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二重断熱の通気層の必要性について<福島県双葉郡・ITさん(会社員・32歳・男)>
私が新築を依頼しようとしている工務店は、壁は二重断熱で内断熱にセルローズファイバー、その外側に樹皮断熱材を使用しています。具体的には、内側から【漆喰→石膏ボード→不織布→セルロースファイバー厚さ120mm→樹皮断熱材厚さ20mm→構造用面材S厚さ4mm→通気垂木→外壁(ガルバリウム)】が壁の仕様です。
ここで質問です。断熱材のセルロースファイバーと樹皮断熱材の間に通気層がなくても大丈夫なのでしょうか。基本的には内断熱なので、セルロースファイバーの外側に通気層が必要と思うのですが。ここは、東北です。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
住宅の基本は内部気密・外開放です。したがって断熱材の内部側に気密材を施工し、断熱材の外側は呼吸できるようにします。
通常の施工方法では今回の場合、内部から漆喰・石膏ボード・気密シート・断熱材・構造用面材・タイベック(防水性+通気性のあるもの)・通気胴縁・外壁材となります。今回の使用材料を見ると、断熱材のセルロースファイバーと樹皮断熱材は通気性のある材料で、構造用面材S(材そのものは古紙で通気性のあるものですが)は表面を防水処理してあり通気性はなく、ジョイントも防水テープを使用する防水層といえるものです。 Sの使用例を見ると、外断熱工法で、構造軸の外にS・断熱材・通気胴縁・外壁材になっていました。これであれば、断熱材の内部側に気密性のあるSがあるので理に叶っていると思います。したがって、Sを断熱材の外側に使用すると、通気性がないため結露を起こすことが考えられます。また、通気性のないSの外側に通気層を設けても意味のないことになります。この施工順序はぜひ考え直してください。間違いです。 |
スイッチ・コンセントからの冷気と臭いを防ぐには?<石川県石川郡・IHさん(主 婦・45歳・女)>
わが家は1999年新築の、大手メーカーの軽量鉄骨住宅です。1年半経過した頃、「冷気の侵入を防ぐ方法は?」と同じようにスイッチ、コンセントから風が普通に出ているのがわかりました。冬はコンセントの側では寒くて寝られません。苦情を伝えると、スイッチ、コンセントカバーを外して、粘土とテ−プで穴を埋めてくれて、風は弱くなりましたが、その後、臭いが出たので5年後に、本社に苦情文を出したら、防気カバーをつけてくれました。
断熱材を入れていて、冷たい風が出るのは、おかしいと伝えると、風が出るのは防ぎようがない、社員(一級建築士を含む)の家からも出ているそうです。しかし、地元の社員の家はプライベートだからと、見せてくれません。床下も雨が降ると、水が一部入ってくるので壁の中も心配です。壁の中の臭いは新建材の臭いで木の臭いではないです。気流止めを建築士に相談したら、会社により、やり方が違うのでと言われ、現在どうしたら良いのか悩んでいます。私は壁を壊してもかまわないと思っています。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
断熱・気密・換気・暖房の工法(施工法・仕様)がわからないと、根本的な問題の判断がつかないので回答は難しいものがあります。
コンセント・スイッチBOXからの風を防止するだけのことであれば、簡単にコンセント・スイッチBOXの中に後付けできるものが市販されています。例として松下電工の防気カバーWV2491K、タイガー産業のものがあります。 今回はすでに防気カバーをつけたということなので、この問題は解決したと思いますが、壁の中を風が走るというのは、どこから入ってどこに抜けているのか? 冷たい風が壁の中を移動することは良いことではありません。もう一度メーカーと折衝して、気流止め等の確認をしてください。対応がまずいようであれば、断熱・気密に詳しい建築家・工務店に調査を依頼して原因を突き止めてください。特に気流止めがポイントになります。 |
すが漏りで困っています<長野県中野市・KTさん(会社員・41歳・男)>
2年前に工務店で新築した家が、この冬に「すが漏り」により軒裏・屋内の壁・天井が水により傷んでしまいました。春を待って工務店で修理の予定でしたが、工務店の社長より「すが漏りは自然災害なので保障で直すつもりはない」との話があり、困っております。原因は瓦・天井裏の断熱材など考えられますが、それについても保障しない考えのようです。
この工務店に対して良い対処方法があればアドバイスいただきたいのですが。何卒、よろしくお願い申し上げます。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
スガモリ現象はいくつかの諸条件が重なった際に発生いたします。施工状況が標準範囲であってもスガモリが生じる場合があります。したがって、一概に工務店への保障を求めるのが困難な場合もあります。スガモリはまず、天井裏の断熱材が薄いことと小屋裏の自然換気が十分でない場合に発生しやすくなります。さらに居住空間での生活発生水(洗濯、炊事などで発生する水分)が増加した際に生じます。この3つの状況が重なった場合にスガモリが生じやすくなります。天井の上にポリフィルムで防湿して断熱材を載せておりますが、実際にはポリフィルムを敷いていても、この3つの状況が重なればスガモリが生じる場合があります。
天井裏の断熱材の厚さも、小屋裏の自然換気も基準は設けてありますが、規制がないので施工者の裁量の範囲で行われているのが実状です。保障という大げさなことでなく、天井裏に断熱材を厚くすることは費用的にも安価ですので「材料費を支払うので敷設施工を無料で行ってください」とお願いしてみてはいかがでしょうか。また、小屋裏の自然換気も換気口が不足でしたら換気フードを追加する工事が必要です。これも大した費用は伴いませんので、ある程度の負担をしてでもスガモリのしないように対処すべきでしょう。放置しておきますと壁体内のグラスウールが湿気を吸って断熱効果がますます悪くなり、さらに壁体内に腐朽菌を発生させる場合があります。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
サイディングが波打っています<静岡県・STさん(会社員・45歳・男)>
築8年目で、パネル工法の横張りサイディングなのですが、サイディング全体が波をうったようになっており、目地の部分のコーキングもひび割れ、2枚の外壁が接合部分から剥がれ5cmくらい開いています。開いている部分を触ってみるとふわふわしており、薄い断熱材みたいでした。外壁全体の釘打ちも揃っておらず、間柱に確実に打っていないようです。内装の壁紙も斑模様の染みになっており、一部壁紙が剥がれています。
このような場合、施工業者に保障してもらえるのでしょうか? またどのように修繕したらよいのでしょうか? 教えてください。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
サイディングの種類が判明せず断定できませんが、窯業系サイディングの積層剥離現象かと思われます。積層剥離の場合は残念ながら取り替え以外の対処方法はありません。多くが硬さの少ないサイディングが、外部でなく内部からの湿気や継ぎ手の切り口より水分が浸透して剥離状態となります。
パネル工法とのことですが、パネルの中の断熱材種類も大きく関わってまいります。パネル工法でも、外側に通気層を作るためとサイディング下地を兼ねて、約45〜50センチ間隔で、胴縁を取り付けているはずです。安価で剛性の少ないサイディングは、数年程度でこの胴縁の部分を頂点として波打ち状態になる場合があります。間柱の上に胴縁を打ち込みますので、釘のせいではないと思われます。コーキングもメーカー保障はせいぜい5〜6年程度ですので、施工業者への保障要求は困難であると思われます。 築8年ということですが、パネルの断熱状況などで内部の湿気が多くなり、内装材の剥がれを生じさせる場合があります。これはサイディング剥離と直接的な関係はないものと思われます。サイディングやコーキングについては、意識して高価で特別な仕様で施工したのでない限り、築8年を経た現在の状態で施工者に無料補修を実施させるのは、かなり困難かと思います。仕様によっては築8年くらいでさまざまな手入れが必要な場合があり、施工者と上手に付き合いながらできるだけ安価に補修をお願いするのが賢明と思われます。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
キッチン天板のヒビ割れで悩んでいます<神奈川県鎌倉市・KYさん(主婦・50歳・女)>
8年目のわが家のキッチンの天板は人工大理石なのですが、昨年初め頃からガス代の縁の所にヒビが入りだし、それがどんどんのびているのです(それも左右2ヵ所!)。
今までにもこんなことはあったのでしょうか? こうなると、修理というよりキッチン天板すべてを交換しないとダメなのでしょうか? 修理はできないのでしょうか? 交換したらどのくらいの金額がかかるのでしょうか? プロの方に教えていただきたいです。 アドバイスいたします 建設大臣賞受賞 リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員) 代表 廣瀬 誠 電話:011(882)1200 ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/
優れた耐久性やデザイン性を持つことから、洗面台やシステムキッチン等の天板に使用されている「人工大理石」。しかし、ひと口に「人工大理石」といっても、メーカーやタイプによってさまざまな材質と種類のものがあり、それぞれによって耐久性もメンテナンス方法も全く違うものになるのです。
今回、ご相談いただいた方のキッチンに使用されている人工大理石がどんなものかを特定することができないので、確かなことは言えませんが、ガス台の縁のところのヒビとあることから、ガス台の開口部の近くの場所と想像できるので、こういった場所は細くなっている場合が多く、天板の作り方や厚みにも関係してくるのですが、力の作用の仕方によってはヒビ割れが発生しやすい場所になっています。これに、キッチン自体が水平に設置されているかということも問題の要素になります。いずれにしても、人工大理石なので割れないということはないので、設置場所の環境要素も含めてヒビ割れが起こることはあるということです。 ヒビ割れの補修については、お使いのキッチンメーカーさんでも補修はできますし、いわゆる補修屋さん(床の傷や家具の傷、ピアノの傷といったものを補修する工事やさんのこと)にお願いすることもできます。補修の料金は傷一ヵ所¥…(長さ、深さ、材質で金額は違います)プラス出張費といった具合で、¥15、000前後くらいからではないでしょうか。しかし、割れた原因が何によるものか等を、一度、設置した業者さんやキッチンメーカーの方に見ていただくことをおすすめします。原因がはっきりするのであれば、その原因を取り除くこともしないとまた同じ現象が現れて、直すことが無駄になることもあるので、専門の方に一度見ていただいてから、次の段階に進むほうが良いと思いますよ。 |
床・壁の大理石に次々現れるシミ…<京都府京都市・AMさん(42歳・女)>
新築の一戸建て(1階:鉄筋コンクリート、2階:木造)の1階部分のDKの床および壁をすべて大理石で仕上げていただきました。石を貼り終わってから約3ヵ月間養生をしたままでした(引渡し直前に一度美装済み)が、3月末引渡しのときに、床にも壁にも丸い淡いグレーピンク?のシミが散在して現れているのを主人が発見しました。その後、40角のどのタイルにもまんべんなく多数現れ、徐々に濃くなり、かなり目立つものも増えています。DK全体にガス温水式床暖房が入っていますが、シミは床だけでなく壁にも同じように現れています。業者さんが漂白テストを行ってくださっていますが、わずかに薄くなっている程度で、はっきりとした効果が得られておりません。すでにシステムキッチンも設置済みで、引渡しは受けたものの使用もできず、私どもは身動きの取れない状況です。このシミはいったい何が原因で、どうすれば改善できるのでしょうか?(業者さんが大理石を1枚割って調べたところ、下地側での変化はなく、表面ごく浅層のみのシミで、おそらく水によるものだろう…との報告でした)。
アドバイスいたします 建設大臣賞受賞 リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員) 代表 廣瀬 誠 電話:011(882)1200 ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/
大理石のトラブルの中で多いのが、この変色やシミの問題とヒビの問題といわれております。天然大理石は表面がつるつるしているので、物質密度が高いと思われている人が多いかもしれませんが、実際は気泡が非常に多く、水や塗料などが浸透しやすく、浸透してしまったら簡単なお手入れ方法で元のような美しさを取り戻すのは非常に難しいものといわれており、貼り替えや石材メンテンスを得意としている業者さんに依頼をするなど方法は限られると思います。
今回のご相談の「シミ」が何かを調べないと、どこに問題点があってこのような「シミ」が発生したのかわからず、責任の所在がはっきりしません。どういう施工方法で大理石を貼ったのかはわかりませんが、大理石自体の成分やモルタルや接着剤の成分との化学変化による変色なのか、あるいは、石貼りが完了してから約3ヵ月間養生したままとあるので、可能性として、もし湿気を含みやすい素材のものでずっと養生していた場合には、「カビ」が発生してしまったことも考えられます(初期の頃のカビのなかには薄いピンク色のものがある)。 いずれにしても、この「シミ」が何かを調べることが必要になると思います。引き渡しを受けたばかりと書かれていますが、引き渡しを受ける前からこのシミについては気づいていらっしゃったようなので、その辺がどのような取り決めで引き渡しを受けられたのかは定かではないのですが、いずれにしても新築を依頼した業者さんに積極的に動いてもらうように話をしてみてください。 |
NPO住宅110番はリニューアルいたしました。 |