住宅クレーム110番

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天井裏の断熱材 袋の破れ


<知立市・Uさん(会社員・35歳・男)>


 新築の建売住宅についてですが、先日、点検口より天井裏に入ったところ、断熱材の施工で気になることがありました。添付写真にありますように、断熱材を覆う袋のほとんどが破られており、グラスウールがむき出しになっています。屋根裏は湿気が少ないとはいえ、このような施工方法でカビが生えたり、断熱効果が発揮できなかったりするのではと心配になります。これは正しい施工方法なのでしょうか?



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協理事
兼 北海道Webサイト事務局 兼 札幌支部事務局
勇和建設株式会社
代表取締役 齋藤 保雄

新住協北海道:http://www.shinjukyo-h.jp/
勇和建設HP:http://www.yuuwakk.co.jp/
ブログ:http://blog.livedoor.jp/replanblog012/

 写真を見る限りにおいては、「丁寧な施工」とはいえませんねぇ。写真1や写真2には、短く切断してしまったのか、寸足らずで、構造材との隙間も見受けられます。施工誤差というには、ちょっと開きすぎに思えます。写真2には天井の断熱材も写っていますが、電気配線との納まりも雑な感じがします。しかし、「不具合を招く恐れがある施工状態」ではなさそうですのでご安心ください。
 「グラスウールを覆う袋(ポリフィルム)が切れていることがご心配」のようですが、これは、大きな問題とはなりません。使われている製品は、密度10kg厚さ100mm品と思われます。この製品のピンク色のポリフィルムには、もともと微細な孔があけられており、グラスウール内部に浸入した湿気を排出する役目を持たせてあります。上下が切断され、グラスウールが丸見えではありますが、水蒸気を排出するという点では、グラスウール丸見えでも障害が起きることはないだろうと思います。また、愛知県という土地柄で、100mm厚品のグラスウールが使われているという点では、厚手の施工と思います(次世代省エネ基準では、愛知県などの・地区では、密度10kg品の場合、85mm以上を推奨しています)。
 しかし、「グラスウールの断熱製品として持っている本来の性能が十分に発揮される施工状態」かと聞かれると、その点では、十分な施工とは言い切れません。壁の断熱性能の発揮度は5〜6割という感じがします。小屋裏側から透湿シートを張り付けて、左右上下端をしっかり気密テープで密閉するという工事を施工できれば、写真で見えている壁部分の断熱材の性能発揮度を10割に近づけることができるでしょう。


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窓の断熱工事の疑問


<千葉県船橋市・THさん(その他・56歳・男)>


 築20年の木造在来の戸建てに住んでいます。寒さ対策で窓の断熱工事を考えています。それについての疑問が2点あります。今、窓に結露している水分は窓断熱をすると、押入れとか便器まわりに付着するのか?(暖房は部分的です)工事方法で樹脂枠の内窓を付けるか、現状の一枚ガラスを複層真空ガラス(既存のサッシに使える)に交換とどちらが効果と費用の点で良いか? 住まいは千葉県です。よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 20年前に千葉県船橋に建築されたということは、当時、アルミサッシに単板(一枚ガラス)の窓が普通でした。この単板ガラスを、複層ガラスに取り替えるだけでもかなりの省エネ対策となります。単板ガラスの入ったアルミサッシの熱貫流率は約6.0W/m2K(数値が低いほど断熱効果が高い)くらいです。複層ガラスに取り替えるだけで約3.5W/m2Kくらいになります。
 現在のアルミサッシに、複層ガラスを受けるアタッチメント部材を取り付けると、安価な価格で取り付けられます。複層真空ガラスは確かに相当な断熱効果がありますが、ガラス代金が高額なのと、本件のようなガラスだけの部分変更の施工には不向きだと思われます。
 樹脂や木製の建具を内窓に取り付ける方法もありますが、外側の従来サッシの結露を助長してしまいます。できれば、複層断熱サッシごとの取り替えが望ましいのですが、価格的にも複層ガラスをアタッチメントで挿入施工する方法が適切です。

 現在の窓に結露が生じているようですが、生活状態によって発生してしまいます。室内を20℃に暖房して洗濯物や煮物などを行うと、室内湿度が50%くらいになる場合があります。この時の露点温度が9℃(9℃以下の部分に結露する)です。現在のサッシであれば、外気温によって結露状態となります。これは、複層ガラスをアタッチメントで取り替えても、アルミサッシ部分だけは、その結露を防ぐことはできません。
 押入れのふとんが湿気を含んでいたり、水まわりの換気量が少ない場合、その付近に結露が発生しますが、換気量や生活の工夫で結露を緩和することが賢明です。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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契約にない柱が洋間に付けられてしまいました。


<茨城県取手市・Oさん(会社員・33歳・男)>


 現在、某HMで自由設計の家を建てております。1週間前に上棟し、3日前に2階の間取りを確認してきました。すると子ども部屋用の洋間に契約にはない、とてもジャマになる柱が取り付けられていました。担当に申し出ると「設計と相談する」といわれ、本日、再度電話があり、構造上はずすことはできないようでした。7月11日に家に説明に来るそうです。
 当方としてはどんな説明よりも柱は契約にない、むしろジャマになるものなので、どう対応すればよいのか、弁護士さんにも来てもらったほうがよいのか、わからないので教えてください。よろしくお願いします。



アドバイスいたします
遠藤設計工房
遠藤 崇能(エンドウ タカヨシ)(北海道建築士会 札幌支部)


 契約図面にない邪魔な柱が存在すること、また、その柱について、建て主さんに何の報告もせずに工事を進めたことは、非常に問題ある行為です。しかし、このことが契約違反にあたるのかというと、一概にそうとも言い切れません。詳しい契約図面の内容や現場の状況がわかりませんので判断しにくい部分もありますが、質問の内容から、一般的な木造住宅と推察しますと……
 例えば、契約図面が縮尺1/100程度の簡易な図面のみで、構造関係図面(床伏せ図・小屋伏せ図等)が添付されていない状況であれば、平面図の柱の記載の有無のみで契約違反を問うことは難しいと考えられます。もし、構造図等が添付されていて、図面と現場に食い違いがある場合、契約違反にあたる可能性も考えられますが、実際に設計者・監理者に事情を聞いてみなければ、質問の内容だけでは判断しかねます。したがって、まずは設計者・監理者・建て主さんで話し合い、状況を十分把握されたうえで打開策を見つけ出すことが懸命だと考えられます。その場合、弁護士に依頼するよりも、信頼のおける第三者の建築士に同席してもらうことも有効と思われます。また、計画・設計段階で交わされた打ち合わせ記録などがあれば、話し合いがよりスムーズかもしれません。問題の柱の状況がわかりませんので、明確なアドバイスではありませんが…。
例えば、
(1)問題の柱が支えている梁のサイズを大きくし、その柱を除くことはできないか?
(2)問題の柱を邪魔にならない位置に移設できないか?
 あくまでも推測ではありますが、このような打開策が考えられるかもしれません。
 しかし、もうすでに上棟しているとのこと。梁の架け替えや柱の撤去・移設などは非常に難しいことと思われます。また、そのことにより、場合によっては構造的に狂いが生じてしまう可能性も危惧されます。じっくり話し合ってみなければわからない、非常にデリケートな問題です。
 住宅建設にあたって、このようなトラブルから建て主を守るため、私は、建築設計事務所による質の高い設計と第三者的視点での工事監理をおすすめしております。


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表層改良後の悪天候について


<新潟県長岡市・匿名(その他・37歳・女)>


 1.5メートル表層改良をして、すぐその日に雨が降りました。作業中はそれほど降らなかったのだと思いますが(多少は降っていたかもしれません)、作業中または終了後は、しっとりと降っている程度でした。大工さんの言うように「雨が降ったほうが、よく固まっていい」と思っていたのですが、その日の夕方、夜、翌日も雨が降り続き、土砂降りというほどではないにしろ、改良地の周りの土地には水たまりができています。改良後はすぐに固まるものですか? せっかく入れたセメントが雨で流れてしまわないものでしょうか? 改良日の翌々日から基礎工事に入るのですが、雨の後、よく乾かないままに基礎を始めても大丈夫でしょうか? 雨のためにせっかくの地盤改良が無駄になっていないか、あるいは地盤がさらに悪くなっていないか心配でたまりません。ご回答よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
平 竜次 ( 北海道建築士会 余市支部 青年委員長 )

 セメントは水と化学反応することにより硬化します。この現象を「水和反応」といいます。コンクリートもこの水和反応により硬化するため、建物の基礎等にコンクリートを打ち込んだ後は表面が乾かないように散水等を行い、コンクリートの表面を数日間(5日間程度)湿潤に保ちます。これを「湿潤養生」といいます。
 このようにセメントを硬化させるために水は必要不可欠であり、表層改良についても原理は同様で、地盤の土とセメント系固化材を撹拌し、土中の水分と固化材の水和反応により地盤の支持力を向上させるものですので、工事中や養生期間中の一定の降雨は強度の発現には歓迎すべきものです。
 しかし、大雨や強風により表層改良用のセメント系固化材込が流されたり、飛散する恐れのある場合は品質に影響を及ぼしますので、通常作業は行われません。実際の工事でそのような状況がなかったかについては、十分に確認されたほうがよろしいかと思います。そのような状況がないようでしたら、必要な養生期間を経過したのであれば、改良地盤の表面が湿潤している状況であっても、埋め戻し等の工事を再開しても支障ないと思われます。
 ただし、一口に表層改良といってもその施工内容や仕様はさまざまですので、工事監理者に「降雨の場合の施工中止の判断基準」「現場での固化材の流出および飛散の有無」「施工後の養生方法および必要養生期間」「施工保証内容および保証書の有無」等を十分確認されたほうが良いでしょう。


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クロスについて。」私はこう考えます。


<倶知安町・take chanさん(会社員・52歳・男)>


 最初に、「クロス」はのび縮みします。どちらかというと、張った当初は「湿っていて伸びて」います。その後、日をおくに従って乾いて「縮み」が多くなります。当然、個々の環境・状況で違います。張った業者は、その辺を考えての施工に努めると思います(技能の差はあっても)。が、そもそも「縮む」ことが当たり前のクロスの継ぎ目が開くのは「当たり前」です。普通、新築をしてから数ヵ月、1年もたてば、その(極端な)挙動はおさまると思います。このあたりに、業者が定期点検と称して修繕に来ませんか? ここまでは「普通のことが普通に起こったことに、普通に対応する」と、考えるべきだと思います。
 次に修繕方法ですが、ボンドコークを使って、隙間やコーナー部を埋めます。業者、クロス職人にすれば、それが「普通」当然の施工だと思います。彼らに言わせれば、開くのは当たり前。それを美観上、問題ないところまで修繕する、ということになります。それ以上のことは、通常しないはずです。もちろん、通常からはずれるほどの瑕疵ということになれば、別問題です(お客様と、業者の間でその境界点は違いますが…)。
 例えとしてはあまり良くないかもしれませんが、赤ちゃんの時、あんなにプチプチしていたあの肌! でも今の私は…。なんて時、製造者? 親の責任ですか? それは「当たり前」の時間の為せるわざではありませんか? それに対しては、化粧なりスキンケアなり、美観上問題ないレベルまで引き上げますよね? 「当たり前」に発生する問題で、それ以上の要求は「理不尽」な要求になりかねません。  

2009/02/14 「クロスについて。」への私の意見



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