されてダクトがふさがれるので、逆流は防止されるわけです。プロペラ型換気扇にはシャッターが付いています。いずれにしても(1)との関連もあって、完全に密閉できるというわけではありません。
 どのような装置がついているかは、竣工図書の機器取り扱い説明図を見てください。

 MKさん宅だけのトラブルでしたら、(2)のケースと思われます。逆流防止装置または連動の電動ダンパーの作動不良でしたら、修理が必要です。逆流防止装置は、鉄板の蓋がダクトの上のほうに引っかかっているのが原因で、排気が逆流するという簡単な構造ですから、ファンを外して自分でも調整できます。
 これらが付いていない場合は(何しろ30年以上前ですから)付けてもらってください。電動ダンパーのほうが有効でしょう。

 他の住戸でも同じような現象なら、(1)のケースが原因でしょう。賃貸物件とありますが、賃貸マンションなのですか。それなら大家さんは1人なので改善を依頼できます。
 分譲マンションの場合は、管理組合に諮らなければいけませんから、解決には時間がかかります。通常は(2)の解決策で十分でしょう。

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