住宅クレーム110番

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J110 News

外張り断熱の断熱材について


<匿名さん>


 現在、検討している住宅メーカーはロックウールによる外張断熱を売りにしています。外張断熱の素材として、むき出しの綿状のロックウールは適当なのでしょうか。壁とロックウールの間には気密シートがあるようですが、ロックウールに含まれている接着剤や、ロックウール自体の有害性が気になっています。高気密・高断熱なので、床下を負圧にした計画換気になるそうですが、それによって断熱材から有害物質が室内に漏れたり、ロックウールの破片が浮遊したりしないのでしょうか。ちなみに建築予定地は神奈川県の海沿いです。よろしくお願いします。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 断熱材の室内側に気密シートを設けるのが基本です。さらには断熱材の外部側はタイベック等の湿気を放湿するシートを設け、通気工法になっていればベストです。すなわち内部気密、外開放が建物の原則です。このような施工がしっかりできていると、ロックルールの接着剤等の有害性による心配はないと思います。
 基礎部分については、床下を計画換気するということなので基礎断熱(外断熱)と思われます。外壁、土台、基礎の内部側にしっかり気密シートが連続して設けていれば、同様に床下内部がロックウール、防腐土台と遮断されているので問題ないと思います。内部をしっかり気密し、外部を開放する修まりにしてください。


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せっかく外断熱なのに寒くならない?


<東京都世田谷区・TNさん(会社員・39歳・男)>



 現在、2×4工法(外断熱)で新築中です。建物の高さの関係で基礎高より床面が低くなっています。基礎には基礎パッキンをはさんで土台がアンカーボルトで取り付けてあり、2センチの隙間があります。隙間の外側は防虫ネットが取り付けてあり、金属の水切りで覆っています。内側は未施工ですが、耐火ボードと壁紙になるとのことです。そうすると、せっかく外断熱にしても2センチの隙間が家を取り囲み、その部分は耐火ボード一枚のみで断熱することになります。建築会社にその旨を訴えたところ、「それでは、発泡ウレタンを充填しましょう。3缶も使えば埋まるでしょう」との回答でした。
 外気や雨と接し、発泡ウレタンが湿気を含み、土台などに影響が出ないものでしょうか。外断熱ボードみたいなものをはさんで隙間を埋めたほうが良いのでしょうか。アドバイスをお願いできればと思います。よろしくお願いします。



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住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


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 外断熱の場合、基礎も外断熱にするのが基本になります。今回の文面から見ると床断熱のように見受けられます。基礎断熱(外断熱)の場合であれば、土台と基礎の気密の問題だけになりますが、床断熱であれば、ご指摘のとおり断熱欠損と気密の問題になります。外壁断熱材と床の断熱材の間が、基礎より床が下がっているため布基礎部分で切れており、布基礎部分の外側か内部側に断熱材を打ち込むか現場発泡ウレタンを施さないといけません。
 土台と基礎の気密に関しては、命を懸けて気密を図らないと性能が出ません。発泡ウレタンは柔軟性がないので土台の乾燥収縮などに追従しません。したがって、充填しただけでは気密化は図れないので、気密シートを断熱材の内部側に壁から床まで連続するように施してください。いくつかの方法・修まりがあるとしても、要するに断熱材も気密材も壁から床までいっさい切れることなく連続していなくてはいけません。一筆書きしてみてください。
 今回の文面を見る限りでは、TNさんのご心配・ご指摘のとおりと思います。ぜひ、断熱に関しては基礎に外断熱をするか内断熱をしてください。気密に関しては土台下に発泡して(気密ではなく断熱工事=断熱欠損処理として)、気密シートを必ず連続させてください。


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マンションの瑕疵責任について


<福岡県福岡市・MKさん>


 はじめまして、私、一級建築士で設計事務所を開設しています。建築基準法12条の中で、定期報告という項目があり、3年に1度、資格者に調査させて報告するようになっています。その調査の際、汚水配管で明らかに設計ミスの問題ではなかろうか思われる箇所がありまして、その件についての質問です。
 対象の建物は築20年の分譲マンションで、定期報告の調査と報告は今回が最初です。5階建て、13世帯、1フロア2〜3世帯、1階にも住戸があり、今回の最大の問題は1階の住戸のトイレです。2階以上の階の世帯の方がトイレの水を流すと、1階の方のトイレが逆噴射して、トイレ中が水浸しで糞尿浸しになるのです。いわゆる「紙球鉄砲」と同じ原理です。2・3・4階の中間階住戸のトイレの逆噴射はないものの、検査の結果、やはり便器のたまり水が上下します。トイレの異常がないのは最上階の住戸だけです。1階の方は、毎日トイレ掃除。たまに、トイレで用をたしている最中にも逆噴射があるそうです。これで、普段どおりの生活が営めるはずはありません。入居者が気の毒で、不憫でしかたありません。
 これは明らかに、設計上のミスであり、それをそのまま工事した施工業者、それを販売したデベロッパーに責任があると思うのです。そして、これは明らかに瑕疵責任があると思うのですが。ただ、20年経ってしまっています。デベや施工業者に先方全額負担で改修させることは可能でしょうか。素直に「はい」とは言わないでしょう。上記の問題は、新築当初から発生していたことは、私の経験から間違いないと確信しています。
 現在1階にお住まいの方は、築2年後、前入居者の方から現金で購入されたそうで、前入居者の方は、その問題を知りつつ隠して何も告げずに売却したようです。
 問題は1階の住人の方なんですが、なぜもっと早く、購入後すぐに苦情を言わなかったのか。前入居者の方も、なぜデベに苦情も言わず転売したのか。問題が先送りされ20年経ってしまっています。1階の方も「自分さえ我慢すれば、それで済む」と思っていたようです? また、ほかの住戸も同様と思っていたようです。
 とにかくこのままではマンションの価値も下がり、次に売ろうにも売れません。管理組合が自費で改修するしかないのでしょうか。
 普通、マンションでの給排水衛生設備の縦配管は、1本で縦につながり、各階で横に引き出されています。1階に住戸がある場合、1階の配管は単独で行うのが一般的なのです。いくら通気をとっても、上記の問題が起こるのは必至です。

まとめ
 上記のトイレ逆噴射問題は、新築当初から起きていた。その逆噴射問題は、設備の配管設計・施工に問題が起因している。配管を変更・改修しない限り問題は解決しない。1階の住人は、17年間苦情を言えなかった。苦情の矛先がわからなかった。このままでは、売却もできず、マンションの資産価値は下がる。
 そこで、デベロッパーの瑕疵責任を理由に先方全額負担で改修させることは可能でしょうか。



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ハウテックさん

 MKさんのお見込みどおりで、縦管の最下階接続はご法度事項で、縦から横引きに変わる部分で激しい乱流により満水状態を引き起こしますから、曲がり部分の跳ね返り現象を含め、最近はどこでも1階単独配管、縦管接続は2階からというのが業界の常識です。では、20年前はどうだったかといえば、やはり大手デべの仕様ではすでにそうなっていました。ただ、小規模なビルや設備担当不在のデベ、ゼネコンでは結構やってしまっている例はあります。問題はそれが瑕疵となるかどうかですが、前述の大手デベのように仕様に盛り込んでいれば、それは、その工事が不具合の原因となると認識していることにほかならないので、瑕疵であることはデベあるいはゼネコンは認めるでしょう。しかし、20年前は品確法もPL法もないので、拠り所となるのは旧四会連合約款しかありません。しかし、これについても主要構造物は20年というのが最長で、配管類は該当しないので、あとはデベのアフターサービス基準しかないことになります。これは、配管類については長くても10年しか保証規定されていませんから、たとえ大手デベ物件であっても、20年間に至るまで1回もその不具合について言及していないとなれば、ほぼ全ての道は閉ざされていると考えざるを得ません。ましてや、この工事がどんな不具合を生むか認識しないで施工している売主、ゼネコンであれば、保証期間が過ぎているの一本槍になるのは想像に難くありません。
 とりあえずは、管理組合で業者に1階単独配管施工の見積もりを取って、その金額の一部を負担させる法的手段がないか、弁護士さんに相談されたらどうでしょうか。それも無理であれば、結局、自己資金ということに残念ながらなると思います。しかし、13所帯と少ないし、長期修繕もどのように考えておられるか心配な物件です。あと、1階床下横引管が土間配管でないことを祈ります。土間配管であれば施工そのものも困難ですし、斫や土工事の余分な金がかかります。かなり厳しい状況ですが、ご健闘を祈ります。ご同業の方に先生面して恐縮ですが、参考になさってください。


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位置指定道路について


<Hさん>


 はじめまして。一戸建ての家を検討中ではありますが、いくつか悩んでいることがあり、ふんぎりがつきません。そこで、いくつか質問させていただけないでしょうか?

1)位置指定道路がありますが、これは今後、この位置指定道路の認可を消されることってあるのでしょうか?
2)位置指定道路をいずれ、B、C、D、Eさんで共有するとき、そこになんらかの設備をつくるには、みなさん全ての同意が必要ですが、例えば、Bさんが少なくとも自分が負担した部分の通行は、NGとうことはありうるのでしょうか?



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ヒガシノデザイン
ひがしの雅司
電話:011(717)5166


ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/

 位置指定道路は私道ですが、建築基準法上の道路に該当し、一般の人や車の通行を認めねばなりません。
ご質問の、位置指定道路の変更や廃止には利用者の同意が必要で、突然、一方的に廃止されることはありません。2番目のご質問のように、通行の妨げになるような部分的な廃止もできません。
 また、道路敷地内には、公益上必要な建築物で通行に支障がなく、役所の許可を受けたもの以外はつくれません。しかし私道ですから、維持管理は所有者および関係権利者で行う必要があります。近隣との円滑な付き合いのためにも、前もって関係者にお話を聞いておいたほうが良いと思います。


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浴槽の支え方は建築不良では?


<滋賀県・Mさん>


 地域の業者に木造一戸建てを建ててもらって13年経ちました。最近の住宅不良の報道で気になって床下にもぐったところ、添付のような状況でした。浴槽をブロックで簡単に支えており、これでは建築不良というものでは? 業者への対応方法に助言いただければ幸いです。



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建設大臣賞受賞
リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員)
代表 廣瀬 誠
電話:011(882)1200


ホームページ:http://www.do-ko-bo.co.jp/

 写真だけでは判断が難しいのですが、確かにあまり良い方法ではないと思います。通常、ユニットバスでしたら、専用の架台を使ってメーカーの組立て業者が行います。架台は特に高価なものでもないし、ユニット施工には付きものなので、なぜこのように施工したのか理由がわかりません。この写真では、土の上にそのままブロックを置いているように見えますので、大きな地震がきたら、ずれてしまう可能性があります。
 改善策としては、現在のブロックのまわりに6センチ厚程度のコンクリートなどで固めれば、かなり改善されます。北海道では床下は凍害を起すので一般的に専用架台を使いますが、それぞれの地域の考えや方法があり、全国一律ではありません。一概に手抜きだとかはいえませんが、少しプロ意識に欠けている業者さんなのかもしれません。一度見てもらい、なぜこうしたのか納得する説明を聞いたほうが安心できると思います。
 通常の施工方法はユニットバスメーカーに聞くと教えてくれます。ただ、これだけですぐ、最近騒がれている「建築不良」とか「欠陥住宅」かと言われれば、過剰反応のような気がします。


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入居後に窓ガラスを交換したいけど… 」について


<大阪府大阪市・IMさん(会社員・33歳・男)>


 ご回答には網入りガラスしかダメと言われていますが、網入りでない防火認定を受けたガラスがA社やN社さんなどから発売されています。それを使ってもダメなのですか? また、再認定を受ければいいのではないのでしょうか?



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ハウテックさん

 いやいや、おっしゃるとおり、A社(ファイヤーテンバ)など透明の耐熱強化硝子であれば乙種防火戸になりますから、法的にはOKとなります。ただ、強化硝子は表面の切り傷などで、あれほど衝撃圧に強いのにも関わらず、あっさり崩壊する場合があります。ショーウインドーなど、透明の必然性が要求される嵌め殺し窓に使うのが王道で、開け閉めの多い住宅の引き違い窓におすすめの商品とは個人的には思っておりません。また、最近のリビングのバルコニー側窓はハイサッシュ化とワイドも広く、低層階主力の5.5〜6ミリで交換した場合、最大寸法も限定(2400×1200最大)されます。より制約のない網入りがやはり無難かな、と思います。何より、やはり金槌で叩いても割れないものがちょっとした傷であっさり崩壊するのですから、個人所有のマンションで割れた破片が地上の通行人になんて考えると、すすめづらいです(相談の方は6階)。舌足らずですが、透明のがあるというと、みなさん、透明を使いたがるんですよね。でも、もともと付いているサッシュの硝子はおそらく6ミリ。6ミリの強化硝子、そう思うと、ちょっとおすすめできないんです。すごく高いですし。ということで、網入りでご説明させていただきました。


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不要になった人造大理石を再利用したい


<北海道江差町・KTさん(主 婦・50歳・女)>



 システムキッチンの取り替えにより、間口が違うため、不要になった人造大理石の天板を洗面台等に再利用したいと考えていますが、素人で加工可能でしょうか。または、どのようなところで加工してくれるのでしょうか。さらに、加工費が相当高価なら再利用をあきらめますので、どの程度でしょうか。



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建設大臣賞受賞
リフォーム・新築の北海道工房(株)(JRN正会員)
代表 廣瀬 誠
電話:011(882)1200


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 リフォームにおいて、不要物の問題は必ずついてまわるもので、再利用できるものであれば利用するのは良いことと考えます。しかしながら、再利用するにあたって、そのまま使うことができれば良いのですが、たいていのものは、取り外した後に加工し直して使用することのほうが多く、素人の方が自分でとなると、長さを短くするなどの寸法を変える作業であればできると思いますが、別なものにつくり替えるとなると、それに伴う必要な工具がないために、専門の方にお願いすることになるのがほとんどと言っていいでしょう。その際、その場で加工できるのであれば、費用的にも少なくて済むのですが、洗面台等に加工するとなると、手洗い器を取る付けるためにくり抜かなければならず、その場ではなかなかうまくいかないので、工場に持っていって加工し、また現場に運ぶという作業になるため、結果、新品を用意するのと変わらない費用がかかることも多くあります。
 詳しい金額については、かかる費用の大半が技術費と運搬等の諸経費とになります。なかなか一般的な費用というのは難しく、加工のできる業者さんに確認していただくことをおすすめします。店舗や住宅などの造作家具等を制作しているところや、オーダーキッチンなどを手掛けているところなどで問い合わせしてみてはいかがでしょうか。


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床下の断熱材とコンクリートについて


<Tさん>


 はじめまして。専門的な知識がないので、言葉が変かもしれませんが、質問があります。よろしくお願いいたします。
 今年(2003年)の3月末引渡しで、5月に入居したマンション(1階部分)についておうかがいします。入居してすぐから室内のカビがひどく、隣のお子さんがアレルギーになったと聞き、うちの子が心配でディベロッパーに相談していたのですが、らちが明かず、第三者の建築士の方に相談したところ、(直接基礎の上の)床下ピット(水漏れチェックしやすいように上階の配管も通っていて、高さ1.2メートルくらいの空間)に水がたまっていることがわかりました。マンションの建築士に言わせると、「床下はもともと湧水ピットになっていて、造りとしては一般的」だそうで、「床下ピットの湿気と、床上住居のカビとの因果関係はほとんどないです」と言われ、一時、部屋を消毒されて、壁などに穴を空けられそうになりました。ですが、こちらで来ていただくようになった設計士の方が、「床下がおかしい」と言うので、今話し合っているところです。
 床下の状況としては、1ヵ月前から幾度か自分で見た限りでは、(1階床下に接する部分にだけ張ってあるのですが、その)断熱材(水色)表面に黒カビがたくさん生えていて(断熱材と断熱材の隙間にも白カビが生えている)、表面に水蒸気がたくさんついていて、所々ボールペンで刺したような穴が空いていたり、上から釘が打ってあったり、梁の部分には配管を通すはずだったような丸い穴が空いています。床下に入ってくる、防ぎようがないらしい湧水は、ポンプアップして外に出すのと、住居部分下の真ん中の浸透マス(土が出ている)から出て行くシステムのようです。しかし、床面の勾配が逆だったりと適当なので、水が浸透していないばかりか、まわりの住居よりGLが7メートルほど低く、浸透マスの下にローム層が通っているので、水はけが悪く、床下がいつも湿っている(いつも深さ3センチほどの水たまり)状態です。(断熱の張っていない)床下ピット側面の一部コンクリート表面がくずれ落ちていたり、四角く何ヵ所も取れているところもあるし、茶色いシミや、ベニヤ板がついているところ、タオルのようなものがコンクリートに入っているところ、茶色い釘が出ているところもあります。また、マンション設計士曰く、「特に規定はないが、床下部分の湿気を逃がすために、いくつか換気口を設けている」ということですが、中はカビ臭いです。素人目に見ても、とても新築マンションの床下とは思えません。
 そこで質問なのですが、まずは、断熱材について。マンション設計士曰く、「このマンションの床下の断熱材は、グラスウールではなくポームコレスチレンボード?で、細かい気泡がたくさんあって空気層が独立しているもの(発泡ポリエチレン?)なので、浸透しません。何十年も使えるし、はがれる心配もありません」とのことでした。これは信じても良い話でしょうか? 
 それからコンクリート部分なのですが、側面には断熱材が張っていなくて、そこから躯体を通して湿気があがらないか聞いたところ、マンション設計士は、「コンクリートは余った水が抜けた後は、新しい水分を外から入れることはありません。必要な水、セメント等が固まって、完全な壁をつくっています」と言い、こちらが側面に防水をしているか聞いたところ、「一般のマンションでコンクリートは防水しません。地下室・メゾネットなどの場合はします」ということでした(ディべロッパー発行の性能評価書には、100年コンクリートといえるくらい(JASS5の基準に該当)強度の高いコンクリートを使っていること、また、かぶりの厚さも、土に接する部分は50ミリ、基礎・擁壁は70ミリと書いてあります)。
 以上、断熱材・コンクリートの透湿のしにくさからいっても、地下の湿気が上に影響するのは考えにくい、とのことでした。この話も本当でしょうか?
 ちなみに、土に接しない部分のかぶりの厚さは30から50ミリとなっていますが、家の庭に続くベランダ部分は、すでにリビングまで長ーいヒビが入っており、お隣のベランダは、ヒビどころか真ん中のコンクリートが丸く取れていて、中が茶色っぽいです(聞けば、2年後に他のヒビとまとめて補修してもらう約束だそうです)。
 床下は、みんな(200世帯以上のマンションです)にとっても基礎の部分なので、慎重に話を進めたいのですが、設計云々とあわせて、一度コンクリートの専門家にも見てもらったほうが良いでしょうか? 今のところ、床下を気にしているのはウチだけのようです。早く何とかはっきりしたいのですが…。とり急ぎ、どうしてもわからない専門的なことについて質問させていただきました。
 設計に関していえば、同業者でもいろいろ見解が分かれるそうです。長々とすみませんが、お返事お待ちしております。子どもの健康も心配です。よろしくお願いいたします!!



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ハウテックさん

 お子さんがいるお宅では確かに心配な問題です。お話を整理すると、以下のようになるでしょうか。
1.室内にカビがひどい。
2.第三者の設計士さんは、床下からの湿気の浸入に原因があるのではないかと推測している。
3.売主側設計士は、床下からの湿気の浸入はありえないと否定しているが、室内のカビの原因については特定しておらず、カビの原因が明らかになっていない。
4.双方の設計士の見解に相違があり、売主側の設計士の言葉にうそがないか確認したい。

 ここで一番大切な問題は何か? そうです。カビの原因をつかんで、それに対応してもらうことですね。メールでは室内床の構造について触れていないので、状況をつかみづらいのですが、置き床ですか、フローリングなりカーペットなり直張りですか? また、カビは主にどんな部分に発生していますか? 壁でしょうか、床近くの巾木などの部分でしょうか? 外壁か中間仕切りかによっても判断は変わります。
 もし仮に、床下ピットから湿気があがっているとすれば、床まわりからカビは発生します。特に通気が悪くなりがちな押し入れやクローゼットの床や巾木の上下などです。近年は1階下はピット構造がほとんどなので、床下からの湿気の浸入は、土に直接コンクリートを打つ土間より少ないのはウソではありません。コンクリート打ちがまともであれば、コンクリートを媒介とした湿気の浸入は、売主側設計士さんの言うとおり、可能性は低いと思います。上水面の高い地域のマンションは、そうでなければ全滅となります。ただ、コンクリートがまともでない場合はそうはいきません。しかし、スラブのコンクリートは打ちやすいので、壁などに比べたらジャンカ(すになってること)はできづらく、疑うべきは配管貫通部の穴埋め部分、作業用ダメ穴の埋め戻し部分などのコンクリートをいじめた所の処置と、台所などの床下点検口まわりを、コンクリートでなくブロック積みにしていたり、ユニットバスの浴槽を1階のみ埋め込みしたりして、やはりコンクリートに穴を空けて異種の材料で埋めている所などは湿気の浸入は考えられます。おおむね、その手の箇所は後日点検できないので、原因がつかみづらいのです。ですから、もし床下を疑うのであれば、このような点を真っ先にチェックなさってください。
 土間コンクリートの時代、湿気があがってきた時は床がなんかジメジメしていましたから、床にカビが生えていないのであれば、コンクリートを疑う前に欠損部の処理を点検してください。ですから、まずはカビの発生場所からその原因を特定する方法を取ってください。私の経験で、ユニットバス下で水漏れしているのに気づかず、ユニットまわりの部屋の床近くでカビが生えるといって、結露と外壁雨漏れの調査を依頼されたことがありました。いろいろな角度で検討しないと、見えない部分は憶測で判断しがちなので、注意が必要です。
 おおむねここまでで、3.までについてお話できたと思います。
 次に4.ですが、率直に言って売主側設計士さんはウソはついてません。ちゃんとそのとおりにやってあれば、の前提つきですが、とってつけた話もなく、ごまかす作為も感じられませんから、一応、話はできる担当であると認識されて差し支えないと思います。
 床下ピットが湧水層兼用であれば、水滴だらけでもスチレンボードがカビていても仕方ないでしょう。当然カビ臭くもなります。側面とスラブの入角の部分などは、1.2メートルのピットでは型枠作業もやりづらく、表面ががちゃがちゃしている所もあるでしょう。普通、切りつけといってハツルのですが、湧水槽であれば、大目に見てしまうこともあるでしょう。さびた釘はボルトを吊るインサートの釘でしょう。全部切り取れというデベもありますが、あったところで態勢に影響はありません。タオルがついているのは、コンクリートを打っているときにパンクしたところにタオルを突っ込んで、とりあえず漏れを止めたんです。別にゴミではありません。当然、ハツって除去しておくのが望ましいのは言うまでもありませんが、床下ピットで現場監督も目が届かなかったのでしょう。
 一点変だなと思ったのは、住居部分下の浸透マス、住居下はピットじゃないんですか? ピット内(湧水槽)浸透マスは置けないですよ。でも、浸透マスの設置は基本的に指導なんで、これは役所が悪いですよ。湧水があるということは上水面が高いということなので、本来、浸透マスは不適です。でも、そんな所に限って、インフラ整備が遅くて下水管の口径が小さい。だから、マンションのように広い敷地の建築物に、お前の所の雨は全部敷地で処理して外に流すなといって、雨水の敷地内処理が始まりました。ご指摘のとおり、ロームに浸透しないんですよ。だから、最初はきれいな砕石を入れておいても、大雨が降ると茶色になってしまう。ですからこれは、一時雨水を一斉放出させないための滞留場所と考えてください。
 なんで、こんなことを言うのかというと、建築は工場ラインで生産する製品と異なり、雨も降れば、炎天下でもやる自然と向かい合って行う製作物なんです。ですから、クリーンルームでつくる電子部品などと同列の品質管理は、もともと無理です。日本人の悪い所で、売るほうも、それをできるかのように説明したり、また買うほうも要求してしまうのです。それがある程度できるのは、お金と暇を掛けたときです。現状のような効率第一の社会では困難です。かつ、ゼネコンの惨状とデベの金回りの悪さで、マンションはかなりきつい単価で仕事をしているので、監督の人数も減り、さらに管理の低下を呼ぶ悪循環を起こしています。ですから、赤字工事なのにクレームばかりと、ふて腐れるゼネコンと、手抜きされてんじゃないかと疑うユーザー、という対決構図ばかり出来上がってしまうんですね。
 でも、大事なのは、せっかく買った家に不具合があったら、すぐに気持ちよく直してくれて、ああやっぱりここ買って良かったなって思えることではないでしょうか。主要構造物に欠陥がある、こういう話なら、首つかんででも裁判しても直してもらいましょう。でも、原因がよくつかめていない時点でのあら捜しで、相手の器量を計るのは、今後直していく過程でも必ず見え隠れして話がうまくいかないですよ。私はゼネコンも経験したことがありますが、感じのいいお宅の部屋は手直しでも気重になりません。コミュニケーションが悪ければ手直しも的外れになり、さらに手直しが続くものです。ある程度、信頼のおける売主、ゼネコンと判断できる材料があれば、瑕疵期間中はニコニコして、実は使い倒すぐらい良い関係をつくるのが、マンションオーナーの得策です。今はゼネコンは経営が大変ですから、会社の瑕疵予算なんておいそれと使えません。みんな所長たちは、ほかで稼いだ金を使って直すのです。だから、どうせお金を使うのなら、憎たらしい所には使わないですよ。今後、長期修繕をやるにしろ、リフォームをやるにしろ、建築屋のパイを1個もっているのは有利です。なぜなら、10年20年後、住人に建築関係の人間がいないと、管理会社以外、建築会社とのコンタクトの道がなくなります。長期修繕専門の設計事務所もありますが、ペイも高いですよ。
 おおざっぱな判断では、匿名さんのマンションの売主設計士さんは、ある程度の水準の方と思えますから、まずはまかしてカビの再調査をしてもらってください。そして、報告書を出してもらい、その内容を第三者設計士さんにチェックしてもらい、その上で、それを改善する工事を実施するよう、売主に要望してください。施工法は基本的には売主、施工者側に選択させてください。自分で指示した場合、直らなくても、言ったとおりやったと逃げられます。瑕疵担保責任はそういうものです。それと巧みな人心掌握で、匿名さんの補修が無事終わることを祈ります。


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