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内壁・天井に亀裂<東京都東村山市・SAさん(57歳・男)>
築9年の戸建住宅(ツーバイ)です。最近気がついたのですが、1つの部屋に3ヵ所、内壁に亀裂が出来ております。いずれも窓枠取り付け部分上部から右に向けて約8センチ、そこから垂直に天井まで約35センチです(サイディングなので外壁がどうなっているかの確認はできません)。それと別に、2階への階段の天井に横断するように天井の亀裂があります。
(1)原因と対応 (2)建築施工業者に補修を要求できるか 以上についてアドバイスをよろしくお願いいたします。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
1、 原因と対応について
・壁・天井の仕上げと亀裂の大きさを見ないと何ともいえませんが、考えられることのひとつは木材の乾燥収縮です。ツーバイ材であれば、現場納品時の含水率15%程度から完成後1年くらいまでに乾燥が進み、10%以下になって安定します。その過程で構造・石膏ボード下地の木材が乾燥収縮し、それに伴い仕上げに影響を及ぼすこともあります。この場合は、構造的な問題ではなく、仕上げの許容範囲の程度問題になります。しかしながら、今回は築9年最近ということなので当てはまりません。 ・次に考えられるのは、今回の亀裂部分が壁・天井において石膏ボードのジョイント部分の場合、その部分に木下地が入っているかどうかです。ツーバイフォー工法の場合、壁式工法なので石膏ボードのジョイント全てに木下地が入っていることが基本になります。石膏ボードのジョイント箇所はある程度判断がつきますし、木下地については専用の器具がありますので、簡単に調べることができます。 ・もうひとつ考えられることは、石膏ボードの張り方の不備による不具合です。窓のコーナー部分は構造的に応力がかかるところなので、コーナー部分で石膏ボードをジョイントしないことが、ツーバイフォー工法の張り方の基本になります。窓から8センチ、そこから天井まで35センチ亀裂が入っているということは、石膏ボードのジョイント部分がそこにあるということが考えられます。 ・構造的な対策は、外壁側の構造用合板を含めた耐力壁の量とバランスになりますので、専門家に確認してもらってください。たいていの場合、外壁の構造合板だけでほとんど耐力壁の量が成立しますので、構造的には問題ない結果になると思います。 2、 建築施行業者に補修を要求できるか 民法(638条1項)で木造の建物の瑕疵は5年であり、新しく「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法=構造耐力上主要な部分の瑕疵は新築住宅の引渡しから10年の瑕疵担保責任が義務付け)」になりましたが、施行は平成12年4月1日からなので、今回は法律的な適用はありません。 その上で、まずは構造が大切なので、専門家に耐力壁の調査(図面チェック)を依頼して安全を確認し、それを踏まえて、ツーバイフォー工法の施工(木下地・石膏ボード)マニュアル・仕上げ亀裂の許容範囲について施工業者と協議してください。 |
一定方向ではない床の傾斜<神奈川県藤沢市・Sさん(主 婦・31歳・女)>
建売新築の家に住んで1年になります。入居した当初、家具を配置して床の傾斜に気づきました。1階部分縦長の16畳のLDKの縦真ん中を境に両サイド1〜2センチほどの傾斜が見られます(縦真ん中が盛り上がっている感じです)。床鳴りもあります。場所によっては傾斜の方向も違います。気になり各部屋や階段など調べたところ、2階などすべてに一定の方向ではない傾斜が見られます。
この物件は地盤調査(スウェーデン式サウンディング試験)の結果、地盤に問題ないとのことでした。住宅性能保証制度の物件です。 どのような修繕方法がありますでしょうか。保証で修理してもらえますでしょうか。お願いします。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
1、 原因と対策
・築1年ということなので、まず木材の乾燥収縮のことが考えられます。木材の含水率は20%以下に決められていますが、完成後1年くらいまでは乾燥が進み、10%以下になって安定します。その経過で床の木下地が乾燥収縮し、不具合が生じたのでは?と思われます。 ・次に、やはり地盤の問題が考えられます。地盤調査の結果を基に、地耐力に対する基礎の構造計算書(なければ提出してもらう)を専門家にチェックしてもらってください。 ・対策については床下を調べて、木材の乾燥収縮の許容範囲なのか、地盤の問題なのかを調査し、1階においては床下から、2階については1階の天井または2階床から、床組みの調整などの工事を行うことになります。 2、 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)の運用 品確法は平成12年4月に施行になり、新築完成引渡し後10年間の瑕疵担保責任が義務づけになりましたが、瑕疵の内容と運用については、きちんと認知されていません。 10年保証の対象は、あくまでも基本構造部分「基礎・柱・床」等の部分と雨水の浸入を防止する部分「屋根・外壁・サッシ」等であり、建築等の仕上げの不具合は該当になりません。したがって、瑕疵(欠陥)として無料請求できるかどうかは、今回の問題が「構造の問題=瑕疵」なのか、木材等の乾燥収縮による「仕上げの許容範囲」なのか、どちらかを判定しなければなりません。当事者間で協議し合意するか、専門家を入れて調査し合意するか、さもなければ裁判所に調停を申し込むことになります。 品確法は法律として決まりましたが、瑕疵の判断は「当事者間の問題」ということになるので、運用は簡単ではなく難しいものがあります。 住宅性能表示の制度の中に、瑕疵についての判断基準として「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」があり、その中で床・壁・柱について3/1000未満は瑕疵の可能性低く、3/1000〜6/1000は瑕疵が1定程度存在し、6/1000以上は瑕疵の可能性が高いとなっています。1メートルで6ミリ以上の傾斜・勾配があれば瑕疵の可能性が高いということになります。 今回、床が部屋の中央から端まで1〜2センチの傾斜ということなので、微妙なことになります。ちなみに同基準で、ひび割れについて0.3ミリ未満は瑕疵の可能性が低く、0.3〜0.5ミリは瑕疵が1定程度存在し、0.5ミリ以上は瑕疵の可能性が高いということになっています。 |
NPO住宅110番はリニューアルいたしました。 |