住宅クレーム110番

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J110 News

基礎打ち継ぎの鉄筋腐食について


<栃木県日光市・STさん(会社員・38歳・男)>


 昨年完成の一般住宅です。
 ベタ基礎の上に高さ60cmの布基礎を立ち上げた基礎ですが、ベタ基礎の高さより外側の地面の方が10cmほど高いために、基礎打ち継ぎの隙間から雨水の浸入を心配して、基礎工事の後に、基礎の内外から雨水の浸入を防ぐ施工をしていただきました。基礎内側からは、防水モルタルを三角に施し、基礎外側には犬走りを縦長にしたような形のコンクリートを打ちました。
 現在のところ雨水の浸入は見られませんが、大雨があった場合、基礎打ち継ぎ部分が若干湿ったような状態になり、少なくとも基礎の打ち継ぎ部分は湿気を帯びるものと思われ、コンクリート内の鉄筋の耐久性などが心配されますが、どうなんでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 結論から言って、あまり心配するほどのことはないように思われます。
 残念ながら文章だけでは状況を十分に掌握できませんが、気になるのが外部地盤面よりベタ基礎のコンクリート面が低くなっていることです。しかしながら、地中でのコンクリートの打ち継ぎは、多くの工事現場で実施されており、大きな問題を起こしておりません。
 本件は防水対応を施しているので問題が発生する可能性は少ないと思います。コンクリート内の鉄筋は、コンクリートに含まれるアルカリ成分で保護されるようになっています。
 コンクリートの構造クラックなどにおける浸水で鉄筋が腐食する場合がありますが、本件のような、しかるべき対策を講じておけば問題はないと思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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洗面台の排水口、キッチンの排水口、浴槽の排水口からも臭い


<福島県福島市・SKさん(主 婦・35歳・女)>


 今年の3月から新築の住宅に住んでいます。住みはじめてすぐ洗濯機の防水パンから浄化槽の臭いがしています。最近は洗面台の排水口、キッチンの排水口、浴槽の排水口からも臭いがあります。臭いは天候に左右され、晴れの日が続いていれば臭なわなのですが、曇りや雨のときは洗面所にいられないくらいの悪臭がします。メーカーに言ったところ、排水から酵素という粉をまいて臭いを抑えるというのでやってもらったら、におわなくなったのですが、最近その酵素を入れても臭いが消えなくなりました。トラップはついているので原因がわかりません。それともうひとつ、冬暖かく、夏涼しいということだったはずなのですが、全く逆なのです。特に夏は暑くてたまりません。食品庫をつくったのに、室内に食品を置いておくことができないのです。外断熱で断熱材は20mmのものを使用。窓はペアガラスです。



アドバイスいたします
山本技術士事務所
所長 山本廣資


◆排水口にトラップがついているのに臭気がするのは、何かの原因でトラップ内の水が抜けて臭気が出てくるためです。
  1. 一つの原因は、排水配管系の不具合で、トラップの水が抜けてしまう場合です。マンションならまれにこういうことも発生しますが、戸建て住宅ではあまり聞きません。
  2. もう一つの原因は、排水のゴミなどがトラップに付着し毛細管現象で水が抜ける場合です。これは新築間もない建物ではあまり考えられません。
  3. 最近多くなった原因は住宅の高気密化と給気口不足です。換気設備には給気と排気が必要です。専用の給気ファンがない場合は、排気に見合った量の空気が入ってくる給気口が必要です。特に厨房のレンジファンは排気量が大きいですから、大きな給気口が必要です(大手デベロッパーのマンションでは、各室に100φの給気口があるほかに、200〜250φの厨房用給気口があり、レンジファンと連動して開くようになっています)。レンジファン用の給気口がないか、閉じてある場合は、レンジファンを運転するとあらゆる隙間から空気が吸い込まれます。トラップの封水が抜けて、臭気が室内に引っ張られることがあります。特に洗濯パンのトラップは深さが浅いので水が抜けやすいです。
    小生に直接相談があった事例では、相談者が自分の目でこの現象を確認しています(オーム社発行『設備と管理』2005.5月号の<連載:『マサカ』の話>に「給気口がないと洗濯パンから臭気が逆流」のタイトルで掲載)。

  4. 状況確認のために、まず窓や給気口(換気用レジスター)をすべて閉じ、レンジフードを運転してください。洗濯パンの排水口(事前に注水しておく)に細く裂いたティッシュペーパーを近づけてみてください。排水口の水が跳んで、空気があがってきますか? そのままの状態で窓を開けてください。排水口からの空気の逆流は小さくなるはずです。
     このような状況があれば給気口不足といえます。

  5. 上記の状況があるなら、とりあえずの対策としては、レンジファン運転時には窓を開けるようにしてください。

  6. このような状況にならないなら、配管系の不具合ですから、ハウスメーカーに改善を求めてください。

◆「冬暖かく、夏涼しいということだったはず」というのは、どういう使用条件を想定してのことでしょうか? よもや冷房設備がなくても涼しいというふうに解釈されてはいませんか? ハウスメーカーがどのような説明をしたのか不明ですが、福島市内とはいえ夏に冷房がなければ暑いでしょう。涼しく感じるために最も効果的なのは通風です。断熱材とペアガラスは、夏の冷房時に外から入ってくる(冬の暖房時には外へ出てゆく)熱の量を減らすだけ機能しかありません。
 外断熱であろうと内断熱であろうと、断熱とペアガラスだけで、真夏の暑い時期に「涼しい」と感じるのは難しいでしょう。夏の期間を通しては外よりは若干温度は低めとなるでしょうが、それを「涼しい」と感じるかは個人の感覚の問題です。断熱もペアグラスもなかった昔の家のほうが、深い庇で日射を遮り、縁側や窓を開放してあれば涼しく感じましたよね。冷房なしで少しでも涼しくしたいなら、窓や扉を開放してください。
 外気温度と室内温度の計測をしてください、室内が低くなった分は断熱とペアガラスの効果といえます。


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エアコンの取り付け


<北海道千歳市・NKさん(公務員・38歳・男)>


 家を建てる前に、建築会社にエアコンの取り付け位置を指定してから2年後に電気メーカーにエアコンを頼んだところ、その電気屋が「排気口の位置と、電源の位置(電源の位置と排気口の位置が床に対して平行)が変です」と言われました。建設会社に電話したら「エアコンの機種ごとその排気口の位置までわからない。そこまでの責任は取れない、全部、うちのせいにされると困る。それはお客さんが買ったエアコンが悪い」と言われ逆切れされました。次に電気屋の人に聞いたら、こんな取り付け方は建設会社のミスだと言われましたが、ハウスメーカーが悪いのか、自分が悪いのかどうなのでしょうか?



アドバイスいたします
山本技術士事務所
所長 山本廣資


 質問の趣旨がちょっと不明です。排気口とは何を指すのでしょうか? 通常のエアコンは換気とは関係ありません。エアコン取り付け位置の壁には、将来のエアコン配管用に「スリーブ」(壁や床を配管などが貫通する場合に、その開口を確保するための鞘管状のもの)が取り付けてあり、使用しない場合は内・外共に蓋がついています。排気口ではありませんが、そのようには見えます。給気用の開口部(換気レジスターといいます)のことでしょうか? これがエアコン取り付け位置と重なっていて、エアコンを取り付けると給気口が塞がれるなら、建設会社のミスです。話のいきさつから、この位置が悪いということで話を進めます。

 通常、マンションや住宅でエアコンの将来取り付け対応を用意しておく場合、
  1. エアコン取り付け予定位置に取り付け用ボードをあらかじめ取り付けておく。
  2. 室外機との配管およびドレン配管用の「スリーブ」(壁や床を配管などが貫通する場合に、その開口を確保するための鞘管状のもの。使用しない場合は内・外共蓋がついている)を外壁につけておく(NKさんはこれのことを「排気口」と言っておられるのですか?)。
  3. 電源用コンセントをつけておく。
    等の対応が必要です。
     どのような機種のエアコンにも適応できるように配慮しておくのは望ましいことではありますが、全ての機種について検討するわけにもいかないので、一般的には手元にある良く使う機種で検討し、スリーブとコンセントの位置を決めます。
     建築会社が親切なら、竣工時点でこの機種に対応できますとNKさんに知らせておくべきだったでしょう。ただしメーカーが新型機を出した場合には、適合しなくなることはあります。
  4. 壁に給気用または排気用の開口部(換気レジスターといいます。「排気口」とはこのことですか?)がある場合は、エアコンで塞がれないように、取り付け位置に配慮します。

 質問の趣旨はA(上記の4.の不適切)を意味しているのでしょうか、それともB(2.3.の位置関係が不適切)ということでしょうか。

A.のトラブルは建設会社の不注意またはミスです。
B.の場合は、「お客さんが買ったエアコンが悪い」と開き直っているようですが、対応機種についてNKさんに知らせていなければ、建築会社のミスといえます。
 いずれにせよ上記の条件なら、素人のNKさんからすれば、対応機種が限定されているとは知る由もありませんから、「自分が悪い」と反省する必要はありません。CS重視の時代に逆切れとは住宅メーカもいい度胸をしていますね。



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屋根の葺き替えと荷重について


<埼玉県越谷市・Tさん(自営業・45歳・男)>


 築11年になる2x4住宅の屋根の葺き替えについてお尋ねします。
 もともとはコロニアル葺きだったのですが、劣化が進んだ上にカビも生えたりしていたので、昨年、ガルバリウムに葺き替えました。
 工法は、もともとのコロニアルの板の上にコンパネを打ちつけて、ルーフィングを敷き、さらにその上からガルバリウム鋼板を張るというものでした。見積もり段階で、かなり重量があるように思うのだが、これは建物全体に影響を及ぼすことは無いのか?と疑問に思い尋ねたところ、一点で支えるわけでなく、建物全体で支えるのだから問題ない、との回答でした。
 しかし、新築当初にハウスメーカーと交わした契約書には必要壁量等の計算書が付いており、そこには屋根材による係数等もちゃんと書かれています。
 このところ内装を一部、手を加えたい箇所が出てきて、家の図面を出してきて見ていたら、この点がとても気になってきました。
 使用した部材は、コンパネ52枚(厚さ未確認)、下地ルーフィング23・、ガルバリウム鋼板78(見積書では役物ロス含むと書いてあります)ですが、これだけあればかなりの重量だと思うのですが、リフォーム会社の言うとおり、特に問題ないのでしょうか?

 将来、窓を腰高→掃き出し窓に変更したい箇所や、新たに明かりとりの窓を付けたい場所があるのですが、リフォームの際には屋根の荷重が変わっているのだから、当然、必要壁量も変わってくると思います。よってリフォームについては、やはり2x4住宅リフォームの経験豊富な業者に、構造計算からきちんと見直してもらった方が良いのでしょうか? また、そのためには、昨年の葺き替え時に使用した合板の厚さを確認しておくべきでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 2×4工法は壁構造となっており、屋根自体の重量の他に、降雪などの短期的にかかる重量ととも、かなりの安全度(都道府県によって降雪量が異なるので埼玉県では降雪地帯のような計算を行いませんが、数十年に1度程度の稀に起きる降雪量に対応)を加味して壁量を計算設定しております。
 これは軸組工法と異なり、垂直加重を支える柱がついておらず、その荷重を壁で支え、さらに水平にかかる加重にも応力を持たすためです。
 昨今の大地震続きで、心配になられたのだと思いますが、本件の場合、コロニアルの上にコンパネ、ルーフィング、ガルバリウム鋼板の敷設とのことです。これは瓦などの屋根材と対比しても、はるかに軽量です。
 業者さんが仰せのとおり、コンパネと鋼板で屋根面全体で重量を支える等分布荷重構造になっています。

 むしろ、将来的に行う予定の開口部変更計画の方が構造に与える影響が大きいと思います。開口部を大きくすると壁量が少なくなり、垂直荷重に影響が考えられます。また、掃き出しにしますと、水平応力に影響が出る場合があります。
 今回の屋根材追加での心配はないと思いますが、開口部リフォームの際は、改めて構造計算の見直しを行うべきと思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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