住宅クレーム110番

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J110 News

地盤沈下で基礎が浮き揺れます


<埼玉県南埼玉郡・Mさん(会社員・62歳・男)>


 築27年のコンクリートプレハブ2階建て、5軒連棟住宅です。建設地の地盤が悪かったようで杭を打ち込み基礎を支えているようですが、入居以来、年毎の地盤沈下で布基礎の下に空洞が広がり、今は25センチくらい浮き上がっています。3年前にすぐそばに10メートル道路が開通し、車が通るたびに横揺れを感じていました。だんだん揺れが激しくなるようで、地震の時に杭が折れて倒壊するのではと心配しています。
 年数も経ており瑕疵を問うことも難しいでしょうから、何か上手い補強方法があれば、ご教授いただきたく。杭は連棟5軒それぞれの四隅にあるらしく太さはわかりません。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 今回の状況ではいろいろ問題が出ています。
1.凍結深度
 埼玉県で凍結深度は指定されていませんが、基礎の根入れは24センチに以上に規定されています。凍害と横ずれの恐れがあります。

2.地盤沈下
 もともと地盤が弱かったことに加えて、近くに出来た道路工事によって地下水位が下がり、地盤沈下が進んだということが考えられます。

3. 横揺れ
 地盤沈下によって杭に支えられた基礎が浮いた状況で横揺れがひどいというのは、ご心配のように杭が折れて建物が動き、水平を損ない、倒壊の恐れがあります。したがって至急に地質調査を行い、地盤(地耐力)の確認をしてください。地盤が弱く、計算的にもたないのであれば地盤改良が必要です。
 完全な方法としては、基礎の下にジャッキを入れて建物を持ち上げ、地盤改良をしたり、べた基礎(布基礎ではなく建物の下全面を基礎にする)にする方法がありますが、非常に大変な工事になり、コストも建設費の50%は覚悟しなくてはいけません。
 文面を見る限り、簡単な方法で「安全」にすることは難しいと思います。なんといっても地盤調査からどのようにするかが決まります。その上で、専門の会社に相談してください。


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全館暖房のリフォームについて


<京都府京都市・NMさん(自営業・33歳・女)>


 全館暖房のリフォームについておうかがいいたします。7年前、設計士さんに頼んで、将来を考えた段差のない家を建てていただきました。とても間取りはいいのですが、冬がものすごく寒いのです。家族が一番長時間いるリビングが吹き抜けで、どんなにストーブを焚いても、膝掛けが手放せません。玄関や廊下やトイレ、洗面所などは息が白くなります。私自身は先天性心臓疾患の障害者で、毎年この温度差はとてもこたえます。
 お願いしました設計士さんにおうかがいしたところ、段差は配慮したが、温度は聞いていないとのこと。心臓のことはお話ししていたのでわかっていただけていると思ってお願いしておりましたので、立ち上がってしまったあとにわかり、非常に残念です。
 今は全館暖房ができると知り合いより聞きましたが、それは建てる時からでないといけなかったのでしょうか? リフォームのコストはかなりかかるのでしょうか? 家にもよると思いますが、予算が100万ほどからなのか、1000万以上が普通であるのか、おおよその単位自体もわかりません。おそらく今の私の収入ではとても手に届かないと思いますが、将来の夢として少しずつでも準備したいと思っています。とてもお答えになりにくいとは思いますが、予算の最低限の目安と、何か助成金などの情報がありましたらお教え願えませんでしょうか?
 また、窓から放熱することが他の方の質問のお答えにありましたが、それを押さえるように窓を2重サッシにするのは、1枚ずつなどお願いできるのでしょうか(せめて脱衣所だけでももう少し暖かく、暖まりやすくしたいのです)? その場合、どの程度の予算を目安にしておけばよいでしょうか?
 今年の冬は本当に厳しく、温度を上げる必要を感じています。現状がわからない状態で答えるには難しい質問ばかりで申しわけありませんが、何とぞお教えください。よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 建物の基本は、一に雨風を凌ぎ、二に温かい家で、それから水まわり等の快適さ、さらには吹き抜け等の豊かさの順になると思います。

・全館暖房に関して
 今の家を全館暖房にすることはもちろん可能ですが、断熱改修することが前提で、そうでないとコスト(ランニングコスト)の面で継続が難しくなります。
・断熱改修に関して
 断熱改修の基本は、断熱(床・壁・天井の断熱・サッシの断熱性能)と気密(建物の隙間)化を計ることで、さらには壁の中の気流止めをすることにあります。温められた空気は膨張して比重が軽くなり上昇し、冷たい空気は比重が重くなり下がります。したがって吹き抜けがあると、温められた空気は2階に上昇し、2階の冷たい空気が押されて下がってきます。すなわち1階のストーブで2階が温まり、その後1階まで温かい空気が下りてこないと1階が温まりません。このことから、温かくするひとつの方法は、吹き抜けの対策をすることです。吹き抜けを塞ぐか、上がった温かい空気をいち早く下げる(サーキュレーター等)ことが必要です。新築の完全な高気密・高断熱の全館暖房の家では、1階の床と吹き抜け2階天井の温度差を1〜2度までにすることができます。中古住宅の家でも、高気密・高断熱を熟知している工務店であれば十分に可能なのですが、実情は北海道など寒冷地でようやく取り組まれてきた状況なので、京都では難しいものがあると思います。
 断熱改修のコストについては、新住協(新木造住宅技術研究協議会)で断熱改修マニュアルを決めるときに、暖房を含めて300万を普及のための基準に考えました。ひとつの参考にしてください。断熱改修の助成金はないと思いますが、リフォームに関しては条例で助成制度のあるところがあるので、府に確認してください。
 サッシの取り替えは1ヵ所ずつでも可能です。窓の単板ガラスのサッシをペアガラスのサッシに取り替える場合のコストは、サイズ・外壁の納まりなどで変わりますが、10万程度と思います。
 断熱改修を全国ネットに近い形で取り組んでいる組織「新住協」があります。岐阜までは支部がありますので連絡(本部)を取ってください。断熱改修に明るい工務店との出会いが大切になります。
新住協本部事務局(仙台) メールアドレス:webmaster@shinjukyo.gr.jp


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家の揺れに悩まされて10年経ってしまいました


<愛知県岡崎市・SRさん(会社員・36歳・男)>


 はじめまして。10年前に建売で買いました。木造2階建てで1階は、キッチンを含む1ルームで14畳ほどあります。トイレ、バスがあります。2階は6畳の和室、12畳の洋室、4畳半の納戸があります。
 季節風が強い時は、2階の部屋は揺れ、きしむ音までします。特に和室はひどく、季節風で蛍光灯のかさが外れたりしました。この和室は、階段を上り下りしたときも響き、普通に和室を歩いても縦に揺れて、とても寝られる部屋ではありません。購入した時からなので、その時に対応すればよかったのですが、住宅会社は直しようがないと言い、自分の家も同じだと意味のないことを言って対応してもらえませんでした。雨漏りもまともに直してもらえず、自分で接着剤で何とか漏れなくしました。1階も風の強い日は壁が壊れそうな音がします。こんな状態なので、台風の時はとても寝られる状態ではなく、恐怖におののいています。子どもが2人いますが、2人ともあまり2階で寝ようとはしません。精神的に参ったこともあり、一年中こんな不安から解放されません。
 家を売ろうにも条件の悪い家なのでとても売れませんし、ローンもまだかなり残っていてリフォームもできません。木造住宅はこんなに脆いものなんでしょうか? 何かいいアドバイスをお願いします。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 家が揺れる要因には、地盤の揺れ波長特性と構造体の揺れ波長特性が大きい場合があります。本件は階段の上り下りで揺れるということですので、構造的な問題がありそうです。10年ほど前には、このような建売住宅が多く販売され、その教訓をもとに平成12年より、構造体と雨漏りに対する瑕疵担保責任という法律が制定されました。本件はその法律以前に建築され、適用が受けられない案件と思われます。
 その揺れの程度や台風の時の激しさを文書だけで判断できませんが、不安でいっぱいであることは承知できます。構造を確認しなければ断定できませんが、解決方法としては、外壁を外し構造体の外側から構造用合板を打ち付けて、耐力壁を増加させ、構造体の強度を増す工事が必要と思われます。10年前の外壁の場合、そろそろ取り替え時期も近いと思われます。思い切って外壁材を取り替え、その際に現在入っている筋交いの外に合板を打ち付ける補強工事を行い、その外に通気層をつくり外壁材で仕上げます。
 買い替えや建て替えは多額のお金がかかりますが、上記の対応なら費用的にも少なく済みます。この補強工事で構造体が補強されるだけでなく、構造体の揺れ波長特性も変わるので揺れなくなると思われます。愛知県の場合、現在まで震度6以上の地震は発生しておりませんが、今後いつ発生してもおかしくありません。しっかりと対応をしておくべきです。販売業者に掛け合っても無理なので、顔の見える地元の工務店に依頼すべきでしょう。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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吹き抜けに面した壁がカビ臭い


<山形県山形市・KTさん(32歳・男)>



 木造在来工法で住宅を新築し、10月から入居しておりますが、2ヵ月余り経った12月末あたりから、吹き抜けに面した壁がカビ臭いことに気づきました。どうやら腰高の窓あたりを中心に匂いがするようです。壁材は構造用合板です。朝方、その窓に結露や凍結が発生していたところをみると、気密性に問題があるのかと思います。蓄熱電気暖房を使っていますが、この吹き抜け部分はなかなか温まりにくく、夕方以降は20度にも達しない状況です。スースーと冷気が流れるのも感じられます(近くにある24時間換気の吸気ファンのせいかもしれませんが)。
 名の通った業者ではありませんが、ネオマフォームの外断熱仕様で、サッシもアルゴンガス入りLow-Eペアガラスを使っており、数値(C値、Q値、K値)的にも次世代基準を十分にクリアする高気密・高断熱住宅のはずでした。にもかかわらず、こんなに早く壁内にカビが発生するのは、どのような原因が考えられるものなのでしょうか。また、壁内の状況を確認するには、どこにお願いしてどのような方法で調べればよいのでしょうか。新築なので、できれば壁紙をはがしたりはしたくないのですが…。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 ネオマフォームはとても優れた断熱材です。しかし、どんなに優れた断熱材でも樹脂断熱材を外断熱として用いる場合は、より慎重な施工技量を要します。 Q値はK値とC値(換気量も含む)の合計で算出します。
 このK値も断熱材の熱伝導率がもとになっての計算で算出しますので、どのように施工したかが反映されません。計算上の次世代基準でも実際に熱を負荷した場合、その数値と大きく異なる場合があります。
 本件の場合、Low-Eペアガラス使用とのことなので、C値(隙間相当面積係数)が大きく関わっていると思われます。寒さ対策は何といっても気密性能が大きく関わります。隙間があれば暖かい空気がドンドンその隙間から放出され、冷たい空気と入れ替わります。そして冷たい空気は人間のいる床付近に停滞します。蓄熱暖房器は、その冷気で冷やされ夕方には熱ロス状態となったものと思われます。
 隙間の多い家には、その隙間から湿気も放出されて結露が発生しにくいのですが、それ以上に湿気の量と露点温度以下の低温部分が多いのだと思われます。蓄熱暖房機が熱ロスを起こすと、露点温度部分が多くなります。
 新築初年度、特に本件のように秋遅くに竣工した家においては、木材、建材の含水量が多く、また工事中の雨水などが家の中に含有されており、その冬に結露状態となるのも不思議ではありません。少なくとも来年の冬の結露は、今年よりかなり緩和させると思われます。
 換気システムもせっかくの気密・断熱なのに、吸気ファン? …住宅に吸気換気はほんとんど使用されておりません。吸気だったら排気口や排気ファンも必要です。いずれにしても山形なら、熱交換式換気扇を用いて換気廃熱を回収すべきです。平成16年より施行された換気法で、基準法の法令をクリアするため、換気量の多い、第三種換気(排気式換気で日本の多くの換気システム)が採用されるようになりましたが、途方もない多量の冷たい空気を導入する場合もあります。その換気で導入した冷気も要因となっている場合もあります。
 外断熱の場合、内壁が室内の温度に順応しているため低温部分が出来難いのですが、施工精度にも課題がありそうです。とにかく、露点温度部分を少なくするには、蓄熱暖房機の容量を大きくし、内側からシールなどで隙間を埋め、換気を熱交換式に替えるなどの対策法があります。カビ臭さは、カビの胞子が浮遊してものと思われ、住む人にも大きな影響を与えますので早急に対策を講じたほうが良いと思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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浄化槽設置半年後に公共下水道が!?


<埼玉県鶴ヶ島市・Y.Mさん(会社員・31歳・男)>


<〜NPO住宅110番より〜 ここに寄せられたご相談へ、読者のみなさんでご意見・アドバイスをいただける方、メールをお寄せください。>

 怒りに任せて書いているので乱文、ご容赦ください。
 下水の切り替えについて質問いたします。家を建て替えて1年半になります。私の地域は公共下水道敷設予定エリアであるということで、

1.浄化槽設置に対する補助金は出ない
2.現在使っているものが単独浄化槽であるため、合併浄化槽を新たに設置しないと建築確認が下りない
3.そのうち本下水の本管が来るだろうが、今はなんともいえない

ということを市役所のほうで説明を受け、「浄化槽さえ付いていれば、今後問題は無いのか」という質問に対し、「そうなりますね」との回答であったため、設計時に浄化槽を入れてもらい、それのためにかなり苦労しましたが、現在はそれに関しては何の問題も無くすごしておりました。
 ところが、下水道組合のほうから先日手紙が届き、下水の本管がきますので、そちらに接続してください。またそれには別途費用がかかります、とのこと。早速話が違う旨を市役所に問い合わせたところ、「そんな風に行った覚えは無い。法律で決まっているので従って貰うしかない」との回答。あれのおかげで費用も場所も費やされたのにと思うと、悔しくてたまりません。そこで、

1.このまま浄化槽を使ってはいけないのでしょうか?
2.市役所側に落ち度は無いのでしょうか?
3.下水道組合側は、浄化槽の中に汚水枡を作って、浄化槽の中は砂で埋めるのが安くていいですよ。といっているのですが、行政側の指導によって作ったものが1年半で『違法』呼ばわりされ、さらに追加金額を払って浄化槽を砂の入れ物にするしかないのでしょうか?

 この手の法律に疎くまとまりませんが、ご意見、よろしくお願いいたします。



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