住宅クレーム110番

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カビ発生!業者の責任を追及できない?


<神奈川県鎌倉市・SKさん(会社員・45歳・男)>


 今年の4月に木造在来工法による2階建ての戸建てを新築したのですが、先日、北側和室の畳表面にカビが発生。畳を上げてみると、床板合板同士の隙間に一直線に青カビが生えていました。建築業者に連絡したら「うちの責任の範囲外なので床下の換気扇販売の業者を向かわせます」と言われました。
 私達はカビが発生しないようにと新築当時から昼間は窓を開けたり、夜は24時間換気扇を回したりと、換気には随分気を使ってきたのにカビが発生。これは建築業者さんの言うようにカビに関しては業者さんの責任は追及できないのでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 結論から申し上げて、本件は完全に施工業者(施工工務店)の責任と思われます。文章から判断して床下の乾燥状態が確保されていないことが要因と考えられます。4月の竣工ということですが、工事中に雨水や木材、建材などの水分が家全体に停滞していることを「工事水」と言いますが、水を抱えたまま梅雨時期を向えたことも要因のひとつと考えられます。また、床下は常に乾燥状態になるように、設計施工するのが基本です。そのため、施工業者は床下換気扇を取り付けたものと思われます。しかし、その床下換気扇が充分に機能を果たしていないか、換気扇が機能を果たすような床下構造になっていないことが最大の要因と思われます。当然、床下換気扇を取り付けた床下換気扇業者を向わせて、その要因を点検させることも対応のひとつです。しかし、床下換気扇が機能を果たすように管理監督する責任は施工工務店にあります。
 総合的に正確な要因を突き止めて、カビの発生が生じないようにする責任は施工工務店にありますので、施工業者に充分な対応を行なうよう、要求すべきでしょう。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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住宅性能表示制度の利用について


<千葉県浦安市・YDさ ん(会社員・32歳・男)>


 何時も興味深く、閲覧させていただいております。見れば見るほど不安になりますが、首題の件につき、一つご教示いただけないでしょうか。
 とある不動産(自社設計基準あり)と請負契約を結んでおりますが、その業者のホームページには「住宅評価制度を標準仕様にしている」とのことでありましたので、住宅性能表示制度の利用を要求しております。しかしながら、性能表示による手続きとして、下記の申し出がありました。

1)設計性能評価申請をする場合、建築確認申請図の他にいろいろと作成する図面書類が必要になり、図面・書類の作成期間及び費用がかかってきます。
2)標準(追加費用なし)で作成します図面(建築確認申請図)でも性能評価申請を受け付けていただけるとのことですが、確認図面による性能評価審査の場合、評価が最低ランクの1や2となってしまうそうです。
3)設計性能評価申請にかかる期間について書類作成の期間は取得希望の評価点によって変わってきますが、0〜3週間ほど。設計性能評価申請期間は1〜2週間ほどかかりそうです。

との返答でありました。
 こちらのプランは、木造在来工法、37坪の土地(風致地区)に対し、2階建て建坪25坪程度、ロフト、吹き抜けありの若干ながら工夫を加えた自由設計のものであります。
 特段、どの様な図面まで用意しなければ良いのか判りませんが、やはり先方の言うとおり、上記3点を見込む費用と時間を考えねばならないのでしょうか。先方の話であると、本来こちらに提示しなければならない完成図書類・図面一式以外に必要な書類が多々あるとのことでありました(構造計算については2階ながら3階建ての標準金額の1/3程度(10万円)でお願いすることにしております)。
 常識的には「本来、唱われた性能を満たしているかどうかを判断するためのもの」。こちらが要望するものは、その通信簿の効果であり、性能評価により実質の補償を確約してもらうために、性能評価制度の利用を考えていましたが、住宅減税の取得制限(竣工日の制限)もあり、躊躇しております。
 以上、多少長くなりましたが、住宅評価制度の利用に関する制約事項としてご教示頂きたく、お願い致します。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 住宅性能表示には「自己性能表示」と言って、施工者の責任で施工する性能を表示する方法と、第三者による「機関性能表示」の二通りの性能表示があります。「自己性能表示」とは施工者の責任で、施工物件の性能を自己表示するもので、この場合は、契約した物件の性能を施工者自らの責任で表示し、お金も期間もかかりません。一方、第三者による「機関性能表示」は、「自己性能表示」が正当なものかどうかを、第三者機関によって評価して戴く方法で、通常の図面や仕様書の他に、第三者が、性能評価するための図面の作成が必要で、その図面作成に期間と費用がかかります。また、その図面審査や現場審査にも費用がかかり、当然、そのための費用がかかります。仮に無料といっても諸経費や管理費などと形を変えて結局は建主が払うことになります。
 性能表示は、
  1. 構造の安全に関するものが3段階で評価されますが、これは確認申請が通り、建築基準法をクリアーした時点で最低等級の等級1となります。しかし、構造の安全に関する等級は最低等級1であっても、500年に一度の大震災でも倒壊しない強度がある事になっております。
  2. 火災の安全に関することについては、4段階になっており、火災時の火災報知器の作動状況(各部屋に火災報知器が付き、火災の際は全館に火災を報知する装置が装備されたものが最高等級の等級4となります。これも今まで通りに確認申請が受理できた仕様が最低等級で、必要最低限の火災時の対応はなされております。
  3. 劣化維持に関するものついてですが、確認申請が受理された仕様が最低の1等級で、30年毎に大規模改修が必要な仕様です。2等級は60年毎に大規模改修が、最高等級の3等級は75年から90年毎に対規模改修が必要とする仕様となり、この等級は確認申請が受理されて仕様では30年ですので、最低2等級以上の仕様が望ましいと思いますが、当然ながら施工に費用がかかります。
  4. 維持管理に関するものと言う項目がありますが、これは3段階で給水、排水管などが劣化した場合、取り替えやすいようになっている仕様です。点検口や配管をコンクリートに埋めないなどの仕様が高等級となります。むしろ、劣化しない配管設備を施工する方が効果的と考えますが性能表示では、取り替えやすさが基準となっています。
  5. 温熱環境ですが、4段階になっており、確認申請どおりのものは単に断熱材が入ったものが最低1等級、昭和55年に施行された省エネ規準をクリアーしたものが2等級、平成7年に施行された新省エネ基準をクリアーしたものが、3等級でこれまでは、冬の暖房省エネを目的にしたものです。最高4等級は冬の暖房省エネと夏の冷房省エネの双方の性能を持ったもとなります。
  6. 空気環境(シックハウス対策など4段階)
  7. 光、視環境(採光面積)
  8. 音環境(サッシの防音3段階)
  9. 高齢者への配慮に関すること(5段階)と9項目の住宅性能に等級数を入れ(光、視力環境は最高窓の量の数値を記入)表示します。

 しかし、必ずしも最高等級ばかりが、建主にとって有利だと言い切れない項目もあります。また、お金をかけて第三者による「機関性能表示」を行なって、完了証明書まで交付されても、そこに記載された性能を保障担保される訳ではありません。図面に記載されたとおりに施工された事を証明されるだけですが、この第三者による「機関性能表示」を行なった家で後日、紛争(紛争が起きる事が前提)が発生した場合、各地域に存在する弁護士会に設置された住宅紛争処理センターで、極めて安価に紛争処理が出来る事になっております。
 信頼のおける施工業者ならお金のかからない「自己性能表示」(この場合紛争処理センターは活用できず紛争を起さない事が前提となりやすい)でも出来上がる家の性能をしっかり知っておく事が前提ですので、どちらかを選択するのは発注する施工業者の信頼度で決めるべきと思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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耐震補強工事で高額請求が!


<鹿児島県名瀬市・HMさん(会社員・48歳・男)>



 一人暮らしで高齢の母が、無料点検と称した商法による悪質なリフォーム業者と耐震補強工事の契約を交わし、高額な請求が届きました。そこで実家の床下及び天井の調査確認を行ったところ、施工方法が納得できないものでアドバイスをいただけないものかとメールしました。
 L型の補強金物が取り付けられていたのですが、そのほとんどの取り付け箇所が、大引きと床束につけてあり、素人の私から見ても強度が保てない場所に思います。つまり束と束石は連結固定されおらず、ただ束がのっかているだけなのです。不安定なものの上に補強をしても無意味なのではないでしょうか? さらに最悪なのは、1階は7部屋あるうちの2部屋だけの施工で、2階は2部屋あるのに1部屋しか施工されておらず、しかも契約数量の半分しか施工されておりません。いずれも工事のやりやすい床下や天井の入り口付近の部屋です。これで、家屋全体の耐震補強になるのでしょうか?



アドバイスいたします
建設大臣賞受賞
リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員)
代表 廣瀬 誠
電話:011(882)1200


ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/

 現状を見ていないので断言はできませんが、住宅リフォームにおける「点検商法」のような感じがします。特に阪神淡路大震災以降、行政が住宅耐震工事を推進していることもあり、消費者の不安につけ込んだ悪徳リフォームが花盛りです。そのほとんどの手口は”無料点検”と称して安心させ、調査らしきことをして不安をあおるパターンです。特に人の善い方や高齢者が犠牲になっております。このような訪販系悪質商法は、時間が経過したりお金を払ってしまうと、弁護士に相談しても解決はなかなか難しくなってしまいます。今回の場合はそのリフォーム業者との関わりがどの辺まで進んでるのかわかりませんが、まずは地元の消費者センターに相談してみてはいかがでしょうか。
 悪質商法から消費者を守るための「特定商取引法」が改正され、2004年11月11日から施行されます。今回の目的の一つは、近年被害が急増している「訪販リフォーム」「点検商法」です。無料点検をうたって家に入り込み、不安をあおるような点検結果を報告し、法外な価格でリフォーム契約を結ぶというものです。今度の改正で耐震診断や屋根・外壁の無料チェックも規制対象にります。
■特定商取引法改正の5つのポイント
1.勧誘目的の明示の義務づけ
2.ウソや重要事項の不告知に対する規制強化
3.不当契約(ウソや重要事項の不告知による契約)の取り消し
4.虚偽・誇大広告の規制強化
5.クーリング・オフの強化

・詳しくは
JRN(ジャパン・リフォーム・ネットワーク)のホームページを参照して下さい。


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ガルバリウム鋼板の外壁下地にいて


<茨城県牛久市・YKさん(68歳・男)>


 ある建築家から下地に板を使うので、外壁板張りとのコスト比較では差がないと聞きました。ガルバリウム鋼板を外壁に使う場合、下地を板張りにするのは本当のことなのでしょうか。外壁に使う場合の下地について教えてください。



アドバイスいたします
ヒガシノデザイン
ひがしの雅司
電話:011(717)5166


ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/

 ガルバリュウム鋼板の下地として、市街地の場合は、延焼の恐れのある部分(隣地境界線、道路中心線から1階で3メートル2階以上の場合は5メートルの範囲)の壁に、防火処置が必要な為に、一般的には石膏ボードが使われています。しかし、石膏ボードは水に弱いので、延焼の恐れの無い部分の下地に合板等を使う場合もありますが、板金の部分で止水を行えば問題はありません。極端なコストダウンの為に、下地無しで板金を施工しているケースもありますが、お勧め出来ません。


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風呂の壁と床のカビが心配


<宮城県古川市・NSさん(会社員・39歳・男)>



 現在、家を建てようと検討中です。今、木造メーカーで検討を進めているのですが、1点気にしているところがあります。風呂場で壁に桧を使っています。床は御影石です。妻はカビのことをすごく気にしています。石と木の間部分からカビが発生すると友人から言われたようです。
 住宅は外断熱の高気密住宅で、各部屋から外気を入れてトイレ、お風呂から出す形となっています。メーカーの人からは問題ないですよと言われているものの納得出来ていないようです。個人的には桧を使って換気に気をつけた形だから問題ないように思えるのですが。アドバイスお願いします。



アドバイスいたします
ヒガシノデザイン
ひがしの雅司
電話:011(717)5166


ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/

 浴室は換気に注意していても、タイル目地や樹脂パネルでさえカビが発生しますから、木材の場合は一層心配されます。桧は耐久性や耐水性に富んでいる木材ですが、入浴後の急速な換気や水気を拭き取る位の配慮が必要だと思います。特に石や金属(水栓金物等)との取り合いの部分は水分が残ってしまったり、結露水が発生しますから、腰壁までは石にして、水が溜まらずに乾燥しやすいようにしたり、窓から太陽光(紫外線)を取り入れて殺菌する等の工夫をしては如何でしょう。多少の手間が掛かっても、桧の芳香によるリラクゼーション効果は魅力的ですから、ぜひ素敵なバスタイムを実現してください。


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