住宅クレーム110番

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J110 News

お客様からのクレーム対応について


<匿名さん>



 住宅会社の建築部で、現場管理をしています。先日の台風で出窓部分から雨漏りが発生し、それをきっかけにさまざまなクレームを承りました。
 在来工法2階建ての住宅ですが、多数の箇所につき、どうしてそうなるのか、施工不良ではないのかと言われました。住宅クレーム110番を拝見させていただき、同じような内容についての書き込みが多数あり、それについての回答を参考にさせていただこうと思ったのですが、下記についてどう返答すればよいのか、悩んでおります。

・床と巾木の隙間について
 「1ミリ程度の隙間ですと問題はないと思います。全く隙間のない建物を施工するのは難しいでしょう」という回答が掲載されてました。普通はそれで納得していただけるのですが、当社に対しての疑念を抱かれている状態ですので、他の言葉で説明をしなければいけないと思っております。

・クロスのしわ、はがれについて
 「下地の木材の収縮により、プラスターボードが動き、それによってクロスにしわが生じています」と説明させていただいたのですが、「自分の実家は10年たっても、そんな現象は一切ない。どうしてこの家はそんな現象がでるのか」と納得していただけませんでした。クロスの継ぎ目のはがれが1ヵ所あり、それについても同様にどうしてこの家はそうなのかと言われてしまいました。

 その他、多々クレームはあるのですが、この2点について回答の言葉をどうすればよいか思案しております。当社のアフターの体制が不十分であり、お客様をそこまで怒らせてしまった当社の責任は大きいと思うのですが、木の性質上どうしても発生してしまう不具合については、どうすればお客様にご納得していただけるのか悩んでおります。
 ぜひご相談にのっていただきたく、メールを送信させていただきます。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

・床と巾木の隙間について
 「住まいを科学する」観点からお話しします。
 住宅金融公庫の「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計及び施工の指針」の中で「躯体」に関しては「重量含水率20%以下の乾燥材の使用」が明記されています。木が含んでいる水分というのは、木の樹種によって、また樹種が同じでも一本一本異なり、さらに同じ一本の木でも表面と内面でも異なります。木は生き物なのでバラツキがあり、それを全て均一の含水率に乾燥させるのはたいへん難しいことです。日本では若干の地域差はありますが、時間がたつと木の含水率は平均的に15%前後におさまるといわれています。また、木材の収縮は含水率25%〜30%くらいより始まるという事実がありますので、例えば含水率30%の木材は25%くらいより収縮が始まり、15%くらいまで収縮が止まらないと考えてください。
■実際に信頼できる数値を使って計算して見ます。
1)含水率の変化を建設時から1年ほどたった時点で考えると、20%−15%=5%となります。
2)材種を杉とした場合、収縮率が「含水率1%当たり」の数値は0.26%です。
  含水率が5%変化した場合0.26×5=1,3%の収縮率になります。
3)105ミリ角の土台は何ミリ縮むか?の計算は、105ミリ×0.013=1.365ミリになります。したがって、およそ1.4ミリ縮むことになり、床と巾木の隙間が1ミリ程度空くことは許容範囲といえます。しかしながら、通常はこのようなことを予測してスライド巾木を使用し対応しています。

・クロスのしわ、はがれについて
 上記のことから、木材の含水率は1年ほどで15%になり、ほとんどの乾燥収縮によるアフターメンテナンスは1年点検のときまでに終えることができます。実家の話は乾燥材の使用、工期、時期、暖房システムなどを比較検討しないと何ともいえませんが、乾燥収縮に関しては1年で止まっていると言えます。クロスのはがれは木材の乾燥収縮のほかに、クロス職人の技量のこともあり見ないとわかりません。

・今後の対応について
 現在のお客様はともかく、今後のお客様に対しては、木造住宅が木で出来ているということはどのようなことなのかを、最初にしっかりと説明することです。どんなことでも最初から言っておくとクレームになりません。心して実践してください。


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ホゾ穴に入りこんでしまった雨水について


<静岡県静岡市・匿名さん(会社員・35歳・男)>



 木造軸組みの工務店で建設しています。
 先日、上棟式があったのですが、ちょうど雨に降られてしまい、ホゾ穴に雨水が入り込んだ状態で柱が立てられてしまいました。
 問い合わせてみたところ、乾燥と共に自然に水は抜けていくから大丈夫との返事でした。確かに長い時間の間に少しずつ木材の中に拡散されていき、その後、乾燥してしまうとは思いますが、壁を張る短い間にすべて水分が飛んでしまうとも思えません。土台、柱、梁は集成材を利用していますが、それら接着剤の層が水分の拡散を邪魔するようなことはないのでしょうか?
 また、今後の工事の進め方や、竣工後のメンテナンスなど何か気をつけておくことはあるでしょうか? ご意見よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 今回は構造集成材を使用していることもあるので、「重量含水率20%以下の乾燥材を使用」していることを前提にお話しします。
 木の中の繊維と水分は、木の繊維の間にある水分(自由水)と木の繊維の中に入り込んでいる水分(結合水)の2種類があります。木が乾燥するときは、自由水のほうが先に乾燥して、その後、結合水が乾燥します。乾燥材を使用した場合、結合水まで乾燥させているので、雨が降ったくらいでは簡単に含水率が元に戻ることはありません。注入材を考えて見てください。相当の圧力をかけて薬剤を繊維の中に注入したものが注入材です。水は相当の圧力を掛けないと繊維の中まで入り込むことは困難なのです。乾燥材は雨に濡れても、あまり水を吸わず3〜4日で元に戻ります。24時間水に浸した実験でも5〜6日で戻るデータになっています。雨が降り表面が濡れると、表面の含水率は増加します。しかし表面は乾くのも早く、すぐに元の含水率に戻るので心配要りません。今回のホゾ穴に入った状況・集成材の接着剤の層(繊維方向が呼吸できる)でも上記の通り問題はありません。
 対策としては、建設中も完成後も床下換気・壁通気・小屋裏換気など、建物の換気・通気に特に配慮してください。さらに、今回のことに限らず「建物は呼吸できることを旨とすべし」をモットーにして、家づくりを進めてください。


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家が揺れるんです


<大阪府大阪市・takaさん(会社員・35歳・男)>



 6年前に築3年の中古で軽量鉄骨造3階建て住宅を購入しました。間口1.5間と狭小住宅です。 1階に駐車上・玄関・6畳一間、2階にリビング・キッチン・風呂・トイレ、3階に6畳・納戸2.5畳・8畳とオープンロフトの間取りです。人が階段を上がり降りするとこいや、強風が吹いたときに家が揺れるんです。仲介業者S不動産に相談しましたが、中古物件で現状渡しで契約しているので、どうすることもできないとのことであきらめていましたが、本日、こちらのサイトを知り、投稿しました。
 不動産屋が言ったようにどうすることもできないのでしょうか、それとも6年前の購入なので今となっては、自分で直すしか手立てはないのでしょうか、それとも何か良い方法はありますか? また、家が揺れるのはどうしたら直るのでしょうか? その場合、普通どれくらいの費用を見る必要があるのでしょうか? 誰に相談するのが良いのでしょうか? たくさん書き込みましたが、よろしくお願いします。



アドバイスいたします
建設大臣賞受賞
リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員)
代表 廣瀬 誠
電話:011(882)1200


ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/

 まず、このような中古住宅の「瑕疵担保責任」に関して整理しておきたいと思います。
・民法では買主が瑕疵を発見した場合、「瑕疵を知ったときから1年以内」に損害賠償請求もしくは、契約の目的を達せられない場合には契約の解除を請求できることとなっています。このとき、引渡し後の年数については何ら規定はありませんから、例え10年後、20年後でも「瑕疵を知ったときから1年以内」であれば権利を行使できることになります。しかし、民法の規定は強行法規(必ず適用されるもの)ではありませんので、個人間の売買では「売主は瑕疵担保責任を負わない」とすることも、権利行使の年数を定めることも有効です。実際、中古で特に古い物件の売買では「瑕疵担保責任を負わない」とすることもあります。しかし業者が売主の場合には、最低2年間(中古物件の場合)の瑕疵担保責任を負わなければなりません。「瑕疵担保責任を負わない」特約や2年以下の特約は無効とされております。
・今回の場合は早めに対処してれば打つ手はあったんですが、「買主がその瑕疵を発見してから1年以内…」にあてはまるかどうかだと思います。契約書の瑕疵担保責任に関してどのような見解になっているか条項をよくご確認してください。 
・現実問題として損害賠償請求できなかった場合は、どうにかして生活に支障のない範囲で直さなければなりません。揺れは人の感じ方によって多少違いはありますが、軽量鉄骨造の場合は構造的に補強が弱ければ揺れるだろうなという気がします。揺れを止めるにはその原因を把握して対策をすることにつきますが、お近くの信頼できそうな設計事務所などで調査していただき、その判断に基づいて今後の方針を検討されたほうが良いと思います。


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火災保険についての疑問」への答え


<福岡市城南区・元保険会社社員さん(会社員・34歳・男)>


 ご心配になっている解決策は、現在かけている保険会社に相談して「保険金額の増額」の手続きをとれば解決します。
 正確には、同じ構造で同じ広さの家を新築するために必要な金額を算出(保険会社にお願いすれば出してくれます)して、現在かけている保険金額(全焼したら保険会社から支払われる最高支払額のこと)との差額分だけ新たに契約(保険用語では「保険金額増額の異動手続き」)すれば解決です。ただし、もちろんその差額の保険料は必要です。
 注意点として、1)住宅金融公庫を利用している場合は住宅金融公庫の(特約)火災保険で手続きをしてください。2)必ず現在加入の保険会社で保険金額の増額異動手続きをとってください。3)銀行・代理店等では(保険業務知識不足が)心配なので保険会社に直接連絡して計算してもらったほうがよい。4)保険金額の設定も「再調達価格(新価)」と「時価」では変わってきます。「再調達価格(新価)」で契約するようにしてください。以上の4点です。4)はローン契約の場合、保険も長期契約となれば「再調達価格で」契約できない場合があります。
 万が一、全焼になった場合、通常金融機関はローン残高のみ差し引いて残りは契約者(家の所有者)の手元に入るよう契約されています(質権設定)。新たに新築する場合は手元に入った保険金を頭金として、足りない分だけローンを組むと良いと思います。
 残念なことに、公的・民間金融機関のローン担当者は損害保険に関する知識が不十分ケースが多く、必ずしも適切なアドバイスがなされていません。よくあるのが、「火災保険金額」=「ローン金額」で保険契約することです。これは本来「火災保険金額」=「家の購入価格(自己資金含む)」が正解です。自己資金が多く借入が小額の場合、誤った契約をしたときは「一部保険」とみなされ、いざ保険を請求したら全焼なら全額支払われますが、それ以外の場合は削減される可能性がありますのでご注意ください。



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マンションに住みたい


<神奈川県川崎市・さっちさん(会社員・34歳・女)>


<〜NPO住宅110番より〜ここに寄せられたご相談へ、読者のみなさんでご意見・アドバイスをいただける方、メールをお寄せください。>

 3階建ての一戸建てから、近々マンションへ引っ越す予定です。理由は、階段があって住みづらい、家が狭いからです。
 マンションは騒音が一番の悩みということをよく聞きますが、購入するにあたって一番注意することはなんでしょうか? 景観は前面にベランダの前に家がないほうがやっぱりいいでしょうか? 見晴らしがいいマンションのほうがいいでしょうか? 西日が射す、西面の部屋よりやっぱり南面のほうがいいですか? 西側の部屋は夏は暑くてたまらないですか? 機械式駐車場は時間がかかっていらいらすることが多いですか? 広くて安い西面の部屋よりも、狭くて高くてもやっぱり南面のほうがいいでしょうか?
 一戸建ては騒音は全く気になりません。近所の方へ気をつかうことも全くありません。でも、家の中に階段がない、家事の動線がつながっている、リビングが広くて生活しやすいマンションにどうしても住みたい。騒音はなくても、毎日階段をいったりきたりする生活はもううんざりです。マンションに住んでいるみなさん、マンションのことをいろいろ教えてください。



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