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蓄熱暖房機の失敗<栃木県那須郡・OCさん(主 婦・63歳・女)>
この8月住宅を新築しました。
夜間電力を使用する蓄熱型暖房器を各部屋に入れ、冬の寒さ対策は万全と思っていました。各部屋の大型のモノは、カタログどおりに稼動し、快適ですが、異なるメーカー製のトイレと洗面所に設置のコンパクト型暖房器は、朝は快適な温度ですが、昼ごろまでに放熱してしまい、夕方には冷たくなってしまいます。熱をコントロールすることができない小型の機種とはいえ、夕方、風呂に入る頃には洗面所(更衣を行う)はすでに寒くなり、風呂場用の暖房としては機能しません。わが家のトイレも洗面所も1畳しかありません。午後遅くから夕方になると暖房効果が失われるような蓄熱式暖房器は考えられず、だまされたような気がしています。少なくとも、パンフレット(カタログ)しには、夜間電力で蓄熱、1畳から3畳用でとのふれこみでした。 その会社に電話しましたが、「放熱をコントロールできない小型のタイプなんだから、仕方がない、一日中暖かいのがほしいなら、大きいのに変えなさい」とのことでした。パンフレットと違うのではと言いましたが、コントロールされない機種は仕方ないとのことでした。もしそうなら、そのことをパンフレットにきちんと書いてほしいものです。洗面所など 必ず夜に使うのにと思うと腹が立って仕方がありません。きちんと調べなかった私たちが悪いのでしょうか? パンフレットにその蓄熱および放熱の効率を明示しないメーカーに大きな責任があると信じています。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
蓄熱暖房器は、深夜電力で断熱されたケーシングの中のレンガを650℃の高温に加熱し、その熱をケーシングの表面から放熱することで暖房する仕組みです。
蓄熱暖房器は、主に北欧で自然放熱で暖房することが前提でつくられたものです。したがって、蓄熱暖房器を寒い場所に放置しておきますと、数時間で冷たくなってしまいます。 すなわち、蓄熱暖房器の設置場所はそれなりの保熱がなされていることが前提です。 本件においては、蓄熱暖房器メーカーの問題というより、設置した施工者の認識不足こそが要因と思われます。 仰せのとおり、質問者の不満はごもっともで、蓄熱暖房器メーカーもその保熱規準を明確にしていない責任は皆無でありませんが、蓄熱暖房器の特性を知っていると本件のような問題は発生いたしません。 本来の蓄熱暖房器にはファンが付いておりませんでした。蓄熱暖房器にファンが付けられたのは、日本国内に輸入されてから、日本からのニーズによるものと言われています。 本件のように小型の蓄熱暖房器のほとんどは、ファンが付いておらず、自然放熱のみで暖房を行っていますが、それだけに設置場所の断熱・気密の情況が吟味されなければなりません。 蓄熱暖房器メーカーも本件のような苦情に直面して困惑していることと思いますが、本質的にはメーカー責任より、施工設置者の認識不足が招いたのが要因です。 解決方法としては、更衣室の気密・断熱性能を向上させるか、大型蓄熱暖房器の熱がそこまで波及するように、出入り口の改造、など工夫を行うべきと思われます。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
断熱材の破れについて<さいたま市・KMさん(主 婦・32歳・女)>
軽量鉄骨で新築中です。
先日竣工検査がありましたが、2階天井裏の断熱材(ロックウール25kg・厚さ100mm)を包んでいるビニールの防湿層側が何ヵ所も破れていました。 ハウスメーカーはこれに対して、破れているものは交換し、さらに再施工の際に鉄骨や電気配線などに引っかかってまた破れてしまう可能性もあることから、今敷いてある断熱材の上に同じ断熱材をもう一重敷くという対応策を提示してきました。 しかし、再施工でまた破れてしまった場合、二重にすることで断熱性は保てるのかもしれませんが、破れを放置することによって内部結露は起こらないのか? そこが心配です。 また、壁にはグラスウールの断熱材(10kg・厚さ100mm)が使用され、さらにその室内側壁内に銀色の防湿シートが施工されているのに、なぜ同じように外気に触れる2階天井裏には防湿シートを敷かないのか? 先方は「それが当社の仕様です」と言いますが、外気に触れるという意味では壁も2階天井裏も同じ条件のような気がするので、壁だけ防湿シートがあって天井裏にはないというのは矛盾しているような気がするのですが…。2階天井裏には防湿シートを敷かなくても問題ないものなのでしょうか? それから、天井裏は鉄骨からの突起がかなり多く、壁と同じような防湿シートを敷いても破れてしまいそうですが、そういった天井用の破れにくい?防湿シートってあるのでしょうか? もう1点。1階と2階の間に入っているロックウール(20kg・50mm)は吸音材として入っていますが、こちらも施工途中の写真で破れているのを発見しました。しかし、これは外気と触れる部分はなく、断熱材として使用されるものではないという理由で、破れていても問題ないという回答をいただきましたが、この見解は間違ってはいないでしょうか? 質問が多くなり申し訳ありません。回答をお待ちしております。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
本件の質問で、断熱材の破れといいますが、断熱材を包んでいる包装袋が破損しているのだと思われます。
これが破れており対応策として二重に敷き込むなどは、質問者にとってとても有利なもので、そのようにしていただくと良いと思います。 天井裏は常に乾燥状態にあり、この断熱材の梱包袋の破損部分から内部結露が発生するようなことは、ほとんど無いと言ってもよいと思います。 質問者が仰せのとおり、壁の防湿シートが張られているにも関わらず、天井裏に付いていないことは、確かに矛盾しております。梱包断熱材を敷き込む以前に、天井材のすぐ上にポリフィルムを敷き込むことが適切です。 しかし、天井の気密層を完璧に敷設することが大変に難しく、実際に気密シートを敷き込んだ家でも、その効果を実感できるレベルにするには相当な施工技量が必要です。 ハウスメーカーの多くが、施工しやすい壁に気密シートを張っても、天井を遣らないところが多いというのも現状です。 特に軽量鉄骨の住宅は、構造上、気密フィルムの施工が大変に難しく、しっかりと行われている所がとても少ないという実状もあります。しかし、本来は、壁も天井も床も完璧に気密シートを張り付けるべきものであります。 本件は、日本の温熱環境性能のレベルが問われるような現状と言えるでしょう。しかし、それが直ちに家に致命的な問題を与えるということにはならないと思います。 1階、2階の吸音を目的した断熱材はむしろ、梱包を意識的に一部、剥がしたほうが吸音効果を促進できます。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
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