住宅クレーム110番

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第3種換気システムの家です。2階の給気口から給気しない…


<北海道恵庭市・きよさん(主 婦・34歳・女)>



 家の換気について、換気不足ではないかと不安で、投稿させていただきました。
 3年ほど前に新築したのですが、今回3度目の冬で、冬になるたびに気になっています。第3種の24時間換気システムで、自然給気、強制機械排気なのですが、冬になると2階から給気しなくなります。建築会社に聞きましたが、うちは大きな吹き抜けがあるために仕方がないと言われ、問題ないと言われました。
 また、キッチンのレジスターを作動すると給気するはずですと言われ、確かに作動すると給気したのですが、それで何が問題ないのかよく意味がわからなかったのですが、2階の給気口が排気することになる場合もあるみたいなことを言われました。
 こちらも全く知識がないもので、反論もできずにそのままになってしまっています。自分でもいろいろ調べてはみましたが、家の気密が低いと、そのような現象になってしまうようですね。気密が低いとしても今さら建ってしまった家はどうすることもできないし、換気の状態だけでも良くできればと思いました。冬に2階から給気しない状況は問題有りでしょうか? ちなみに夏はきちんと給気しているようです。
 また、気になる症状もあって、あくびがよく出る。睡眠不足でもないのに、すぐ眠くなることです。気にしすぎなのかもしれませんが、やはり換気不足なのではととても心配です。
 建ててもらった会社はもう信頼関係がなくて相談できない状況です。換気不足かどうか調べる方法はどうすれば良いのか、そういう専門の業者さんもあればと思うのですが…。
 このような状況ですが、何かアドバイスいただけたら幸いです。よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

■ 冬になると2階吸気口から吸気しなくなる!
 調査は必要ですが、やはり、気密が悪く館内が負圧にならないため、2階吸気口が排気口になっていると思われます。自然状態の場合は1階の開口部が吸気口になり、2階の開口部が排気口になります。
 高気密の住宅では、第3種換気扇を回し、計画どおり1階、2階の吸気口から新鮮な外気を吸い込み、生活で生じる室内の湿気・臭い、あるいは化学物質(VOC)など汚れた空気を本体の換気扇から排気します。
 これが計画換気ですが、計画どおりにするためにはC値(隙間相当面積)が次世代基準2.0以下の1.0以下にする必要があるといわれています。
■ 居間にいると冷たい風が降りてくる
 高気密・高断熱の住まいかどうかの物差しは、
1、 床と天井の温度差が何度か?→完全な仕事をすると1度差くらいまでにできます。床から冷たい空気を吸って、天井から暖かい空気を逃がさないので省エネになります。足元が暖かいと結果として暖房温度を上げないので省エネになります。
2、 家の中の温度差で風が起きていないか?→完全な暖房計画をすると限りなく温度差は起きず空気が移動しません。風が起きると体感温度が下がり、結果として暖房温度を上げ、省エネになりません。
3、 居間吹き抜けの開口部の冷気流を止める能力の暖房設備が設置されているか?→能力が足りないと冷気流を止められません。結果として暖房温度を上げ省エネになりません。
4、 全館暖房として、2階の暖房をしっかりと入れているのでしょか?→2階を暖めないと、1階の暖かい空気が2階に上がり、2階の冷たい空気を押し下げ、家の中で気流が発生します。結果として暖房温度を上げ省エネになりません。この場合、2階の吸気口が(室内が負圧でない場合)排気口になります。
■ 以上のことから、ひとつは気密が悪いこと、もうひとつは暖房計画の不備から2階の吸気口が排気になるものと思います。
■ 気密測定をするのであればSUDOでも測定器があるのでできますが、専門の業者を紹介できます。言ってください。
■ 気密測定をして、数値が悪い場合の補修工事はほとんどできません。
 床・壁・天井・開口部の気密シートの張り方などなので、すべて構造・下地の状況の工事になります。しいて言えば、基礎断熱に改修して、外壁を剥がして外壁側から気密化を図る方法があり、これは補修というよりは、既存建物の断熱改修工事の範疇になります。
■ 全ては気密測定をすると、気密・断熱レベル、換気・暖房レベルが予測つきますので、測定を実施してください。


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暖かい家にしたい!!(青森)


<青森県八戸市・つっきーさん(会社員・36歳・女)>


 築4年の一戸建て住宅です。総2階で40坪、2階が居住スペースでリビング、キッチンがあります。そのため1階の子ども部屋(まだ低学年のため全く使っていません)、洗面所は冬にはマイナスになり白い息が出ます(細長く全室に陽は当たります)。どこからか風が来るような感じがします。
 工務店に相談したところ断熱材は入っているが、隙間があるようです。屋根裏、外壁、床下に断熱材を補強し、見積もり額は400万ということでした。
 予算の都合上、床下の断熱材と、フローリングの上にフローリングかジュータンを…という提案をいただきました。ジュータンはコストダウンできるようなのですが、ペットもいるので掃除の面で迷っています。1階の床部分のリフォームだけで、どのくらい暖かくなるのかが不安です。予算オーバーしても、屋根裏もしたほうがいいのでしょうか??



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 まず、“住まいを科学する”ということから捉えなくてはいけないと思います。
 新エネルギー法が1979年にでき、省エネ基準が1980年、新省エネ基準が1992年、次世代省エネ規準が1992年に制定されました。
 八戸はII地区になっていますので、Q値(熱損失係数)が新省エネで2.3W/m2K、次世代省エネで1.9W/m2Kです。同じくII地区ではC値(隙間相当面積)は次世代省エネで2.0cm2/m2以下になっています。
 すなわち、上記のように気密・断熱の両方をしないと暖かい家になりません。
 さらに、断熱地域区分があり、地区別に床・壁・天井の部位において(使用する断熱材の仕様により)厚みが決められていますので、確認が必要です。したがって、本来は科学的に建物の断熱・気密レベルから仕様を決め、完成後、気密測定により確認するもので、暖かい家を望むのであれば高気密・高断熱に取り組んでいる工務店に頼むことが大切です。添付の写真で見る限り、高気密・高断熱の配慮が見られませんので、断熱改修にあたっては実績のある工務店に相談してください。質問にある、フローリング、ジュウタンの重ね貼りは寒さ対策にまったくなりません。
 まず、G値を計算し、C値を測定し現状を確認した上で、適切な対策をすることです。気密・断熱・換気・暖房の組み合わせをどのようにするか! 深い寒地住宅に対する知識が必要ですが、ポイントを押さえた断熱・気密(気流止め)で暖かな家にすることは可能です。


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天井断熱対策 夏の暑さに悩んで...


<東京都板橋区・OYさん(会社員・44歳・男)>


 築15年鉄骨、3階建、壁面ALC、面積9900mm×9500mmの3階に住んでいます。現在リフォームを検討中です。
 この際、夏の異常な暑さ対策ができないか検討しています。屋根裏をチェックしたところ添付の写真のように断熱がない状態でした。上側も金属に吹きつけはない状態です。
 この写真を見せ2社のリフォーム会社に相談したところ、1社は「1 : 強制換気」、もう1社は「2 : 発泡断熱材」を敷き詰める方法を提案されました。
 疑問点は、
1:のみの方法で暑さは改善されるのでしょうか?
2:のみで改善され結露の発生はないのでしょうか?
 吹きつける方法でなくても効果がありますか。現在は換気口はなく結露の発生もしていません。それぞれの方法を否定されており、どのような方法がベストか迷っています。それとも両方必要でしょうか。
 投稿を読んでも木造の場合が多く、判断に迷います。第三者のご意見をお願いします。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 本件は鉄骨の防露対策として鉄骨部分のみに薄い断熱材を発泡したに過ぎず、家の断熱を目的としておりません。ビル建築の多くはこのうな仕様で施工されています。本件の場合、真夏には屋根材のトタン折板が、太陽熱に熱せれられ100℃にもなります。したがって天井裏の温度は70℃前後まで上昇する場合があります。これが温熱環境に無頓着な日本の住宅の現状といえるでしょう。したがって、質問の換気が良いか、断熱が良いかの問いですが、どちらだけでも効果が上がらず、双方の抱き合わせ施工が必要です。
 先ず、天井の上にグラスウールを300ミリ程度(100ミリ三層)を敷き込み、その上に透湿シート(グラスウール上部の空気の動きを静止させて300ミリ全部の断熱効果を出すため)をのせます。しかし、屋根材が受けた熱が天井裏にこもりますとグラスウールをその熱が貫通しますので、外部に排出する必要があります。そのため必ず天井裏の換気が必要です。吹き付け断熱となると費用もかさみますが、グラスウールを重ねるだけなら費用も安価で済みます。
 30坪未満の面積なので片方に450ミリ角程度のガラリ(吸気口)を取り付け、片方に1000立方メートル/h程度の排気換気扇を対角線上に取り付けます。この程度なら工事費もさほどかかりませんし、この夏のエアコン電気代が大幅に削減できるだけでなく、質の高い冷房空間がつくれます。また結露の心配もまったくする必要がありません。
 早速、暑くならない今のうちに工事を行って、経済的で快適な夏を過ごしてください。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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土台に亀裂が・・・。


<大阪府・KTさん(会社員・29歳・男)>


 2月の終わりに新築が完成しました。先日、ふと床下収納の下から床下を覗くと、土台の木に亀裂が入っているのを見つけてしまいました。それも1ヵ所、2ヵ所ではなく、数ヵ所です。それも一部を覗いただけです。
 心配になり、工務店の方に写真を撮って見せましたが、「檜はある程度は割れたりしますが、全然心配ありません」と言われました。本当に大丈夫なのでしょうか?
 土台の木材は檜で、棟上の日は、どしゃ降りの雨でした。関係あるのでしょうか? 補強の必要性はありますか?



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協理事
兼 北海道Webサイト事務局 兼 札幌支部事務局
勇和建設株式会社
代表取締役 齋藤 保雄

新住協北海道:http://www.shinjukyo-h.jp/
勇和建設HP:http://www.yuuwakk.co.jp/
ブログ:http://blog.livedoor.jp/replanblog012/

■無垢製材のワレですね。
 「大丈夫と言われましたが、本当に大丈夫でなのでしょうか?」
ご不安に感じられるかと思いますが、大丈夫ですよ、ご安心ください。

■どうして大丈夫?
 在来工法木造住宅の使用材料の断面(太さ)算定においては、細かな構造計算をしていませんが、長い歴史の中で、木材のワレなども考慮に入れて十分な余力を持って、断面決定されています。
写真の程度のワレは、在来木造構法にとって「想定内」なのです。

■ワレによる強度低下は?
 無垢製材において、ワレが発生しても、そのワレが、「反対側まで見えるほどの」大きなワレでなければ、注意を要するほどの強度低下になりません。
 このワレは、木質繊維方向のワレであって、強度の基本となる木質繊維を断裂しているワレではないからです。通常あり得ませんが、長手方向と直角に木材の下側から上に向かってワレが発生したなら、心配すべきですが、このようなワレは工具で切断しない限り発生しませんので、ご安心ください。

■どうして割れるの?
 木材は、乾燥してくると、縮むという傾向があります。使われている製材が人工乾燥材だったとしても、その乾燥度合いは含水率20%程度ですが、住宅内部に使われた製材は、含水率おおよそ12%程度まで乾燥がゆっくり進みます。その過程において、表面から乾燥が進行するので、乾燥がゆっくりと進む内部木材を包んでいることができなくなって、ワレが発生するのです。
 このワレは、新築後からおおよそ最大2年がかりくらいで進行し、その後に納まります。

■さらに安心です!
 写真を見ると、大引(角材)を樹脂製束で支持されています。
 この納まりの場合、ワレ発生に伴う床の変形が少ないので、さらにご安心いただいて良いかと思います。


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基礎内側断熱の床下がカビだらけで悩んでいます


<茨城県北茨城市・SYOさん(会社員・38歳・男)>


 昨年5月に完成した木造軸組2階建てに住んでいます。引渡しから数ヵ月後の夏には畳一面にカビが生え(昨年の夏は雨ばかりだったので仕方ないと思ってました)、半年点検で床下のカビ、特に和室床板に多量のカビが発見させました。
 現在、工務店の対応を待っていますが、どのように対処してもらえばよいでしょうか?
 家自体は第3種換気なのですが、床下には換気口もガラリも見うけられませ。欠陥住宅なのでしょうか? 対応も非常に遅いのですが、もし対応していただけない場合、どこに訴えればいいでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 建築基準法の施工令、第22条に床下の防水に関する記述があります。
 床下の地盤面をコンクリートやたたき、またはこれに類する材料などで防湿のための措置を講じた場合、以外は下記のようにする。
1・床下地盤面から床面までの高さを45センチ以上にすること。
2・床下の部分には5メートル以下ごとに300平方センチメートル以上の換気口を設ける。
このような定めがあります。
 したがって本件の床下にガラリや換気口が設置されていないとするなら、何がしかの措置が施されていなければなりません。つまり、施す措置とは、本件のようなカビや腐朽菌などが発生しないような措置のことです。どこに訴えればということですが、新築して1年未満ですので施工者の施工責任は免れません。施工工務店にしっかりと対応をしていただくことです。
 本件の場合の確実な要因をこの文書だけから特定できませんが、床下換気口が付いていないということは、床下通気がなされておらず、しかも床下防湿が不完全だと思われます。それでも基準法どおりの設計と施工を行い、しかもその仕様で契約をして竣工させたとするならば、責任の所在が不明確となります。このような事態を想定し、素人の建主に負担をかけないような法的整備が急務と思われます。
 本件の場合、床下地盤面が外部地盤面より低くなっている場合は致命的です。そのような場合、砂などを床下に入れて少なくとも外部地盤面より高くすることが必要です。この上にポリフィルムを重ね幅を多くして敷き込めば問題を解決できると思います。このような施工法は建築基準法にも明記されておりません。したがって、あながち施工工務店にすべての責任を押し付けることも難しいと思われます。 ある程度の負担をしても実施すべきことを選択しなければなりません。
 質問者は、まず契約時に交わした図面や仕様書に記載されているとおり施工が行われたかどうかを、上記に記載された内容で確認すべきです。その上で、施工者側に対して竣工1年未満であることが大きな要素となりますので、その施工責任を求めるべきでしょう。施工責任とは、法的責任との異なり、かなり施工者側の良心に頼る部分ですので、相手の立場も考慮しながら、感情的にならず冷静に落ち着いて対応すべきでしょう。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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