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![]() 断熱について<福井県丹生郡・WKさん(公務員・47歳・女)>
新築の断熱材についてお尋ねします。
福井県の山沿いの田舎に75坪前後の家を建てる予定ですが、なにぶん予算がないため、高断熱・高気密というわけにはいきません。最低、ここはするべきだという所を教えていただきたいのです。 屋根だけはしたいと思っているのですが、意味がないのでしょうか? するとしたら、外か内かどちらがいいでしょうか? 以前、暑さ予防のために屋根裏にグラスウールを厚く敷くとありましたが、冬にも効果があるのでしょうか? また、そのような設備で台所とリビングに床暖房をしようと思うのですが、効果が不十分でもったいないでしょうか? よろしくお願いいたします。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
基礎断熱(床に断熱材を入れないで、基礎の外側に断熱材を打ち込む外断熱工法。床下は内部空間になる)の場合、建物が外気に面する部分は5面ですが、床断熱(床根太・大引きに断熱材を敷きこむ)をする場合は床下も外になりますので、床・壁4面・天井の6面が外気に面することになります。屋根断熱(天井に断熱材を入れないで屋根タルキ・母屋部分に断熱材を充填する方法と、屋根の外側に断熱材を敷きこむ外断熱工法があります。この場合、天井裏は内部空間になる)でなく、天井断熱(天井に断熱材を敷きこむ)の場合は、天井裏が外の扱いになります。ちなみに壁においては、充填断熱(外壁厚部分、すなわち軸部分に断熱材を充填する)と外断熱(外壁軸部分の外側に断熱材を貼る工法)があります。
それぞれの工法に特色があり、目的に応じて使い分けたり、施工店の得意な工法(技術的にマスターしている工法)を確認して取り入れることになります。従来から、一般的に取り入れられている断熱の方法は、6面ともグラスウールで充填・敷きこみをすることですが、それぞれ気密・断熱の施工方法の技術は、現在確立されていますので、しっかり気密・断熱することはコストの問題でなく、新在来工法などの施工技術をマスターしている工務店に頼むかどうかの問題と思います。 ご質問に沿って、あえて気密・断熱をする部位の優先をいうならば、断熱は一に床、次に天井、そして壁の順になり、気密は内外壁の床部分と天井部分の気流止め(床下から冷気が室内の熱を奪って天井裏に逃げる、煙突現象を止めること)を行うことが、一番大切なことになります。体に常に触れているのは床です。頭寒足熱をポイントに考えてください。床暖房の予定があるのなら、なおさらです。屋根に関しては夏・冬の外気の影響を受けないために、屋根断熱または天井断熱をしっかり行い、天井断熱であれば天井裏の換気(こもった熱を速やかに逃がすための軒天・棟換気)が大切になります。 |
![]() 無垢材の隙間が目につきます<宮城県仙台市・KNさん(59歳・女)>![]()
4年前に家を建て替えた者です。その際、シックハウスをある程度考慮し、新建材はなるべく避け、無垢材を多用しました。その結果、1年過ぎたころから木が乾燥したせいか隙間が目につくようになりました。
たとえば、柱と腰板(カラマツ)の間などは5ミり前後空いていたり、押入れの張り板も板と板の間が離れ気味で、完全に離れているところも2ヵ所あります。外断熱で、内側のボードとの間が空いているせいか、風の強い日は特に隙間風を感じます。このような場合は、どのような対策をとったらよろしいでしょうか? よろしくお願いいたします。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
木材の乾燥に関する問題には、下地の構造材の乾燥収縮と仕上げ材の乾燥収縮の2つがあります。
構造材は住宅金融公庫の基準で含水率が20%以下に決められていますが、完成して1年ほどで含水率は15%前後になり、安定します。仕上げ材は特に決められてはいませんが、一般的に15%以下であり、同様に10%前後、時には8%くらいまで乾燥します。床フローリングなどは材種にもよりますが、含水率が1%下がれば0.25ミリ乾燥収縮します。したがって、10%下がれば2.5ミリ縮むことになります。合板、集成材に単板などを張った既製品であれば、乾燥収縮の問題は発生しませんが、無垢材を使用する場合は使用時の乾燥の度合いが問題になります。ある程度は起きるのとしても、できうる限り乾燥したものを使用することと、乾燥が足りないもは乾燥釜(人工乾燥)に入れて含水率を下げることが必要になります。 このごろ珪藻土塗りが取り入れられていますが、ジョイントのクラックを防ぐためには、まず構造材の乾燥(構造集成材を使用する)、それに構造(特に耐力壁)を強くし、石膏ボードの張り方(構造の力の分散)を考えることが必要になってきます。このことと同様に、構造材に仕上げ材(無垢材)を取り付けするので、構造材の乾燥も大切になってくるわけです。構造が動くと仕上げ材も動きます。 木材の乾燥は1年でほとんど止まるので、これ以上は乾燥収縮が進むことはありませんが、あまりひどく見苦しいところは、十分に乾燥した同じ材料で張り替えることが必要になると思います。無垢材である以上は、ある程度の乾燥収縮は免れませんが、完全に離れているところは乾燥が足りない建材を使用したと判断できます。施工した会社に相談してみてください。 建材の隙間から風を感じるということですが、乾燥収縮の問題のほかに気密シートの施工の問題もあるように思います。外断熱において、断熱材の内側に気密シートをきちんと施工したのであれば、乾燥収縮による構造材の動きについていくことができるのですが、高気密・高断熱の取り組みはどうだったのでしょうか。 対策としては、気密測定を実施し数値を認識することと、どこに隙間があるかを確認して、隙間を止める対処(あまりおすすめできませんが、簡便な方法としてはシール)をすることと思います。 |
![]() 鉄筋が入っていないベタ基礎<匿名さん(主婦・43歳)>
富山県に家を建てる予定の43歳の主婦です。
布基礎でスラブオングラウンド式床。120ミリのコンクリート層の中を床暖房用のパイプが通ると言われました。その下には断熱材スタイロフォーム25ミリ。防湿フィルム0.1ミリ。砂利層20ミリです。 最近ベタ基礎が多いのに鉄筋も入っていません。鉄筋が入っていなくても、地震など大丈夫でしょうか? また、コンクリートの上に直接フローリング、畳をのせるそうです。床暖のリビングは仕方ないとしても、廊下や和室は結露しないか心配です。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
この文章だけで詳細を判断できませんが、布基礎に鉄筋が入っていないとなると大変に問題です。ベタ基礎機能を持ったスラブオングランド式床との複合基礎と判断されますが、当然ながらベタ基礎にも鉄筋が必要です。さらに、ベタ基礎でも集中加重のかかる部分にはフーチングといって、布基礎に替わる補強コンクリート梁がコンクリートの下部の地中につくられるのが通常の方法です。
また、コンクリートの下のスチレンフォーム断熱材25ミリも頼りない厚さです。床暖房の熱を地中に吸収される厚さなので、50ミリは確保すべきでしょう。 リビング以外の床暖房のない部分をどのようにして暖房するか、わかりませんが、この部分のコンクリートが冷えたままですと、リビングやキッチンから発生した湿気がこの部分に凝縮して、コンクリート含水量を増加させ、カビなどを発生させることも考えられます。 文章では予定中とのことですが、そのあたりを十分に検証し、施工者との確約を取ってから発注契約をすべきと思います。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
![]() 築9年でヒビや床が下がってきています<愛知県名古屋市・amiさん(会社員・65歳・女)>![]()
大手ハウスメーカーの築9年の鉄骨造り・瓦葺・外壁ALCの住宅です。各部屋のクロスの隅がよじれてきて、亀裂になっている所もあります。最近、リビングの床も一部少し下がっているような所もあります。
昨日突然、洗面所の洗面器に30センチほどのヒビが入り、下に水漏れがするようになりました。周りの防水板にも横に10センチほどの細い筋が出来ています。 原因として、どんなことが考えられますでしょうか? アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
まず、鉄骨の建物ということなので、木材の乾燥収縮によって構造が動き、クロスのよじれ・床の下がりを生じるということは考えられません。また、構造が鉄骨で下地が木としても、木材の乾燥収縮による動きは1年でほとんど止まるので、最近、リビングの床が一部下がってきたというのは解せません。昨日突然、洗面器にヒビが入ったということなので、現在も建物の動きが進行しているということが感じられます。
原因としては、やはり地盤沈下的な要因が考えられます。地盤の調査はどうだったのでしょうか。もし地質調査をしていないのであれば、これからでも行ってください。ボーリングの地質調査がしてあるのなら、一級建築士など資格があり、特に構造計算の得意な人に見てもらってください。 平成11年から品確法(住宅の品質確保に関する法律)が制定され、住宅の構造耐力上、主要な部分または雨水の浸入を防止する部分において、引き渡しから10年間瑕疵担保の責任を負うことが法律で決められました。地盤に関するものは該当します。9年前ということなので法律では保護適用されませんが、法律に準じて対応をするよう施工会社に申し入れてください。 |
![]() 外壁のクラックは重量鉄骨の揺れから?<大阪府・Kさん>
8ヵ月前に新築の建売住宅を購入しました。サイディングに吹きつけ塗装という外壁ですが、つなぎ目と思われる部分がクラックしており、現場監督に確認したところ「重量鉄骨の揺れからくるものなので、どうしてもクラックする。塗り直しても風化しているので同じ色にはならないし、躯体にも影響はないので納得してほしい」とのことでした。しかし、たった8ヵ月で小さな地震すらないのに、鉄骨がそんなに揺れるものなのでしょうか? サイディングのつなぎ目と思われる箇所のほとんどがクラックしている感じです。8軒の建売りですが、数件同じクラックに悩まされている様子です。入居時からいろいろと問題があった住宅ですし、それについて現場監督の回答が間違っていたことが何度もあったため(素人でも疑問に思う内容で呆れました…)、クラックが大丈夫と言われても信用できません。もし、それが本当であれば、どのような対策をすれば良いのでしょうか。また、かかる費用は私が負担しなければならないのでしょうか。アドバイス、よろしくお願いします。
アドバイスいたします ヒガシノデザイン ひがしの雅司 電話:011(717)5166 ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/
新築1年目でいろいろと問題があって、ご心配のことと思います。確かに木造にしても、鉄骨造にしても、いくらか揺れますから、サイディングの雨仕舞上の欠陥が予想される箇所はコーキング処理を行います。塗装で大壁風に仕上げる場合は、弾性のある塗料を使用して塗装のヒビ割れを目立たなくします。また、異常なクラックの原因としては、構造強度の不足や基礎の沈下等が挙げられます。構造や施工上の欠陥がなく、図面の仕様どおりであれば、美観上の問題があったとしても、施工者に直してもらうのは難しいと思います。しかし重量鉄骨で、それほど揺れるとは思えないので、なるべく早くに、第三者にチェックしていただいたほうが良いと思います。同じ心配を持たれている方々で依頼すれば、費用も折半になると思いますし、長く住まわれる家ですから、きちんと調べた上で安心して生活してください。
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![]() 境界ギリギリの車庫<匿名さん>![]()
現在、自宅の建て替えを検討しています。しかし、約18年前に建てた車庫が、隣地との境界ギリギリに建っているため、ハウスメーカーから違法建築なので、車庫をずらさない限り確認申請が通らないと言われています。
車庫は、布基礎の上に木造のため、移設できません。当時建てるときは、隣地から了解されていたのですが、それでも建築基準法上はダメなのでしょうか。 アドバイスいたします ヒガシノデザイン ひがしの雅司 電話:011(717)5166 ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/
ご相談の内容は、外壁の後退のことだと思います。都市計画によって定められた、用途地域が第1種低層住居や第2種低層住居の場合、住環境をより良くするために、外壁または、これに代わる柱の面から、隣地境界線や道路境界線まで1メートルまたは1.5メートル後退させなくてはなりません。既存の建物であっても、この規制の対象になります。ただし、後退の距離を満たしていない外壁の長さの合計が3メートル以下の場合、または物置等の用途で軒の高さが2.3メートル以下で、その床面積の合計が5平米以内の場合は規制が緩和されます。その他の用途地域でも、風致地区や地区計画でいろいろな規制を設けている場合もありますので、注意が必要です。
お住まいの地域のいろいろな規制は、役所の都市計画課等で確認できます。今回のように規制を知らずに後で困る場合も多いので、信頼できる業者に相談した上で建築することをおすすめします。 |
NPO住宅110番はリニューアルいたしました。 |