住宅クレーム110番

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スチールツーバイは地震と火事に強いとはホント?


<東京世田谷区・ HITAMさん>


 初めて投稿します。今、コンタクトを取っているところで、スチールツーバイは木より地震と火事に強いと言っているが、いろいろ調べると、スチールは火には弱いとなっているがどうなんですか。
 また、断熱方法は外張断熱でシロアリに絶対やられない断熱材を下部に利用するので、シロアリも大丈夫ですとのことですが、そんな断熱材があるのでしょうか。何しろ、現在住んでいる家が築29年で5年ぐらい前に、シロアリに玄関、風呂場を侵食されて痛い目にあっているので、つぎはシロアリに絶対食われない家にしたいと願っています。



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 今回の文章からシロアリ対策に苦慮していることが読み取れます。シロアリ被害のないスチールハウスを選定したが、スチールハウスの標準になっている外断熱の断熱材の被害が心配ということですね。
 通常、外断熱のときは基礎断熱として発泡プラスチック系の断熱材を打ち込みますが、シロアリはこの断熱材をなぜか大好きで食害が問題になっています。
 北海道ではシロアリの食害があまりないので販売されていませんが、殺虫剤(シロアリが食べると死ぬ)入りの発泡ウレタン系の断熱材があるようです。確認してください。
 スチールハウスの耐火性については、火災時に起きる「木の炭化」と「スチールの高熱によって溶ける」状況を比べた場合、弱いともいえますが、高耐震性・経年変化(乾燥収縮・ねじれ・反り・割れ)が無いことなど優れたところも多くあるので、総合的に判断し目的にあった工法を選択してください。


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冷気の侵入を防ぐ方法は?


<愛知県豊田市・MTさん(主 婦・30歳・女)>


 大手ハウスメーカーの軽量鉄骨造の家に住んでいます。高気密、高断熱、次世代省エネということで、特に冬場の快適性に期待していましたが、それほどでもありませんでした。昨年の冬に気づいたのですが、家の中のコンセントや電気のスイッチプレートの部分から、隙間風とまでは言えないかもしれませんが、冷気が入ってきます。風の強い日や、風当たりの強い北西側の方向がひどいようです。
 メーカーに問い合わせたところ、壁体内通気工法のため仕方ないと言われました。壁体内通気工法の場合は、このような現象が起きるのは当然なのでしょうか? 冷気の侵入を防ぐ方法はないものでしょうか?



アドバイスいたします
住まいを科学する技術集団・新住協メンバー
須藤建設(株)
副社長 須藤芳巳


ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/

 構造が軽量鉄骨造ということなので、外断熱工法(鉄骨構造の外側を断熱材で覆い、通気層を設け、外装材で仕上げし、鉄骨構造軸間を空洞とし、内側に石膏ボードを張る仕様)を採用していると思います。
 気密シートは断熱材の内部側が原則なので、この場合、鉄骨構造の外側に気密シートを張ります。従って、外部から風圧を受けて軸間の空気が動き、コンセント・スイッチBOXから冷気が入るということは考えにくく、ましてや壁体内通気工法という考え方・言葉はないと思います。壁内の空気が動くということなのですが、1階床〜1階壁〜2階床〜2階壁〜天井の各接点は気流止めを施すのが基本の仕様なので、内部においても空気は動かないものです。
 今回、風圧を受けるということなので上記の部分の気流止めが完全でなく、床下換気口等から1階壁へ入った空気が上部に流れ、隙間風を感じるということが考えられます。壁の床下と屋根部分の気密を確認してみてください。
 対策として、壁の気流止めをこれから施すことは大変ですが、スイッチ・コンセントBOXの部分は専用の内部用気密コンセントBOX(防風カバー)が販売されていますので、プレートを外し、BOXに内側から防風カバーを付けることによって防ぐことができます。


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エアコンの配管は隠蔽か露出か


<愛知県・ミコノスさん(会社員・男)>


 エアコンを隠蔽配管にするか、露出配管にするか悩んでいます。隠蔽配管は美観以外にメリットがあるのでしょうか。



アドバイスいたします
ヒガシノデザイン
ひがしの雅司
電話:011(717)5166


ホームページ:http://homepage3.nifty.com/hi_design/

 はっきり言って美観以外のメリットはありません。ただし、露出の場合でも、配管を結露や破損から守るために、保温やカバーは必要です。しかし、隠蔽配管としても耐久年数も20年くらいなら問題はありませんし、冷房機を変更した場合でも大抵は対応できると思います。そうは言っても、絶対に大丈夫とは言えませんから、露出配管のほうが安心はできます。
 以前に、私の設計した設備会社の社屋では自社の施工に自信を持って、冷媒管をはじめ、給排水管や換気ダクトまで露出で施工しました。また、規模こそ違いますが、ポンピドーセンター(パリ)の鮮やかな色彩の設備配管は、とてもカッコ良いです。きちんと整理して、設備を露出すると、なかなか美しいですよ。


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べた基礎に水がたまるようになりました


<千葉県柏市・匿名さん(39歳・女)>


 初めて投稿いたします。築約9年の建て売り木造住宅に住んでいます。この夏以来、雨のあと、基礎部分からじわじわと水が漏れ出すようになったため不審に思い、床下収納庫の部分から床下を覗いてみたところ、床下に水がたまっている状態でした(一日中、雨が降り続いた日は数センチたまり、その後2〜3週間かけて水がひいていくようです)。自宅周辺は水はけが悪く、ときどき道路が数10センチ冠水してしまうような土地ではありますが、わが家は盛り土をして道路より70〜80センチ高くしてあるので住宅部分にまで水がきたことはなく、床下の排気口(というのでしょうか?)から水が入ったということはあり得ません。
 何軒かのリフォーム業者に見てもらったところ、いずれの業者も、基礎はべた基礎と呼ばれるものであり、本来は防水されているはずだが、どこかに亀裂でもあり、地面(つまり、わが家の場合、盛り土)の水分がしみだしているのだと思うとの返事でした。また、どの業者も配水管などからの漏水の可能性はないようだと言っています。対処法についての意見と修理方法・費用についての見積もりは、業者によってさまざまで判断がつきかねています。もちろん、現場を見てみないと何とも言えない部分があることは十分承知しておりますが、どのように対処すべきか判断する材料として、ご意見がうかがえればと思い、投稿した次第です。特に知りたいと思う点は次のとおりです。

1)根本的な解決法、つまり水が入らなくする方法はあると思われるか。あるいは、入った水を排出するという対処療法的な方法を考えるしかないのか。
2)これは施工のミスなのか、やむを得ない劣化なのか。
 
 ちなみに同時に同業者によって建設された隣家(2軒並んでの建て売りでした)の床下を覗いてもらったところ、乾いていて何の問題もなさそうだということです。よろしくお願いいたします。



アドバイスいたします
HQ住宅研究所 FAS本部
代表 福地 脩悦


 床下に雨水が溜まる状況をそのままにして、対処療法的な方法での対策は土台や床下付近の主要構造木材の含水量が増加して腐朽菌が発生する恐れがあり、極めて危険です。確実に床下に水が浸入する状況を改善しなければなりません。文章だけでしか判断できませんが、止むを得ない劣化で床下に雨水が浸入することは考えられません。
 配管の漏水でもなく、地盛りをした敷地の状況から判断しても、基礎の亀裂からの雨水浸入も非常に少ない確率であると思われます。当方が今までの経験で、本件と同じような事象がありました。原因は外壁材と基礎の間に取り付けられる水切りが内側に逆勾配となっており、外壁を伝わって壁面の下部に流れ着いた水が、水切りの内側にたまり、水切りの折り曲げ部分が腐食して、床下内部に浸入しておりました。
 本件では、外壁や水切りの状況が記載されておりません。中には水切りを使用しない、外壁の納まりもありますので、同じ要因かどうか判断できないのですが、一番可能性の高い原因であると思われます。同業者が建築した近所の建物に問題がないということですが、カラー鉄板の折り曲げでつくられた水切りの場合、現場の状況で稀に逆勾配に取り付けられる、施工ミスをする場合がありますので、調査すべきでしょう。
 いずれにしても、そのような大量の雨水が浸入するということは、基礎の亀裂や床下換気口が要因であることは考えられません。基礎の上部、つまり、外壁部分の欠損が一番の要因であると思われます。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。


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マンションで気になること」への私の意見


<茨城県牛久市・IKさん(公務員・43歳・男)>


 ハウテックさんが「無騒音で自分は騒いでも伝わらなくて、高気密、換気が良くて、駅から近くて、グレードも高くて、値段の安いマンションは存在しません」とお答えですが、現実はもっと厳しいと思います。
 例えば、吸排気共に強制循環とし、かつフィルター・ダンパー・熱交換器・除加湿器を装備すれば、熱効率・換気・騒音・粒子状物質の全ての問題をクリアした上で、ドアが重くならないようにすることはできるでしょう。問題は価格です。
 デベも商売ですから、建築したマンションを適正な価格で売って儲けれなければなりません。それでは、マンションの「適正な価格」とはどのようにして定まるのでしょうか? 現在もっとも信頼できる算出法である収益還元法に従えば、マンションの価格のベースを周辺の賃貸物件の家賃から割り出すことができます。すなわち、マンションの「適正な価格(坪単価)」は、ほぼ立地のみで決定されると言っても過言ではありません。ただ、それでは儲けが少なすぎるので、デベはさまざまな機能を付加して新築物件としての差別化を図り、そのプレミアム分を価格に反映させます。しかし、どんなに高機能のマンションを建てても、立地から収益還元法で割り出される価格の倍の値段を付けたら、絶対に売れ残ります。
 従って、(躯体そのもののデキも含め)マンションの機能を高めるためにデベが投入できる資金は、立地で決まる価格のせいぜい1割程度であろうと推測できます。このため、都心の超一等地に建設される億ションでもなければ、Parkさんのお望みになるような物件はまず存在しません。
 また、仮にそのような高級新築物件をたまたま郊外で見つけたとしても、少なくとも半額を頭金で支払える見込みがなければ、決して手を出してはいけません。なぜなら、そのような立地とはかけ離れた売り出し価格のマンションは、10年と言わず1年で資産価値(中古物件としての価格)が半減してしまう可能性が高いからです。資産価値が半減してもローン残高より高ければ、それほど問題はありませんが、債務超過に陥った後に病気でもしたら悲惨です。



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地下室の湿気対策について


<札幌市手稲区・OKさん(自営業・57歳・男)>


 地下室が湿気っぽいのは、温度が低いからです。
 地下室も地上も空気はつながっていて、その中に含まれている水蒸気(気体の水)の量はそれほど変わりません。中学の理科に時間にドルトンの分圧の法則というのを習ったはずです。炊事、入浴、洗濯物干しなど、蒸気の発生があっても、この分圧の法則に従って拡散し、室内の蒸気の量はどこでもほとんど同じになります。ですから地下室に水蒸気が多いので湿気っぽいのではないのです。なぜ地下室が湿気っぽいのかというと、温度が低いからです(床下が湿気っぽいのも同じ理由)。決して水が湧いてくるからではありません。
 説明しますと、テーブルの上に、冷たいビール瓶と温かいお茶の入った茶碗を置きます。冷たい(温度の低い)ビール瓶に水滴が付くのは、瓶の周りの空気が冷やされ相対湿度が上昇し、遂には100%を超えて気体では存在できなくなり、液体の水になってビンに付いたものです。暖かいお茶碗の周りは暖められ相対湿度が低くなり、逆に乾燥した感じがするはずです。どちらの場合も、空気中に含まれている水蒸気の量は同じですが、温度が低いビール瓶の周りの相対湿度(人間が感じる湿気)が高くなり湿気っぽくなるのです。
 そこで、地下室の湿気対策ですが、とにかく地下室の温度を上げることです。換気扇で外気を取り入れ室内や屋外と同じ温度にすることが重要です(温度を上げるのが目的なので、雨の日も換気扇を回します。空気中の水蒸気の量は同じですから、雨の湿気が屋外から入ると考えるのは、全くの感覚論で誤りです)。また、現実的ではありませんが、暖房するのが早道です(ただし、灯油開放式のストーブはそれ自体から水蒸気が発生しますので、関心しません)。
 地下室工事では水の処理は当然ですが、基礎コンクリートは必ず外断熱とし、地盤の温度(16〜13℃くらいでしょうか?)に近づかない断熱が基本です。しかし、コンクリートの内側に断熱すると、コンクリート面は地盤温度となり、断熱材を透過した水蒸気がコンクリート壁面で結露して、長期には断熱性能が低くなり、カビと湿気に悩まされることになります。内断熱のコンクリート住宅の北側の部屋が、冬になるとカビや湿気で使えなくなるのは全く同じ理由です。
 いつも問題になる、カビ、湿気、結露、腐れの発生は、全て「湿り空気」(水蒸気を含んだ生活環境の中にある空気の総称)の中で生じることですから、その性質などは全て物理的に工学的に理論が確立していて、気密、断熱もやるべきこと、やってはいけないことは明確です。
 ただし、建築屋さんはそれを知らないばかりか、経験で全てを判断しようとすることしかせず、いつまでたっても間違いが無くならない理由なのでしょうか? さらに、建て主の生活の仕方が悪い(洗濯物、植物の鉢その他…)等というのは、暮らしそのものを否定する暴言です。



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「タタミにかびが生えてしまいました」へのアドバイス


<北海道札幌市東区・勇和建設株式会社 齋藤 保雄(自営業・44歳・男)>


「NPO住宅110番より」  
 掲載中の「タタミにかびが生えてしまいました」について、すでに掲載済みのアドバイスとは違った見地での、以下のようなアドバイスが寄せられましたので、掲載いたします。それぞれのアドバイスを参考にしていただけると幸いです。


私なりの回答を添えさせて頂きます。

・その1、基礎天端と木部の気密性が確保されているならば、夏型結露では?
 「基礎断熱・土間床工法(床下空間無し)」の住宅で、2月の竣工の場合、基礎・土間コンクリートが冬期間の低温のままで基礎断熱で保温されている状態で、引き渡し・入居が行われたはずです。床下のコンクリートは膨大な熱容量があるので、熱源装置が無い状態では、短期間ではコンクリート温度は上昇しません。特に厚さ60ミリのスタイロ畳は、良好な床断熱材です。押入内の直置き布団は、厚さ60ミリの畳よりさらに良好な断熱効果を持っています。このため、押入れや畳裏部分のコンクリートは、室内の温度が床下コンクリートに伝わりにくく、コンクリート温度上昇がさらに遅くなったものと思われます。冬季施工中の低温のままに基礎外断熱で保温されたコンクリートの状態で、高温多湿な梅雨時等を迎えたために、夏型結露が起きたものと思われます。ひと夏過ぎれば、コンクリート温度が上昇してきて、来年は夏型結露が起きないはずです。対処療法として、畳・下地板・押入れ床板などを交換しておけば、問題は解決するものと思われます。念のため、畳下地板を起こしたときに、土間コンクリート表面温度を測定してみてはいかがでしょうか。16度程度まで上昇していれば、今後は結露は起きないと思われます。一方、畳や押入れ以外の床板裏側は、室内から常に加温されているので、床板裏側での結露は起きにくいはずですから、心配は少ないはずです。洗面化粧台下などの仕上げに影響が少ない部分の床板を剥がして、確認してみてはいかがでしょうか。

・その2、基礎天端と木部の気密が悪ければ、冬型結露では?
 基礎外断熱工法の施工注意点の一つに、基礎天端と木部(土台下端)の気密性確保があります。この部分に隙間があると、低温の外気が床板裏側に侵入し、冬型結露を起こします。第3種排気型換気を採用している場合は、常時その隙間から冷気を吸い込んでいるものと思われます。前述のとおり、畳や布団入り押入れなどの床板裏側は加温されにくいので、特に結露が起きやすい状況となります。前述の対処療法で畳床下地板を起こした状態のときに、減圧法による気密測定を行ってみてはいかがでしょうか。土台下端に隙間があれば、ただちに判明するはずです。この場合、シーリングや発泡ウレタンなどで処理することで解決できるはずです。



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