住宅クレーム110番

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J110 News

基礎の鉄筋の組み方の誤りについて


<愛知県一宮市・山田さん(40歳・男)>


 こんにちは。いつも参考にさせていただいております。
 今、基礎部分(べた基礎)を施工中なのですが、鉄筋の組み方について、図面と違った施工がされております(手書き図面写真添付)。問題ないのか、ご教示いただけないでしょうか。よろしくお願いします。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 上記に記載の配筋図が正解です。
 コンクリートは圧縮力に強いのですが、引っ張り力に弱いため、コンクリートの引っ張り力を補填するために鉄筋が入れられます。ベタ基礎の外周部分は外部に引っ張り応力を持たす構造になるよう配筋しますので、上記のとおりとなります。
 配筋の位置も大切ですが「かぶり厚」といって、鉄筋をどれだけのコンクリートが覆っているかが重要です。鉄筋の下部と上部とも、そして外部に面しても、コンクリートからの「かぶり厚さ」が「6センチ」以上を有していることが肝心です。これは建築基準法に記載されております。むしろ鉄筋の配筋位置より「かぶり厚」の方が重要だといえるでしょう。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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棟上げされたが柱が細い


<栗東市・Fさん(会社員・36歳・男)>


 初めまして、どこに相談させていただいたら良いかと、投稿させていただきました。
 現在、栗東市に地元の工務店(環境共生でと滋賀県産の木を売りにしている)にて家を新築築中なのですが、5月7日に棟上げがありまして、現場を確認し異常を発見しました。柱の太さが120ミリの契約であるのに、一部通柱のみ120ミリで、後の柱梁は全て105ミリでした。
 他にも柱は無垢材のみを使用との説明でしたが、実際は中央の大きな梁(完成後にもよく見える)が集成材を使用したものでした、担当者に確認すると太さについては見積もりどおりでした。集成材は構造上使用せざる得なかったとの説明。
 また2階の床は、35ミリの厚い無垢材フローリングを使用して、1階の天井を兼用するとの打ち合わせでしたが、実際は合板を使用し、その上に12ミリの薄い無垢材のフローリングを張る仕様に変更されていました。
 担当の営業から、これは2階の音が1階に聞こえないように変更したとの説明ですが、同じ担当者から、無垢フローリングの35ミリ天井兼床で、音が漏れても家族同士の存在を確認できるのは、幸せな家だとの説明を受けて契約していたのに、腹立たしい思いです。
 室内は梁の見える造りとなってますので、完成後も105ミリの細い梁が、よく見える家になると思います。このまま建築を続けなければならないのでしょうか?
 見積書、契約書、建築確認書にも120ミリの柱使用とありますが、工務店側からの提案で、滋賀県産の木を使用した柱から国産の柱に変更すると60万円の値引きができると言われ、その見積もりには署名しました。そこには柱が細くなるとの文はなく、説明もありませんでした。
 ただ産地が変わるだけで、何も変わりません一緒ですとの説明のみでしたが、この先、工務店側のこちらを攻める材料になる気がします。現時点ではその話はなくなっています。
 担当者とは話になりませんので、今週末は工務店にて話し合いをするつもりですが、こちらは、建築、法律に関して素人です。何かいいお考えありませんでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 担当者の優柔不断な対応で、完全に質問者の信頼を損ねてしまったものと思われます。

 本件において、構造的問題で法的に責任を問うことは難しいと思われます。細い柱といっても105ミリであれば、確実に構造剛体を得ることができます。集成材は無垢材より収縮を起こさず、梁材としては優れた性能を持っており、構造的に問題はありません。

 本件はあくまでも、建主さんの当初に描いたイメージを損なうような工事の進め方にこそ問題があるようです。担当者の説明トークですが。「2階の音が1階に聞こえないように変更したとの説明ですが、同じ担当者から、無垢フローリングの35ミリ天井兼床で、音が漏れても家族同士の存在を確認できるのは、幸せな家」。家族の融和をはかれるような家づくりは大切な要素です。しかし、これを約束違いの言い訳にされるのであれば、語る資格などありません。完全に矛盾した説明ですので、ご立腹は当然でしょう。

 床35ミリの無垢材フローリングとは一般に市販されているもでなく、特別品となれば相当な高価ものです。仮に15ミリ合板の上に12ミリの無垢材フローリング施工の方が合理的で竣工後の扱いがラクなのですが、価格差が大きいと思います。この価格差の交渉は行うべきでしょう。しかし、どちらにせよ、階下に対する騒音対策については似たり寄ったりで、35ミリ無垢だからといって騒音対策だということにはなりません。

 家づくりは、建主さんとご家族、つまり住む人の幸福を包む空間であり、出来上がってから、一生付き合って行く空間でもあります。そのためには、建主さんの願いをきっちと履行していただき、施工者との信頼関係を取り戻すことが何よりも大切です。

 まずは、質問者が当初に描いた思いをしっかり聞いていただき、できうる限り具現化していただくことでしょう。本件については、見積書、仕様書、設計図書と契約書との整合が必要ですが、事務的で無機質な要素であり、ここで争そうのはいささか賢明な対応といえないと思われます。

 担当者の優柔不断な説明には納得ができるはずなどありませんし、担当者サイドの問題ではなく、会社として対応していただくことでしか解決できないと思います。しかし、決して感情的にならないことです。自分が気持ちよくこの家に住めるようになるための感情の納得が必要と思われます。私、回答者としては、質問者の意を汲むことのできる心ある施工者であることを願う心境です。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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マンションの共用部擁壁からの排水が流れず藻がはえている。


<兵庫県宝塚市・パセリさん(会社員・42歳・男)>


 マンションの消防空地として確保されている場所の擁壁の排水がたまっいて、どこにも流れないので水溜りとなり、藻が生えたうえ、蚊まで発生しています。
 新築3年目で、購入時には共用部でもあり、排水状況については気がつかなかったのですが、1年目から管理組合として施工、販売不動産へ手直しを申し入れています。しかし、消防検査合格済みとかで対応の意思を示してもらっておりません。
 また、消防空地の前に提供公園があるのですが、消防空地にたまった水は公園に流れ込むしかなく、1年も経つと公園に排水溝が出来てしまいます。一度溝が深くなったので市が土を入れてならしていただいたようですが、また、溝が出来てきつつあります。擁壁の下に排水の水がたまるのは設計ミスではないのでしょうか? 手直しを希望しますが、対応いただけないものでしょうか?

●画像添付あり●(4点)



アドバイスいたします
いずみ建築工房
泉 徹
電話:011(738)2006


ブログ:http://kenchikudanten.way-nifty.com/
建築の不思議な納まり:http://kenchikudanten.way-nifty.com/photos/izumiya_phot/

 設計ミスかどうか難しいです。いささか配慮が足らなかったと思います。
 丁度手元にあった「建築実務者の擁壁設計入門 大橋完 著 発行 建築技術」に、擁壁背面排水の諸形式を見つけましたので、参考図に添付します。
 擁壁には水貫は必要です、水貫の裏に砂利や多孔管の排水用管を入れ、水が背後にたまらないようにします。土質がわからないので推測です(粘土質?)、たぶん排水孔裏側が目詰まりして水が抜けにくく、擁壁の上側を雨水が流れたのでしょう。
 私は排水孔の下には排水溝を設けます、その設計者がどのように判断したかわかりません。建築より土木設計の分野でしょう。誰がどのように費用負担を行うかは、次の問題です。擁壁裏の土を排除して水はけのよい材質で埋め戻す必要があるようです。さらに排水溝を設ければ良いのですが、また維持管理が良ければよいですが、今までの経験では開渠にしてあっても泥や落ち葉詰まりにはほとんど機能していないものが多いです。
 むしろ、消防空地全体に水勾配をつけたほうが現実的かもしれません。この擁壁の問題と消防空地(消防検査合格済)の問題は関係ありません。


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