住宅クレーム110番

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J110 News

べた基礎・布基礎のメリット・デメリットについて


<北見市・Tさん(主 婦・33・女)>


 新築を考えているのですが、各社基礎の考え方がさまざまで迷っています。べた基礎のところは頑丈を謳っていますし、布基礎のところはそれは無駄だし腐る原因と強調しています。実際のところどうなんでしょうか?



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 一般的に住宅の基礎に関するクレームの多くは住宅の沈下にあります。そしてその沈下には、同沈下という建物が均等に沈むものがあり、これは沈下量が大きくても、さほど問題は起きません。
 問題は不同沈下で、均等傾斜と不均等傾斜があります。均等傾斜では建物は傾きますが、基礎や建物にヒビ割れなどは発生しません。不均等傾斜とは、建物全体は傾斜し、かつ一部や途中から傾斜角度が違うもので、このような変形が生じると、ヒビ割れや開口部の変形など不具合が出てきます。住宅を設計するときに考えなければならないことは、沈下を検討し、不同沈下を起こさないことにあります。
 そこで基礎の形状ですが、不均等傾斜を小さくするためには建物の剛性を強くする必要があります。住宅の形状は正方形に近いほうがよく、基礎は直線状の格子のほうが軽量でたわみが少ない剛性の高いものになります。コンクリートは重量が大きいためコンクリートを多く使用すると、基礎自重による沈下が増える可能性もあります。
 布基礎やベタ基礎、個々の長短はありますが、大事なことは不同沈下を起こさないために建設地の詳細な地質調査を行い、それを高い精度で解析できる技術を持った人が設計をすることが条件です。基礎形態が優先ではなく、地質にあった基礎形状を選定できる知識のある施工会社を選ぶべきです。地質調査によって柱状図を確認し、ベタ基礎にするか布基礎にして支持杭で受けるかを検討して決めます。工法が“先にありき”ではなく、調査によってふさわしい工法を選ぶことが大切です。
 基礎内の結露や換気に関してはさまざまな方策がありますので、工法とは直接関係ありません。


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透湿防水シートがない家で外壁にクラックが発生


<茨城県常総市・AYさん(会社員・43・男)>


 今後の対応について、アドバイスをいただけますでしょうか。
 わが家の壁には「透湿防水シート」がありません。ハウスメーカーは、外壁材である窯業系サイディングが雨水の浸入を防ぐので問題ない(メーカの仕様)と言っています。
 しかしながら、築6年目(大阪のハウスメーカと平成13年3月に契約、8月入居)で外壁には複数の大きなクラックが発生してきました。

・ハウスメーカーでは、クラックをパテ埋めして防水塗装すると主張しています。
・当方は、「透湿防水シート」を用いた外壁施工のやり直しを主張しています。

今後どのような対応をするべきでしょうか。よろしくお願いします。
写真



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 写真で見る限り、外壁材のヒビ割れは、透湿シートの有無に関係がありません。透湿シートは断熱材の抱えた湿気を通気層に排出させるために設ける部材です。外壁のヒビには直接関係いたしません。外壁のヒビ割れは別な要因によるものと思われます。
 本件の場合、通気層が付けられておりませんが、雨漏りなどが心配です。通気層の役割は断熱材の乾燥、外壁材の乾燥および外壁材から漏った雨水の除去などがあります。しかし、通気層の有無は絶対要件ではありません。何らかの方法で上記のような問題を避けられる構造になっている場合、省略できる施工法もありますが、本件の場合、写真だけでその判断をするのが困難です。
 本件の場合で雨漏りが生じた場合、すぐに室内に雨水が入り込むため、瑕疵担保責任の対象となり得ると思います。つまり施工者の責任を法律的に問う事が義務化されおり、その都度、施工者に対応を求めることが可能です。本件の外壁材のひび割れは美観の上でも大いに問題です。透湿シートの有無や雨漏り以前の問題で美観上、ハウスメーカーに改善を求めるべきでしょう。雨漏りの発生していない状況下では外壁材、全ての張替え要求には築6年という歳月が課題となりますが、美観上、放置できる範囲を超えていると思われます。
 感情的にならず、上手に要求をして行くべきでしょう。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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新築4ヵ月で、床鳴り、ステンレスのサビ、重くなった建具


<愛媛県・匿名さん(女)>


 新築4ヵ月で床鳴り。担当の大工さんが来て床下から釘を打ち、なんと床上に貫通!! 慌てた営業さんが作業をストップさせたのですが、その大工さんの捨て台詞「もう少し早く言ってくれたら2〜3本で済んでいたのに!」と舌打ち。営業さんだけが私に「すいません」を繰り返しました。
 あれから20日余りが経った今日、ハウスメーカーが依頼した県外の業者により、床の張り替えが終わりました。が、別場所でも床鳴りが始まっていて…今日ハウスメーカーの現場担当の方も来ていたので、気になっている床鳴り、重くなった建具のことを伝えると(ステンレスのサビについては、水道屋さんを依頼してくれることになったのですが)、ほかは「夏に引っ越したばかりでしょう? 次の夏くらいまでは様子を見ないと…」と取り合ってもらえませんでした。そんなに待たないといけないものなのでしょうか? 対応に誠意を感じないのですが、私が取るべき対応は何かありますか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 ハウスメーカーは営業部門と施工部門が異なるために、このようなトラブルがよく発生いたします。施工する方々の多くが下請けとなっているため、竣工後は営業担当者の苦労もわからず、施工業者はできるだけ施工責任の回避を行おうといたします。
 新築住宅の場合、家の性能が定着するまでに2年くらいの期間を要する場合があります。本件の床鳴り現象も、使用した木材の乾燥収縮で発生したものと思われ、頻繁に見られる現象です。家を供給する側は、建主さんにストレスを与えないように根気よく対応しなければなりません。
 床鳴り現象は本件のように、長いビスなどで貫通固定する方法が最も簡易的な対象法です。床下に潜って根太と床材下地の隙間をライナーを挟み込んで修正する方法もありますが、そのような施工法ができない場合もあり、張り替えになる場合が少なくありません。
 本件は去年の秋の竣工と思われますが、愛知県の冬は極端に乾燥するため、このような現象が起きやすく、使用する木材の種類によっては、最初から想定して施工方法を選択することが求められます。施工する立場と営業担当者の立場が異なり、手に取るようにその状況が想像できます。建具の立て付けも木材の乾燥で狂い、きつくなる場合が多くあります。
 質問者は現場担当者が何を言っても、ハウスメーカーに対して納得行くまで対処するよう、要請し続けることです。質問者が悩む必要はなく、冷静にそして根気強く、要請し続けて行くべきです。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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基礎のヒビ


<茨城県水戸市・YHさん(会社員・45歳・男)>


 建築中の家にある基礎のヒビで悩んでいます。ぜひお知恵を貸してください。よろしくお願いいたします。
 基礎づくりをしている時は、ヒビは無かったと思うのですが、上物(ログ)を建て始めてから気が付きました。この時の写真が1で、土台から地面方向に向かってヒビが入っています。ここで、少し心配になり設計の人に聞いてみると、「コンクリートによくある表面だけのヒビだと思います」とのこと。少し安心していたのですが、2週間後には別の箇所で写真2のようにヒビの幅も本数も多いとこが目に付きました。3週間後も増えているような。7週間後の今日は、平均すると1〜2メートルごとに写真のようなヒビが見受けられます。
 表面がヌメッとしてないので、俗にいうシャブコンではないでしょうが、ヒビの多さや増え方が気になります。ぜひ、ご意見、ご感想をお願いいたします。
写真



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 基礎施工時にはヒビ割れが生じることはほとんどないと思いますが、建物が出来てくることにより荷重がかかり、風圧やゆれにより基礎に力が加わってきたためにヒビ割れが発生したと思います。一般的にはこの程度ではヒビ割れは生じるものではありません。写真からは乾燥収縮によるヒビ割れではなく、構造的な亀裂と思います。基礎にたわみが生じると同じような亀裂が生じることがあります。一番考えられることは、地盤が弱く不同沈下を起こしているのではないかということです。
 また、布基礎の場合、立ち上がり部分は梁となるので、この建物条件に合った断面や鉄筋が不足していることも考えられます。
 設計者に次の点について資料を求め、信頼できる建築士に見てもらってください。
 1.建設地の地質調査資料。隣接地ではなく現地のもの
 2.コンクリート資材の報告書
 3.基礎に関する図面
最低限これらのものがないと検討ができません。


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クロスの亀裂の対処法について


<東京都東大和市・KEさん(会社員・42歳・男)>


 東京都多摩地区の在来工法一戸建て(築4年2ヵ月)の洗面所にある縦長窓枠下部付近のビニールクロスに、横方向へ長さ約10センチの亀裂が発生しました。建築会社にクレームでのクロスの張り替えを依頼しましたところ、「ボードの合わせ目であるため、地震などの影響により早ければ1年程度で亀裂が発生するのが当たり前であり、もっと酷い状態かと思った。クロスの保障期間は2年なので張り替えはできない。コーキングなどで亀裂を埋める程度しか対応できない」と言われました。
 今まで親類や知り合いの一戸建てを何件も見てきましたが、4年程度で壁紙に亀裂が発生する等ということは見た事も聞いた事もありません。家は約3メートルの擁壁の上に建っており、造成後数ヵ月で建築が始まっております。また、建築後は震度2程度の地震が数回起こっている程度です。建築会社にクレームでのクロス張り替えを要求することが可能かどうかを教えてください。
写真



アドバイスいたします
建設大臣賞受賞
リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員)
代表 廣瀬 誠
電話:011(882)1200


ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/

 窓やドア等の開口部周辺はゆがみが生じやすく、地震や強風、積雪などといった自然環境の条件、建物の自重、地盤の状態、荷重や乾燥といった諸条件によっても、程度もさまざまに起こり得ますので、すべてが業者の施工ミスであるとは言い切れません。
 ただ、木造の新築住宅に関してはクロスの割れや亀裂はたいへん発生しやすため、通常では1〜2年間は無償でメンテナンスをしております。今回の場合は建築会社の問題もありますが、頼み方の問題もあったのではないでしょうか。どんな会社でもいきなり「今まで親類や知り合いの一戸建てを何件も見てきましたが、4年程度で壁紙に亀裂が発生する等ということは見た事も聞いた事もない」と言われれば、申し訳ありませんが、保証期間を過ぎていますと私でも言ってしまうかもしれません。うそでも「この亀裂は保証期間内で発生したが、やはり気になって今頃連絡したんですが」とか言えば、もう少し対応も違い、結果も違ったように思えるのですが。
 この写真を見る限りでは、よくボードのジョイント部分で発生する亀裂です。

1.まず現状を剥がさないで目立たなくする方法を考えてもらってください。まだこれくらいの亀裂なら、クロス屋さんの「匠の技」で目立たなくできる可能性はあります。

2.早い内なら同じクロスで部分張り替えをしても目立ちませんが、4年も過ぎるとたとえ同じクロスがあっても、日焼けや色あせをした既存の部分と新規の部分とがくっきりと分かれてしまうため、部分張り替えはやめたほうが良いと思います。

3.金額の問題さえ解決できれば、壁一面張り替えてしまうのが一番良いと思います。建築会社の対応もあまり良くないのではと思いますが、もう少し穏やかに話し合ってみてはいかがでしょうか。


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システムキッチンのステンレス天板の施工ミス?


<大阪府八尾市・SMさん(45歳・女)>


 1/17にシムテムキッチンのリフォ−ムをしましたが、右側のエンドパネルにステンレス天板が前下がりに取り付けられていて、中央の調理スペースは横方向に少し山なりに盛り上がっていて、水は流れて来るし卵も転がり落ちて来ます。反対の左側シンク脇だけがほぼ水平になっているため、全体にねじれてもいます。
 リフォ−ム会社社長が見に来た際、「ステンレス天板は曲がりやすいので、取り付け直しても水平に戻すのは難しい、と聞いたので新品と取り替えてほしい」と要求しましたが、「メーカーの指示どおりの施工でこうなった可能性もあるので、メーカーに問い合わせる」というだけて施工ミスではないと言わんばかりで、新品に交換する気も全くない様子です。一旦曲がってしまったステンレス天板の再利用が本当に可能なのか、専門家のご意見をお願いします。



アドバイスいたします
建設大臣賞受賞
リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員)
代表 廣瀬 誠
電話:011(882)1200


ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/

 待ちこがれていたキッチンのリフォーム。しかし快適に使えていないとのお話で、心中をお察し申し上げます。ご相談いただいたシステムキッチンのステンレス天板のねじれについてですが、どのように施工をされたか、天板のねじれの程度はどうか、前提条件が不明であるため判断をしかねる部分がありますので、曖昧な表現になってしまうことをお許しください。
 システムキッチンのステンレスの天板で、全体の緩やかな反りなどは別として、部分的に一度曲がったものを元に戻すことは私たち人間の手作業では困難であると思われます。人間が力を加えることで、また別な問題が発生する可能性もあり、容易に形状復旧ができる素材ではなく、基本的に新品と同じ状況には戻らないと思います。再び使用したところで問題が解決されていなければ『再利用』とはいえません。
 再利用を検討するにあたっては、傾きの改善方法として、設置し直す際に高さや取付位置の調整を行うことで、多少緩和できる見込みがあるかと思われます。調整で対応できる範囲のねじれ・傾きであるのかどうかは察しかねますので、施工した方の見解と、メーカーにも見てもらって見解を聞いてはいかがでしょうか。業者さんの施工ミスであるのかメーカーの指示ミスであるのか責任はどちらにあるにしても、使用開始する以前の施工段階での不具合であれば、施主が問題なく使用できる状態にすることが請負業者の義務です。設置し直すのか機器を交換するのかといった改善する方法の選択は任せても、最終的には改善されていることが絶対条件です。
 毎日使うキッチンの不便ですから、一日も早い改善がなされることをお祈り申し上げます。


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