住宅クレーム110番

投稿ページ続きです
J110 News

フッ素樹脂保証鋼板より錆びが流れる。


<山形県山形市・匿名さん(その他・47歳・男)>


 先日、知人の方から、屋根が錆びているので見てくれないかと電話があり、早速うかがってみると、塗膜がはがれ、錆びて穴があくほどになっており、聞いてみると20年の保証鋼板で雪降ろしがいらないよう、よく滑るフッ素樹脂鋼板を屋根屋さんにすすめられて17年前に行ったそうです。あいにく、その屋根屋さんが病気で亡くなり廃業してしまって、保証書が見つからず、メーカーに問い合わせましたら、早速、問屋さんと来ていただきまして、施主様と議論の挙句、張り替えることに話は収まったのですが、見積もりを提出すると「こんなに出せない」と言われたそうです。お客様から見れば張り替えは当たり前であり、まして保証期間内のこと、施主様は怒って「裁判だ、こんなもの本当にフッ素なのか調べてやる」といった怒りようで、相談を受けた者として、お客様の意向のとおり、張り替えはできるのでしょうか?
添付画像



アドバイスいたします
旭川市春光4条8丁目11-13
有限会社飯田板金工業
飯田 均


 結論から言って、メーカーに張り替えを求めるのは困難と思われます。第一に、施工した板金屋さんが亡くなり、保証書も無いのでは、施工当時のいきさつがわからず、メーカーとしても対応できないと思います。第二に、メーカーの保証条件の中に「使用環境で保障年数は変わります」「加工・施工・設計が適切に実施されていること」とあります。第三に、適切なメンテナンスがなされてきたか?という問題もあります。

 カラートタンメーカーの標準保証規格にフッ素樹脂鋼板は20年、カラートタン(塗装鋼板)は10年とありますが、トタンに負荷(折り曲げ・擦れ…)を掛けず、大気汚染や酸性雨・湿潤状態・落雪などの影響を受けないように保たれた状態をさしています。
 実際には屋根に使用する段階では、折り曲げ加工や施工時に表面カラーに微小なキズが多数つきますので、その部分は10年20年という保障の対象外となります(この微小なキズがつかないように施工するのは困難です)。
 また、トタンの端部分は腐食が早く発生します(今は端部もサビが発生しにくくなっていますが)。したがって、10年20年という保証はある程度の目安であって、確定的なものではありません。

 写真、屋根の横葺き材は引っ掛けの部分が端部になるのでサビの発生が早く、段差の角部分は折り曲げや落雪で塗装がはがれやすく、ここもサビの発生が早いのです。
 どんな屋根も定期的なメンテナンス(コーキング補修・塗装)が必要です。ここまでサビが発生してしまっては張り替えしかないと思います。「こんなに出せない」ということは、「いくらかでも負担してもらえる」ということでは? もう一度メーカーさんと話し合ってはいかがでしょうか。


J110 News

基礎部分の多すぎる気泡について


<Tさん(主 婦・38歳・女)>


 現在、工務店にて2階建て一戸建てを建築中です。3日ほど前に型枠を外しました。基礎部分に気泡が多かったため工務店に指摘しましたところ、「構造には問題はない。穴はモルタルで埋める」とのことでした。表面的にはキレイになるのでしょうが、強度に問題はないのでしょうか? シロアリの侵入口にならないか?など、不安に感じております。写真を添付いたしました。全面がこのような状態です。ご意見よろしくお願いします。
添付画像



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 コンクリートの強度は、セメントと水の比率で決まるといわれます。コンクリート打設の施工をしやすくするのに、水の量を多くする(シャブコンともいう)とコンクリート強度が低下します。コンクリートは硬めに打設するのがいいのですが、本件のような空洞部が出やすくなります。硬いコンクリートを丁寧につき固めるとか、バイブレーターで振動させるなどすると、このような空洞が少なくなります。本件は少し空洞が多めにあるように感じます。
 現在のコンクリート強度は、1平方センチメートルあたり200kgくらいの圧縮強度を保つよう、生コンをつくるプラントがJIS認定されることになっております。水の混入さえしていなければ、この強度は担保されているはずです。また、本件のように空洞が多いということは水を入れていないとも思えるのです。

 コンクリート強度に問題があり、亀裂が表面から裏側に抜けるような構造クラックになると、当然、シロアリ侵入の恐れが出てくるでしょう。この場合は、瑕疵担保責任という法律で、施工者側が責任を負うよう義務化されております。
 本件のような空洞からシロアリが侵入することはありません。また収縮クラックといって、コンクリートが固まる際に発生するヘアークラックからもシロアリ侵入はありません。シロアリ対処は木材の通気構造や土壌などの防蟻処理などで対応すべきでしょう。

 本件の場合、強度的な問題はないと思いますが、万一の場合を考慮して、この写真を多く撮って保管しておくべきです。万一とは、コンクリート強度が弱くてコンクリートに構造クラックが生じた場合、瑕疵担保責任の対象となり、施工者に責任を負わせるためです。
 しかしながら、あまりにも神経質になり過ぎて、施工者との友好関係を壊さないよう配慮することも必要です。建主さんと施工者とは、末永い友好関係を築いていくことが双方にとって利に叶うと思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


J110 News

屋根垂木(たるき)が施工されていないことがわかりました


<愛媛県新居浜市・采女さん(会社員・27歳・女)>


 近年、雨漏りをするので業者へ幾度か修理依頼をしたのですが、今回の修理で初めて、屋根垂木がないことがわかりました。しかしながら、問題が2点あり、ハウスメーカーへの苦情が門前払いな状態です。何か手はないでしょうか。

<問題1>
築年数がすでに27年経っている。契約書の保証期間は、「引渡の日から、建物構造躯体については5年間、その他の部分については2年間暇疵担保責任を負います」と記されている。
<問題2>
垂木がなくても建築法上問題はないらしい。(ハウスメーカー談)

 ハウスメーカー側は、もう20年以上も経っているし、なくても問題ないので責任はないと言いますが、屋根の修理を請け負ってくださった業者さんは、このようなひどい物件は見たことがないと言います。体重の重い作業員さんなどは、危ないから自分は今後屋根に上がらないと決めました。不動産は製造物責任(PL法)が適用できないし、もう泣き寝入りするしかありませんか? 昭和56年10月の契約です。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 瑕疵担保の期間については、民法638条で木造の建物は5年(RC10年)になっていますが、一般的に使われている民間(旧四会)による請負契約書では27条で1年(RC2年)に短縮されています。ただし、その瑕疵が請負人の故意・重大な過失による場合は5年(RC10年)になります。その他、H12年に施行された『住宅の品質確保の促進等に関する法律』87条では構造上主要な部分(小屋組み・屋根板含む)、雨水浸入を防止する部分での瑕疵は請負人に10年間の瑕疵担保責任が課せられています。
 したがって、問題1については、今回は築27年ということですから、これらの瑕疵に関する法律が適用されることにはなりません。
 そこで問題2になりますが、『屋根垂木がない』という施工不良でそのようになったのか? それとも屋根垂木が不要な工法で問題がないのか? ということを確かめることが第一と思います。
 板金業者または当事者のメーカーの話ではらちがあかないので、信頼のおける建築士に調査を依頼し、施工不良であれば瑕疵期間を超えて手直しを交渉し、正常な施工であれば不安が取り除けると思います。今回のような場合、良識あるハウスメーカーであれば瑕疵期間に関係なく真摯に対応してくれるものと思います。


まだまだ投稿ページは続きます 新しい記事    古い記事

NPO住宅110番はリニューアルいたしました。
新たに質問がある場合はコチラからどうぞ。

※このページはリニューアル前のもので、回答の中には十数年以上前の情報もございます。技術は日々進歩していますので、その点をご理解の上参考になさってください。