住宅クレーム110番

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J110 News

RC造への増築時の耐震強度について


<HTさん(自営業・男)>


 5年前になりますが、今より35年まえに建築した3階建てRC造ビルにS造の4F部分をを増築しました。幹線道路に面しているのですが、建築当初よりバス、トラックの往来により、4F部分はかなり揺れ、布団などで直接床で寝ていると、かなりの振動を感じます。近年、耐震強度の問題などが全国で発生していますが、私のビルはこのような増築をしても良かったのだろうか?と非常に不安になります。
 担当した建築士に問い合わせても「大丈夫です」としか答えてもらえません。
 このような建築方法は通常行われるものなのでしょうか?
 また、必要な強度を満たしているかどうかは、どういった検査機関に依頼すればよいのでしょうか?



アドバイスいたします
針ヶ谷 拓己(北海道建築士会 札幌支部 青年委員)

 RC造3階の既存建物の上部にS造1フロアを増築されたようですが、増築の方法や、増築部分の面積によって回答文の内容も大きく変わりますので、私の方で2通りの増築方法を想定し、回答させていただきます。また、建物の所在地や地盤の状況など、情報量も不足していますので、一般的な回答とさせていただきます。

【1】既存建物に4階増築部分を載せた場合(既存建物に荷重をかける)
 一般に10m2を超える増築(防火地域及び準防火地域除く)については、確認申請が必要になります。RC造3階建の屋上部分にS造1フロアを増築する(載せる)となると、確認申請時に構造計算書を添付することになり、既存部分も含めて構造計算が行われているはずです。この構造計算書により安全が確かめられ、設計図どおりに工事が進み、建物完成後に検査済証が交付されているのであれば、構造的には安全であると考えられます。ただし、既存建物が、昭和56年以前に建設されており、新耐震基準によって設計されていない建物ですので、4階を増築された際に、既存部分を大規模に構造的改修されていると思われます。
 上記のように、確認申請や構造計算、構造的改修を行い増築されたのであれば問題はないと思われますが、そうでない場合は、構造的にとても不安な建物と言えます。

【2】既存建物の周りに新たに柱をつくり4階を増築した場合(既存建物に荷重をかけない)

 こちらの増築方法は、既存建物の周りに、新規に基礎及び柱を造り、既存建物を覆うように4階を増築しますので、既存建物に、増築部分の荷重を加えず、構造的に負担をかけない方法と言えます。ただ、この増築方法の場合、既存建物の周りを覆うように柱が配置されますので、柱間隔が大きくなり、多少建物の揺れが大きくなることは想定されますが、確認申請により構造計算を行い、安全が確かめられ、設計図どおりに工事が進み、建物完成後に検査済証が交付されているのであれば、構造的に安全であると考えられます。

 既存建物を建てる際に将来上部への増築を考慮して設計されていない限り、一般的に既存建物上部への増築は行わないと思われます。ただし、コストをかけて【1】のように既存建物を大規模に構造的改修することや、【2】のように特殊構法( http://www.miracle3.co.jp/ ) を採用することにより、既存建物上部への増築は可能となります。
 5年前に増築された時に、建築基準法に沿って確認申請等の手続きがなされているのに、あまりにも大きな揺れを感じるようであれば、第3者の建築士(構造設計事務所)に設計図面及び構造計算書を提示し、建物を調査していただければ良いのではないでしょうか。
※法的手続きや構造計算がなされずに増築された場合は、構造的にとても不安です。早急に第3者の建築士(構造事務所)に診断していただくことをお勧めします。
※建築士会では専攻建築士制度というものがあり、数々の実務をこなし、学習されている建築士が専攻建築士に認定されています。専攻は「まちづくり」「設計」「構造」「環境設備」「生産」「棟梁」「法令」「教育・研究」に分かれており、下記アドレスにて全国の専攻建築士を検索することができます。住まわれている都道府県を選定し、専攻区分に「構造」を選択し、検索していただければ、構造設計事務所を探すことができると思います。検索できない県もありますのでご了承ください。
http://www.kenchiku-cpd.jp/senkou/search/search_0.htm


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改正建築基準法の施行


<埼玉県・拳さん(会社員・40歳・男)>


 改正建築基準法の施行にで石膏ボードの壁倍率が1.0から0.9に引き下げられたと聞きました。
 我が家のツーバイフォー2階建て建売住宅は昨年6月竣工ですから当然1.0で計算されています。 大丈夫?というか何故改正なのでしょうか?

 石膏ボード壁倍率を1.0としたのでは不十分との新しい見解が何らかの事実に基づき出されたのでしょうか?
 だとするなら改正以前の住宅(まだ新築に近いものも)は補強等の必要があるのでしょうか?
 またそもそも石膏ボードは耐力壁として考えてよいのでしょうか?



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協理事
兼 北海道Webサイト事務局 兼 札幌支部事務局
勇和建設株式会社
代表取締役 齋藤 保雄

新住協北海道:http://www.shinjukyo-h.jp/
勇和建設HP:http://www.yuuwakk.co.jp/
ブログ:http://blog.livedoor.jp/replanblog012/

 建築基準法及び関連告示の改正により、普通石膏ボード12.5mm品の壁倍率は、木造在来工法で1.0から0.9へ、枠組壁工法(ツーバイフォー)で1.5から1.0へ、変更になりました。在来木造構法の場合、内装の石膏ボードの壁倍率を壁量計算に算入しているケースは少なく、壁倍率の低減も1割なので、大きな影響はないと考えられます。

 枠組壁工法(ツーバイフォー)の場合、低減が少なくありませんので、念のため、専門家に図面を見せて、確認してもらって下さい。一般論ですが、枠組み壁工法の場合、新築時に総壁量(壁倍率x壁長さの総合計)が、基準法基準より相当余裕がある場合が多いので、「直ちに危険」ということは、無さそうです。

 壁倍率が低減された理由は、市販されている最近の石膏ボードの比重が、JIS基準の平均値ではなく、下限値に近いことが理由のようです。石膏ボードも固さや重さなどで壁倍率が違ってきます。

 石膏ボードは、基準通りの止め付け方で施工すれば、壁倍率に算入することに何ら問題はありません。大事なことは、基準通りに施工されているか否かです。


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湿気90%の賃貸物件を改善するには?


<茨城県神栖市・ayakoさん(会社員・30歳・女)>


 鉄筋3階建ての高密度、防音のマンション3階に間借りしています。湿度計が常に90%を超え、1日換気しても60%位にしか下がりません。
 トイレや玄関、窓の結露がひどく、クローゼット中の天井部や部屋の中にある家具の裏にもカビが生えてしまいます。
 風呂場に換気設備がありますがトイレと共通で、2日換気しても換気できません。何か改善をして欲しいのですが、大家さんもしくは代理人の不動産屋に改善をお願いすることが出来るのでしょうか。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協理事
兼 北海道Webサイト事務局 兼 札幌支部事務局
勇和建設株式会社
代表取締役 齋藤 保雄

新住協北海道:http://www.shinjukyo-h.jp/
勇和建設HP:http://www.yuuwakk.co.jp/
ブログ:http://blog.livedoor.jp/replanblog012/

 マンションの管理会社に相談する前に、以下のことをご確認下さい。湿度計で60%というのは、室温何度での状態でしょうか。
 茨城県の1月の外気は、平均気温3℃程度、相対湿度65%程度です。家中の窓を開けて、外気と同じ状態にしたとしたら、寒いのですが、この湿度湿度表示になるはずです。

 室内で、水蒸気の発生が無いものとしたら、このまま室温を20℃に上昇させると、相対湿度は30%以下になります。このとき、暖房器具として、石油ファンヒーターなどを使用すると、灯油燃焼時に多量の水蒸気が発生するので、相対湿度が60%を超えることも考えられます。
 換気扇を運転していても、給気に配慮しなくては、有効な換気が行えません。各室にある換気レジスターを全開にすること、換気扇がある浴室の扉は少し開けておくことなどに注意して下さい。換気扇やレジスターの目詰まりが無いかも点検して下さい。換気扇の排気がつながっている外部フードの目詰まりも点検して下さい。
 それでも相対湿度が下がらない場合は、台所の換気扇を運転することも考えて下さい。洗濯物を室内で干しているときも、換気には配慮して下さい。
 石油ファンヒーターなど水蒸気が発生する暖房器具を使用していない、換気扇を24時間連続運転している、この状態でも、相対湿度が生活温度(20℃前後)で60%を超えるならば、管理会社に相談しましょう。
 新築のマンションなどの場合、コンクリートからの水蒸気の放出が続いています。それが原因かもしれません。あるいは、換気ダクトの接続不良や変形による換気量減少なども考えられます。


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クレーム中の私たちの生活は・・・


<栃木県・IMさん(会社員・30歳・男)>


 お聞きしたいのですが私の家〔築1年〕です 家の修理、クロスの張替え工事(家の中のクロスすべてクレーム)で家を一週間から十日室内修理のため住めません。
 そのような場合、私達家族4人、犬一匹 〔妻と子供二人幼稚園生と小学校低学年〕はどうすればよろしいですか? 近くに親も親せきもいないためどこで生活をすればいいのかわかりません。

 敷金礼金のないアパート月割り、日割りのアパート、マンションがほとんどありませんもっと広い範囲で部屋をさがせばあるのかもしれませんが家族の都合上同じ町もしくは隣町で生活しなければなりません。安いビジネスホテルはありますが毎日外食になってしまお金がついていきません。
 後、家具の移動、倉庫の手配はできていますが引越しやに頼むと単純に家から倉庫までの料金と工事が終わったあとの倉庫から家間での料金とかかってしまいます。犬はペットホテルなど。

 このような場合工務店さんに請求できますか?ちなみに100%工務店さんのミスで工務店さんも100%こちらのミスとみとめてくれています。また請求できるのならば外食代、ホテルの料金は一日いくらできるのでしょうか。家のローンがありはずかしながらお金を立て替える余裕のないのが私たちの現状です 



アドバイスいたします
NPO住宅110番より

 どのような経緯と、壁紙の仕上がりは実際、どういう状況なのか、不明なのでお答えの範囲は限られますが、理の当然として壁紙を貼り替える工事となれば、それが全面的なものとなるのであれば、当然、一時的な待避はあり得ると思います。で、そうした費用負担について一度も業者さんと「話し合っていない」というのは常識的に考えて、信じられません。

 業者さん側としてみれば、こういうことは当然発生する問題であり、それを施主側から申し立てられないのであれば、なにがしか、待避先などの当てがあっての申し出であり、そうした点については負担しなくていいという前提で話を進めているだろうことが、容易に推定できます。
 そのように考えると、工事の仕方を、たとえば2期に分けて、生活できる部分を確保しながら工事を進めるなどが、実際的に考えられるプロセスです。多くのリフォーム工事では、実際にそのように対応しています。早急に工事業者さんと話し合ってください。

 こういう点について、きちんと事前に話をしておくことは、当事者としての最低限の責任だと思います。


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