住宅クレーム110番

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浴室の断熱について


<千葉県千葉市・HTさん(会社員・33歳・男)>


 2009年11月に新築の家が完成し、初めての冬を迎えました。浴室を使うたびに、リビング(暖房入)との温度差があります。浴槽を触ると、とても室内とは思えないくらい冷たいです。浴槽の点検口から、床下を覗いたところ、基礎が見え、断熱がされておりませんでした。施工業者に聞いたところ、湿気るので断熱材は施工しないと言っていました。
 普通、浴室下などには断熱材は施工するものなのでしょうか? また、施工する場合どのような施工が必要なのでしょうか? これらの基準などは何から調べたらいいのか分かりません。お手数ですがご教授お願いいたします。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
SUDOホーム
代表 須藤芳巳

ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 床を断熱している住宅であれば、当然ユニットバス(以下、UB)の床部分も何らかの断熱をするべきです。住宅の断熱・気密を捉えたとき、UB部分だけ断熱・気密がなされないのは不備なことになります。
 断熱の工法で基礎断熱(外断熱)の場合は床下が内部として考えられるのでUBの床下に断熱材の必要がなく断熱・気密の施工は不要なのですが、一般的な床断熱の場合はUBの床下が外部になるので、基本はUBの床部分も床断熱施工が必要になります。
 しかしながらUBの浴槽の床(排水を入れて)は一般床から20〜30cmほど下がる納まりになるため、基礎の高さが少ない場合は床下の施工がしにくくなります。その場合として、「布基礎(人通口有)をまわしてUBの下部を外部空間から区切る」「UBの下部と土台取り合いに発砲ウレタン吹く」等の施工法もありますが、高断熱・高気密の住宅であれば基礎断熱か床断熱して断熱・気密を図ることが基本になります。 したがって、今回の施工業者の「湿気るので断熱材は施工しない」というのは間違った考えになります。
 これからの対処の方法としては、上記のようにUBの床下を外部から区切るか、UBの床下に発砲ウレタンを吹くことをおすすめいたします。各メーカーのUBでは浴槽のお湯が冷めないように、オプションで保温材付き(メーカーにもよりますが洗い床にも薄いですが断熱材パック付きのものもあります)のものが用意されています。


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工事請負契約を債務不履行として、法定解除はできますか?


<座間市・Hさん(会社員・30歳・男)>


(1)工事請負契約時に、重要事項説明がなかった。
(2)基礎の砕石(工事請負契約の設計図面の基礎伏図には砕石)に、建築主に許可なく、粒度分布のばらつきが著しい(多いもので150〜200mm)タイル・コンクリートブロック・アスファルトブロック・軽量ブロック・針金等の混入したものを使用し施工した。工事請負契約の設計図面と違うことを指摘すると、建築主に許可なく工事請負契約の設計図面の基礎伏図を変更し、砕石厚を120mmから50mmに減じて再施工した。ゆえに、同一箇所に2度の契約違反があった。



アドバイスいたします
近藤修弘(北海道建築士会 小樽支部 青年委員長)

 結論からいえば、債務不履行として法定解除できないものと考えられます。請負契約の解除には、請負契約に特有の瑕疵担保責任と、一般契約に共通するものとして双方の合意による合意解除があります。
 瑕疵担保責任は、瑕疵により契約の目的が達成することができない場合に注文者(相談者)が契約を解除することができる場合があります(民法635条)。該当するのは、以下のとおりです。
(1)瑕疵が重大であるとき
(2)修補が不可能かあるいは請負人が修補を拒絶したとき
(3)修補が可能であっても長期間を要し、解除権の行使を認めるのが正当であるとき
 民法635条ただし書では、建物のような土地の工作物については、重大な瑕疵があっても契約解除できないとあります。これは解除による原状回復として土地の工作物を撤去することは請負人にとって過大な負担になり、社会経済的にも損失であるからです。しかし、2002年9月にこれを覆すまでもはいきませんが、注文者を保護する判決が出ています。取り壊して建て替えるしか補修方法のない欠陥住宅について、建て替え費用相当の損害賠償請求を認める初めての最高裁判所判決が出ています。
 Hさんの場合は、上述した「取り壊して建て替えるしかない欠陥住宅」に該当するかがポイントとなると思いますが、砕石の件だけでは即、欠陥住宅とはいえないと思えます。また「重要事項の説明がない」とありますが、建設業法的には説明義務がありません。ただし、土地と建物の売買契約と設計契約をしていると思いますので、ここでの重要事項説明をしていないのならば、宅建業法と建築士法の違反となります。
 民法635条の話しを含めて、法的解釈について弁護士などの専門家に相談されてはどうでしょうか。市役所などで法律の無料相談を行っていますので、窓口については、市役所にお問い合わせください。


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道路の振動


<東京都町田市・Iさん(会社員・36歳・男)>


 2009年8月に新居を購入したのですが、目の前の道路(12m)に亀裂があり、その前を大型車が通ると、家が「ドシン、ドシン」と震度2ぐらいで揺れます。2009年末に市の道路補修課に依頼して「パッチ」という簡易的な補修を行ったのですが、それが今度は段差ができてしまい、結局「ダダダダッ」と音が変わっただけで揺れの状況も変わらず、その補修したパッチもすでに亀裂が入ってしまっております。
 年明けに道路補修課に再度現状を伝えたのと、環境保全課にも伝えて振動調査も行ってもらいましたが、環境保全課のほうは「あくまでも振動要請であるので、必ずしも法で定められて行うわけではないし、平均した振動値を取るのでいずれにしても該当しない」とのことです。先週再度、転圧ローラーを用いた再補修を道路補修課にお願いしているのですが、まだ具体的な回答をもらってません。
 しかしながら、よくよく考えると、多少の段差があるにせよ、大型車が通ったぐらいで家の振動があるのはもともとの地盤が弱かったせいなのかなとも思います。家を建てる前に建築会社がやけに地盤を気にしていました。結果、「スウェーデン方式で地盤改良の必要なし」との回答でそのときは余計なお金がかからずほっとしたのですが、(私の意向としては極力予算をかけたくなく、地盤強化が入ると100万円ぐらいかかるといわれたので)今考えると、紹介で買っているので(会社の同僚の奥さんから)何らかの圧力をかけて無理やりOKを出したのかな?と思うぐらい地盤がゆるいような気がします。こんなことならあの時費用がかかっても地盤強化をするべきだったでしょうか?
 2件隣りの有名ハウスメーカーのほうはものすごく深くまで土を掘っていました。土のほうはもともと畑なので、深くまで掘っても真っ黒でした。ちなみに家の庭や駐車場は外構工事をする前はすぐに水溜りができ、庭のほうも耕してみると非常に粘土質です。妻と2歳になる娘も不眠症で、私も相当へばってます。建設会社へ何か有効な解決案を伝える方法はないでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 道路の振動で家のような建築物を揺らす要因は、道路を通過する大型トラックの振動波長が地盤面を伝わって敷地内の家の構造揺れ波長とフィットした場合です。振動で道路に亀裂ができたり、敷地の表土が黒土や粘土だったり、また水溜りができたことなどは、直接的な要因とならない場合が多いです。
 また、地盤調査の多くはスウェーデンサウンド方式で行っており、その地盤調査費用には地盤保証が付いているのがほとんどです。この地盤調査では、地耐力を調べて家が不同沈下現象などで傾いた時に保険適用が受けられるものです。家が傾いたりすると施工業者に対して法的な瑕疵担保責任を問われ、対応に多額の費用を伴うことがあるため、昨今はほとんどの業者が保証付きの地盤調査を行っています。
 したがって本件のような地盤の振動に関する保証ではありません。仮に地盤補強を行ったとしても道路の振動を止められる保証もありません。敷地特性によっては、地盤補強をするほど振動伝達が大きくなる場合もあります。

 本件のような振動を回避するには、超音波探査方式という方法で地盤波長を調査して、その波長と異なるように家の構造体を工夫する方法があります。また、家の構造ではなく、道路からの地盤波長を変えるため敷地内に摩擦杭を打ち込んだり、セメントミルクを注入する方法などがあります。本件のような問題を道路管理を行う行政庁に投げかけても限界があると思われます。また施工した建設会社に法的責任を押し付けるにはかなりの困難が予想されます。
 本件の解決は、施工した建設会社に親身なって相談にのってもらえる環境を整備して、業者さんと一緒に問題解決に取り組むことが賢明です。地盤波長と構造波長をフィットさせないように、家の耐力壁を増やしたり、地盤面にセメントミルクを注入する方法などを模索して対応すべきでしょう。ある程度の費用が伴いますが、今後の家族の幸せを包む家は、施工した建設会社さんとの友好的なコラボレーションが必須と思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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