住宅クレーム110番

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外壁のクラックと詰めモルタルの乖離


<北海道札幌市北区・OHさん(会社員・43歳・男)>


 築9年の鉄骨造4F建ての共同住宅なのですが、5年ほど前から外壁腰壁部に広範囲にわたってクラック・エフロ・錆汁等の発生を確認しておりました。(添付写真1・2)
 施工業者に相談したところ、乾燥収縮に伴うもので基本構造部分ではないから心配ないとの回答でしたが、念のため調査会社による破壊調査をおこなった結果、腰壁部(コンクリート打ち放し・樹脂モルタル)と上部外壁(中空押出成形セメント板)の隙間にモルタルが充填されており、その接合部の乖離がクラック等の主な原因であることが判明しました。(添付写真3)
 調査報告によればコンクリートの中性化・鉄筋の状態については問題ないとのことなのですが、このまま雨水が侵入する状態を放置しても良いものでしょうか。また当建物は品確法は適用されませんが、契約書において故意または重大な過失については10年間の瑕疵担保責任が規定されております。
 上記は「故意または重大な過失」に該当するでしょうか。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

■瑕疵期間
 築9年ということは平成9年に完成ということなので、ご指摘の通り品確法(平成11年制定)は適用になりません。瑕疵については、民法683条で木造の建物は5年、鉄骨の建物は10年になっていますが、例外として民間(旧四会)連合約款による請負契約書は、その27条で瑕疵担保期間として引渡しから木造の建物で1年、鉄骨の建物で2年(ただし瑕疵が請負人の故意または重大な過失によって生じたものであれば木造の建物で5年、鉄骨の建物で10年)と定めています。今回も、この民間(旧四会)連合約款による請負契約書によるものと思われます。
■瑕疵の適用
 ご指摘の通り、今回の瑕疵が「故意または重大な過失」になるかということが問題になります。今回の瑕疵部分は基礎腰壁上部と外壁(中空押し出しセメント版=商品名でアスロックでしょうか?)の間の詰モルタル(または腰壁上部の天端均し)部分が剥離をおこし、その部分から漏水して錆汁が出、白華現象を起こしている所です。故意ではないにしても、重大な過失か?という判断は難しいものがあります。仮に、品確法に照らし合わせてみても、今回の場所が品格法にある「構造耐力上主要な部分」「雨水を防止する部分」に該当するか?ということになりますが、これも難しいものがあります。したがって、今回の場合、瑕疵の27条による「重大な過失か?」を論じるよりも、施工会社、販売会社と良く協議をして解決したほうが良いと思います。
 やはり、現状の今のままでは建物に良くありません。対策としては剥離部分をカッターで切り取り、シールし、漏水を防ぐことが必要です。築9年ということなので、外壁の塗り替え時期にもなってきています。外部塗装の塗り替え時に、この部分の修繕工事を一緒に行うことで、施工会社と協議すると良いと思います。


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壁内結露を防ぎ快適な温熱環境をつくるためには?


<投稿日時:佐賀県嬉野市・TKさん(自営業・47歳・男)>


 お世話になります。地域は佐賀県です。私は、建築業界33年になる大工=現場監督です。
 私たちが建てているのは屋根断熱棟換気の木造住宅ですが、壁内結露や夏涼しく冬暖かい家を造るにはどうしたらいいのか悩んでいます。
 構造は外部より、サイディング・18ミリ通気層・透湿防水シート・ダイライト・柱、間柱間に入れる押出法ポリスチレンフォーム(ダイライトに押し付け取り付けています)・べベルボード・透湿クロスまたは塗り壁、ムク板など(ムク板の場合はべベルボードなし)のような仕様になっています。
 床下換気は、基礎パッキンを使用し、ネダレス工法・土台の上に直にムクの厚板30ミリを張っています(床下断熱です)。断熱材と柱の3ミリ程度の隙間が出た場合はそのままです。気密処理は特にしていません。床下からの空気の流れは土台の間柱カギをしてある部分からだけになります。
 このような基本仕様ですが、壁内結露を防ぎ快適な温熱環境を作るための構造としては、これでいいのでしょうか? 外張り断熱がベストと考えていますが施主様の建築費の負担が増えるので、現時点ではこのような仕様にしています。以上ですがアドバイスよろしくお願いします。



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 建物の基本は、世界的にも「内部気密」「外開放」です。
 今回の仕様を見ると、屋根断熱棟換気・通気工法・ネダレス工法と部分的に良いものを取り入れていますが、内部気密のことが考えられていません。内部側に気密シートを連続して貼ることによって壁内結露を防ぐことになります。
 技術としては、石膏ボードだけで気密が取れるボード気密工法や、夏型結露を防ぐための特殊な内部気密シートの開発などができています。断熱気密をする場合に一番大切なことは、床・壁・屋根の断熱材に含まれる空気を移動させないことです。断熱材を入れることによって暖かくなるのではなく、断熱材に含まれる空気が断熱になるのです。ペアガラスを考えた場合、周囲のゴムに穴が開いて空気が出入りした場合は、ただの2重ガラスになってしまいます。ペアガラスの中の空気が動かないことによって、空気が断熱材になるのです。防寒コートを着た場合も、中にどんなに厚いせセーターを着ても、腰周り・袖口・襟元を空けていたら、風が通り効果がありません。セーターの毛糸が暖かいのではなく、毛糸に含まれる空気が動かないことによって断熱・保温効果があるのです。したがって、断熱材をどこに、どれだけ入れるかではなく、断熱材に含まれる空気をいかに動かさないようにするかが大切になります。在来工法は軸組み工法なので一番不得意なのですが、このことを改良した新在来工法があり、壁内結露を防ぎ・快適な温熱環境を実現しています。
 この新在来工法に取り組んでいる団体がありますのでご紹介します。もう少しのところまで来ていますので、ぜひ資料を取り寄せて取り組んでみてください。必ずご理解できると思います。インターネットで新住協のHPを検索してください。


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トップライトの施工について


<山梨県南都留郡・SYさん(主 婦・40歳・女)>


 カラー鉄板平葺きの屋根にトップライトをつけて新築工事を行っています。トップライトをつけると採光には適しているが、雨漏りの原因になり易いと施工を始めてから知りました。添付した写真の状態で完成と言う事ですが、台風や積雪の時に大丈夫でしょうか?教えて下さい、宜しくお願い致します。
(写真)



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 写真を見る限り、トップライトはB社のものだと思います。世界的にもかつ日本でもトップシェアーを持っている会社であり、アフターメンテナンス等の対応も良いのできちんと施工すると基本的に問題にならないのですが、やはり屋根に開口部を設けることなので、どうしても必要な場合以外はできるだけ避けたほうが良いと思います。
 B社のトップライトには、瓦の場合・コロニアルの場合、金属版の場合というように、施工方法の標準仕様が指示されています。写真を見る限りでは、水上と水下に使っている役物はコロニアル用の納まりと思います。今のB社の箱には板金納め用の説明書が入っていると思いますので、指定の通りに施工するようにしてください。
 写真を見る限り、他に於いてもメーカーの指定通りに納まっているところがなく問題と思います。写真では中の納めが解らないので、雨漏れの可能性についてはコメントできませんが、メーカー指定通りに施工しない場合、アフターメンテナンスを含めた保証を受けることができなくなると思います。指定の施工通りに行われているか良く確認をしてください。


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基礎に水が…。この家は欠陥住宅?


<秋田県秋田市・SYさん(主婦・35歳・女)>


 はじめまして。今年の2月に家が完成し、3月に入居しました。一階はビルトインガレージとホビールームになっています。雨が降るとホビールームとガレージの立ち上がりから水が出てきてあまりひどいので、ホビールームの床をはがしてもらうと、なんと金魚が泳げる程の水溜まりになっていました。半年かけて原因を調査してもらい、結果基礎に穴があいており雨が降るとそこから中に水が入ってきていたのです。
 中から浸透性の防水剤を何度も塗り、外は基礎ベースまで堀り再度塗り直し、床もはりましたが、不安でいっぱいです。しかも、駐車場には三カ所ヒビが入っており、雨が降るとそこからしみ出してきました。このまま何十年と住み続けて行くのに不安です。この家は欠陥住宅なのでしょうか。ご意見やアドバイスをお願いいたします。



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 建物を建てる敷地の基本は乾燥した土地であることです。周囲から水が寄ってくるような敷地ではなく、また、地下水位が高く水が沸いて来たり、元々の環境から湿気が高くなることがないような土地であることです。
 今回の問題から推察すると、半地下だったり、傾斜地に建物が一部埋まるような地形でない事とすると、周囲の地盤より住宅内の地盤が低いように思われます。布基礎にしても、ベタ基礎にしても、通常の場合基礎に防水性は求めてはいませんし、基礎の場合水を止めることも難しいものがあります。
 対策としては、周囲の地盤が建物内よりも高い場合は、建物周囲に暗渠配管を敷設して、外部から入り込む水を抜くと共に地下水位を下げることが大切です。特に木造の建物の場合、床下に湿気があると木が腐り、構造的に大きなダメージを受けますので水対策をしっかり行ってください。


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マンションに避雷針が設置されていないなんて!


<神奈川県横浜市・NHさん(会社員・51歳・男)>


 横浜市内のMSに住んで5年になります。3階と4階建ての棟が22棟ある大型MSで、少し高台に立地しています。この間に大きな落雷で、複数の棟でテレビが写らなくなったり、インターホンが故障したりする被害が2年もありました。現状は、建築基準法第33条によると、高さ20メートル以上の建築物には、避雷設備を設置しなければならない。となっており、20メートル以下は、つけなくてもOKとなっています。当MSも20メートル以下のため、避雷針が最初から設置されていないことを最近知り、とてもショックした。高台にあり、とても落雷に遭いやすいというのに!
 MSの販売会社にクレームを出しましたが受け付けてもらえませんでした。販売会社、並びに建築基準法に対抗して、防災上、または消防法などで避雷針等の設備が必要になる法律、または条令などをご存知の方はお知恵を授けてください。よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
ヒガシノデザイン
ひがしの雅司
電話:011(717)5166


ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/

 日本工業規格において、「避雷設備(避雷針)とは雷撃によって生じる火災、破損又は人畜への被害を防止する事を目的とするものの総称。」と用語の定義がされています。
 避雷設備は、法律で20メートルを越える建物の部分や煙突などの工作物と、一定量を越える危険物の製造所や貯蔵施設に設置が義務付けられています。その他の場合の設置の判断は、落雷の危険性に係わらず建築主や設計者の意思に任されています。一般的にあまり認識されていませんが、建築基準法(下記)は最低限の事を定めた法律なのです。

建築基準法、第1条(目的)
 この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。


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