住宅クレーム110番

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J110 News

外壁のモルタル厚が設計と違う!


<静岡県富士市・NTさん(会社員・30歳・男)>



 私の家は、木造2階建てで外壁はモルタル仕上げなのですが、このモルタル厚が9ミリしかありませんでした。左官屋に確認したところ、今はどこもこんなもんでやっているから大丈夫と言うのですが、本当に大丈夫なのでしょうか? 外壁の構造は、合板の外に防水シートを張り、メタルラスを張って、Uラスモルタルを塗ってあります。
 設計士に確認したら、設計は20ミリだったそうなのですが、施工は左官屋任せでと言っています。



アドバイスいたします
細谷武伴(北海道建築士会 空知支部岩見沢分会)

 設計図書に記載がない場合はやむを得ないと思いますが、設計図書に記載があれば、施工者は設計どおり施工しなければなりません。
 今回の質問では、「設計で20ミリ」と明らかに設計士が回答していますので、施工者の独断変更に当たるのではないでしょうか。この場合、施工のやり直し請求をすることが可能だと思われます。また、設計士が施工を左官屋任せというのも問題です。設計士が監理も行っている場合、監理者としての責務を怠っているといえるでしょう。
 したがって、今回の場合、設計士(監理者)と施工者(請負業者または、左官屋)の双方の落ち度が原因となって起きたクレームとなります。「今はどこもこんなもんでやっているから大丈夫」というのは無責任で、自分を正当化しようという意図が見受けられます。よって、設計士(監理者)・施工者(請負業者または、左官屋)双方の責任において、施主との承諾で改修するのが妥当だと思われます。


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地盤の表層改良について悩んでいます


<岐阜県・匿名さん(会社員・38歳・男)>


 今、お願いしようと思っている建設業者で建設予定地の地質調査をお願いしたところ、「1メートルぐらい掘って、セメントと土を混ぜて、表層改良する方法がある。今回の調査結果の場合、やらなくてもいいと思うが、やってもいいと思う。迷うところだ。きっと近所の家もやっている家とやっていない家があると思う」と担当のA設計士が言いました。迷うならばやってもらおうかと思っていましたが、たまたま以前お世話になったある大手のハウスメーカーの方にそのことを話したところ、その会社では表層改良は数年前から中止(禁止)になったそうです。
理由は、
1 土に含まれている水分の量が土地全体でムラがあり、適切な水分量を割り出すのが難しいこと。
2 表層改良した結果、どのようになったか強度を測るのが難しいこと。
3 実際、ある地区で表層改良をやったところ、その部分が割れた事例があったこと(要するに、かまぼこの板が割れた)。

 1〜3は素人の私が聞いた結果ですので正確でない部分があるかもしれませんが、それを聞いて悩んでしまいました。そのようなことがあるのでしょうか。
 スウェーデン式サウンディング試験結果の写真ファイルを送りますので、ご返事いただければ幸いです。



アドバイスいたします
恵庭建設(株)
山崎孝治(北海道建築士会 恵庭支部常議員)


(1)表層改良についての設計フロ−

1.原地盤の土質調査・スウェ−デン式サウンディング試験・物理的性質

2.室内配合試験・一軸圧縮試験他・添加量の検討

3.設計・改良深さ、目標強度決定

4.施工・施工後強度の確認

以上の順序に従って予定建築物の設計条件による地盤改良の検討を行うが、改良深さ並びに目標強度が高い場合は、表層改良で対処できないこともある。

(2)相談者の表層改良を実施するにあたっての不安の理由について

Q1:土に含まれている水分の量が土地全体でムラがあり、適切な水分量を割り出すのが難しいこと。
A1:対象地盤の土の自然含水比の測定値は、土質によって多少の差があるが、いずれにしても改良するべき範囲内においては、事前の室内配合試験の段階で混合土の平均含水比として測定されるため、特に問題はないものと考えられる。

Q2:表層改良した結果、どのようになったか強度を測るのが難しい。
A2:室内配合試験で取り決めた目標強度を各養生(σ7、σ28)に従い、各試験(一軸圧縮、平板載荷、スウェ−デン式サウンデイング)で実施することができる。

Q3:実際、ある地区で表層改良をやったところ、その部分が割れた事例があったこと。
A3:過去数年にわたる実績の中ではそのような実例はありません。あったとしたら、その要因として考えられるのは、 
 1.所定の改良深さで施工されていなかった。
 2.所定の強度に達していなかった。
 3.設計条件に相違があった。

 最後にスウェ−デン式サウンディング試験デ−タから推察すると、中間層では圧密沈下量が大きくなることが予想され、GL−2.72mまで改良することが望ましいものと考えられる。なお、改良深さ、固化材添加量、目標強度の慎重な検討を必要とされたい。


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新築マンションの床断熱に悩んでいます


<福岡県福岡市・WTさん(会社員・56歳・男)>


 1年先に完成のマンションを購入する予定ですが、8階建てマンションの部屋は2階で、1階が駐車場になっていて吹き抜けです。冬の床断熱が心配なのですが、設計を見ると1階と2階の断熱材は「スタイロフォーム」(押し出し法発泡ポリスチレン)をコンクリートスラブに30ミリ打ち込みをするとなっています。フローリングとの間が50ミリありますので、追加設計で断熱材を注文したのですが、グラスウールをこの間に敷くとの回答を得ました。また、この間にある配管部分は上に載せる程度しかできないとのことでした。
 今年の冬は福岡でも0度近くになりました。この断熱方法で良いものでしょうか。もっといい方法があったら教えてください。



アドバイスいたします
ハウテックさん

 お見込みのとおり、1階が駐車場ということになると、1階の気温はほぼ外気温と考えて良いと思います。この天井にあたるスラブにスタイロフォームの打ち込みということですが、これはどこでもやる通常の工法と思います。では、それが十分な断熱性能かというと、やはり危惧なさるように、階下に住戸がある場合より劣るのもお見込みのとおりかと思います。本当のところ望ましいのは、駐車場に軽量下地等で天井をつくってもらい、その1階天井内でグラスウールなどを引き込んでいただくほうが断熱性能は向上すると思われます。しかし、駐車場が平置きか立駐式かわかりませんが、天井を設けることができない階高なのかもしれません。そのため、スラブ上にグラスウールを敷くという回答になったものか、あるいは専用部の要望のため、共用部の変更はできかねるので専有部内での処置で回答してきたかの、いずれかではないかと推察します。
 では、その内側にグラスウールを敷いてどれほど効果があるのかというと、グラスウールとスラブに密着性はほぼないので、やらないよりは良いかという程度の受け止め方しか無理かと思います。本当はスタイロフォームの厚みを増すか、ウレタンを吹ければ良いのですが、消防上の規制で下地仕上げ共、不燃材と指導されている部分ですので、ウレタンは吹けません。また、スタイロも不燃スタイロを使用するはずですから、一概に厚いものを打ち込むといっても厚さを駐車場全体で合わせる場合、かなりの平米数になると思います(不燃スタイロすごく高い材料です)。そのため、次善の策として、売主さんは言われるような回答をしたのかなと思います。そうなると、なるべく比重の重い高密度のグラスウールを使用してもらい、配管などで遮断される部分もなるべく密に引き込んでもらい、下階からの冷気の吹き上げを防ぐというより、自分の階の熱をなるべく外に逃がさないという考えで施工すれば、ある程度の効果を期待できるかなと思います。
 ある程度の検討はして答えてくれている売主さんと見受けられますから、率直に上記のようなお話をしてもらえれば理解して施工してもらえると思います。


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結露水はどこへ?


<茨城県牛久市・IKさん(公務員・43歳・男)>


 築2年のありふれた内断熱マンションに住んでいます。加湿等、一切していませんが、住戸内北側の部屋は一晩寝ると窓(特にアルミ製の窓枠部分)に大量の結露が生じます(ペアガラスにしてもアルミ部分の断熱はできません。北関東では、ホットカーペットで代用できる床暖房よりもサッシの断熱を優先すべきですね)。窓枠下部には溜まった結露水を排出する穴がありますが、この穴を通じて排出された結露水はどこへ行くのでしょうか? お教え願えれば幸いです。
 北側の壁は日照もなく、終日冷たい状態ですので、仮にどこかに水溜めがあるだけだと、春になるまで蒸発しないのではないかと心配になります。もっとも、どのみちコンクリートの室内側表面は春まで濡れた状態なのかもしれませんが…。



アドバイスいたします
ハウテックさん

 おっしゃられるような構造のサッシュであれば、基本的に下アングルの結露穴はアングル内を通過し、サッシュ外部側のアングル横に結露抜きの穴があいており、こちらから穴の詰まりがない前提で結露水は排出されていると思います。掃き出しでも腰窓でも同じです。穴のないタイプですと、結露受けということで多少水が溜まってもあふれない程度の深さをもっていて、溜まったら拭き取る形になりますが、穴があいているのであれば通常、外部側に誘導するようになっています。床下に実は溜まっているのでは、という懸念は持たれなくて結構かと思います。一度、下部レールの横側を外からの視点で確認して見てください。
 ただし、埃などで穴が詰まると室内側レール上であふれますから、掃除の際ごみを穴に落とさないように注意してください。


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オール電化で湯量が足りなく困っています


<匿名さん>



 昨年の6月の終わりに2世帯の家を建てました。設計の段階でオール電化をすすめられ、検討した結果、悩んだ末つけることにしたのですが、タンクの量が心配で業者さんの方に何度も足りるのか確認しました。うちは主人がシャワーをたくさん使いたい人で、2人分は必要だと思うし、今は4人で住んでいますが、これから先、子どもも出来ることを考え、6人〜8人で使っても十二分に足りるものでないと困るということを再三確認していたのですが、何度聞いても「タンクの温度は90℃まで上がって、それを水と混合で使うため倍使え、十分足ります」という答えだったので、その言葉を信じて付けたのですが、いざ住んで使ってみると、3人入ればお湯がなくなり、最後の人が寒い思いをしています。それに、お風呂以外でお湯を使えません。これから先が長いのに(人数も増えるし…)すごく困ります。しかも、タンクの温度は82℃までしか上がりません。
 業者の方にも連絡をとって見てもらっていますが、何ヵ月経っても答えがでません。最後にはコンピューターは悪くないので使い方が悪いか、お宅の生活リズムに合ってないのでは?と言われました。残り湯を気にしながら入るのも寒いのも、もう限界なのですが、この場合、一つ大きいサイズにしてもらうか、ガスにしてもらうことはできるのでしょうか? できる場合、うちが費用を負担しなければならないのでしょうか?



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 最近は、このようなトラブルが大変に少なくなりました。事前に家族数やライフスタイルを調査して、タンク容量を決め、さらに追い焚き機能が装備されているものが多くなりました。
 電気温水器は一応90度まで上昇させる機能は装備されておりますが、機器の維持保全のために80度くらいに設定しております。本件についてはタンク容量が明記されていないのでわかりませんが、質問者の家族数なら600リッター以上の容量が必要と思われます。
 いずれにせよ、容量不足であることで悩んでいるわけで、対策としては心置きなくお湯を使用するために、別な場所にもう1台温水器を取り付けする方法、また、現在の温水器周辺に余裕があるなら、600リッター以上の容量のものに取り替えるなどの方法が考えられます。
 費用の問題があるのであれば、オール電化でのメリット(室内環境維持)を多少なりとも減少させますが、ガス瞬間湯沸かし器を取り付けるのが一番安価な方法です。
 本件は、温水器をすすめる側と建主側の情報不足が招いた問題と思われます。しかし、費用の問題については、計画段階での課題で施工上の問題ではないので、施工業者に費用負担をを押し付けるのは非常に難しいと思います。しかし、事情を理解していただいて、いくらでも価格協力を要請するべきでしょう。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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床下の調湿剤と換気扇設置について


<東京都世田谷区・Iさん>


 築27年の木造住宅に住んでおります。ここ数ヵ月、ねずみが住み着き、罠を仕掛けたりと家族で対策を練っていました。それでもなかなか駆除しきれなかったので、家の者が役所の害虫駆除へ相談の電話を入れたとたん「通気口にネットを張ります」という訪問業者が現れ、ネットで数件も取り沙汰されているように「無料で床下点検」「カビがひどい」「土が腐っている」と、耐震に対して異様に恐怖心を持っている母を煽り、調湿剤と換気扇設置を行っていました。30坪程度の一戸建てですが、120袋の調湿剤を使用したようです。後で調べてみたのですが、調湿剤を敷き詰める前に、防湿シート等は敷いていないようです(床下は土壌です)。こちらも勉強不足な上、害虫被害で困ってはいたので、訴訟を起こしたりは検討していないのですが、これは泣き寝入りなんでしょうか? 「場合によっては逆効果にもなる」とネット上で出ていたので、再点検と事によっては修正をしたい気もするのですが、業者に頼む気にはなりません。白い調湿剤を敷きつめた状態では、調湿剤自体が再びカビたとしても確認しようがないですし…。床下がカビるのは、ある意味では当たり前のことともどこかのホームページで拝見しました。やっぱり泣き寝入りになってしまうのでしょうか…。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 悪徳業者は本当に困りものですね。調湿材を床下に敷き込む条件としては、どのような種類の調湿材でも床下の通気が完全になされていることと、床下の地中からの湿気を遮るために、必ず防湿シートを敷き込むことが不可欠です。
 白い調湿材ということですが、「シリカゲル」なのか「石灰」なのかわかりません。その他に炭を袋に入れたもののあります。いずれにせよ、防湿シートが敷かれていないのが気になります。シリカゲルなら蟻が触れますと、脱水状態で蟻を死に至らしめますが、乾燥していることが前提です。
 120袋の調湿剤を敷きこんだということですが、いったん取り出して防湿シートを完全に敷き込んで、また敷き直すことをおすすめします。自分でもできると思います。
 床下通気口は、とにかく通気が完全になされていることを確認する必要があります。とにかく、床下は床下の地盤面がさらさら状態で乾燥している状況なら、腐食菌も発生しませんし、蟻も近寄りませんので、特別な対策を必要としません。
 基本は、床下の乾燥状態を維持するために何をなすかなのです。調湿剤も乾燥状況をつくることが目的で、防湿シートや通気がなされていなければ、その目的を果たすことはできません。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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擁壁の水抜き穴が逆勾配


<大阪府高槻市・KSさん(会社員・39歳・男)>


 擁壁についての質問です。
 道路に面した部分が約2メートルの擁壁になっています。その擁壁の水抜き穴が逆勾配になっており、雨が降っても水がどうも出ていない様子です。このまま放置していてもよいものでしょうか? 擁壁が出来て約1年です。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 どの程度の逆勾配なのか文書ではわかりませんが、正常な勾配で水抜きパイプを取り付けた場合でも、そのパイプから水が流れ出るとは限りません。雨水の水脈は複雑で、水抜きパイプの付近を通らずに別なところから流れ出る場合も、多く見受けられます。水抜きパイプの先が大きな石、粗い砂利、細かい砂利の順で保護されていれば、その付近に水が溜まると自然に流れ出るものです。もうしばらく様子を見ることが必要と思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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