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木枠とサッシの間から雨漏り<大阪府寝屋川市・SKさん(自営業・35歳・男)>
平成8年6月に1階RC造、2〜3階木造の新築の建売住宅を購入して住んでいますが、ちょっとした欠陥は仕方がないと思っています。しかし、ここ半年ぐらいで目に余るものがあります。1階の玄関内にある普通の窓からの雨漏りです。それまでは雨が降って窓が濡れていても、陽当たりが悪くて湿気るから、露になっているのかなと思っていたのですが、木枠とサッシの間から雨漏りがしているのを確認しました。窓のまわりはRC造の壁です。これは欠陥ではないのでしょうか? まわりは水浸しでクロスも剥がれてきています。よく見ると、RC造と木造の境目の所も水がしみてきているように思えます。
今7年目ですが、どう対処すればいいでしょうか? 売主に責任はないのでしょうか? どこまでしてもらえるのか、教えてください。 アドバイスいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
初めに、雨漏りの瑕疵担保に関する法律等をきちんと押さえたいと思います。
■一般的に契約のときに使用されるものが民間(旧四会)連合協定工事請負契約約款です。 第24条 瑕疵の担保に「本条による瑕疵担保期間は引渡しの日から、木造の建物については1年間、コンクリート造については2年間、その瑕疵が故意又は重大な過失によるものであれば木造5年間、コンクリート造10年間」とあります。 ■民法にも第634条請負人の担保責任の一、瑕疵の修補及び損害賠償に「瑕疵があるとき、注文者は請負人に対して相当の期間を定め、その瑕疵の修補を請求することができる」とあります。 ■本来、まさにこの問題のためにできた法律が住宅の品質確保の促進等に関する法律です。 目的:「住宅の性能に関する表示基準及びこれに基づく評価の制度を設け、住宅に係わる紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約又は売買契約における瑕疵担保責任について特別の定めることにより、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り〜」 住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例の第87条に「住宅を新築する建設工事の請負契約においては、請負人は、注文者に引き渡したときから10年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵について担保の責任を負う。新築住宅の売買の瑕疵担保責任も同じ。」とありますが、施行が平成11年からですので、平成8年では該当しません。 上記のことから、民間連合協定・民法等から言って、また、平成11年施行の住宅品質保証制度に準じて考えると、10年間は「コンクリート造の雨漏り」瑕疵があると考えても良いと思います。 まずは、雨漏りの状況を売主に申し出て、調査を依頼してください。原因にもよりますが、責任感のある会社であれば対応してもらえると思います。 |
地盤沈下の工事の正しい方法は?<千葉県松戸市・TMさん(公務員・39歳・男)>
南ひな段の木造2階建ての建売住宅(建坪24坪)を購入して7年目ですが、3年前に床下工事をしてもらった業者が、先日アフターメンテナンスに来て床下と屋根裏を見たところ、地盤沈下のため玄関前が傾き、家全体の基礎や骨組みにひび割れやねじれが出ているので、早急に改良工事をすべきと言われました。工事内容の説明によると、川砂を水で流し込み、水抜き剤で処理した後でタフロンで基礎補修を行い、家屋の補強のために基礎メタルとL型メタルを10数ヵ所に施すというもので、110万円ほどかかると言われました。
気になるのは、このような方法の工事がボーリング調査もなしに行われて、本当に有効なのかということです。適切な方法と費用の概算を教えていただきたいのですが。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
本文だけで、地盤が沈下する不同沈下なのか、敷地の一部の転圧不足によるものなのかを判断することはできません。不同沈下による場合は、地盤そのものを補強する必要があります。本件の場合は玄関部分が傾いているということなので、転圧不足の可能性もあります。この場合は、その部分だけの補修で済む場合もあります。
家全体の基礎に亀裂が見られるということですが、ヘアークラックといってコンクリートの収縮によって発生するものでれば、あまり気にする必要はありません。小屋裏などの木材の亀裂についても、縦割り亀裂は木材の収縮によって、細かい収縮溝が、さらなる収縮で大きくなっている場合もあり、これも通常、よく起きる現象です。しかし、不同沈下が原因の場合は、次第に家全体が傾いてゆく場合がありますので、不同沈下かどうの調査が必要と思われます。 最近、よく寄せられる苦情の中で、訪問販売方法で、土台と柱を必要以上に強固な金物で補強施工を行う業者がおります。構造体を補強することに問題はありませんが、本件の場合も含め、地盤自体の特性や地層平行度、地耐力などの基本的な地盤調査が不可欠となります。地面表面波探査方式などという、優れた調査方法もありますので、しっかりした、地盤の調査によって対応を行うべきでしょう。 費用もその仕様や施工方法によっては、10万円程度から数百万円に上る場合もあります。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
地盤改良(柱状改良)時の基礎の構造について<茨城県つくば市・YHさん(会社員・35歳・男)>
基礎の構造について教えていただきたく、投稿いたしました。現在、ハウスメーカー(木造在来工法)と交渉中ですが、建築予定地はかなりの軟弱地盤で、地盤改良を行う予定となっております。地盤改良が確定する前まではベタ基礎で行う予定でしたが、その後、メーカー側から「ベタ基礎にすると荷重がかかるので、柱状改良の場合には杭基礎のほうが良いですよ」と提案されています。メーカーの説明にも一応納得できるのですが、金額的には差がないので、ベタ基礎で不都合がなければベタ基礎にしたいと思っています。実際のところ地盤改良を行った場合、ベタ基礎は良くないのでしょうか?
アドバイスいたします 州建設(株) 後藤英樹 電話:011(811)9292 ホームページ:http://www.tateyo.com/kuni/
基礎については、最善の方法として、支持地盤まで杭を到達させる杭基礎工法、次いで、支持地盤が相当深い場合には杭の摩擦で建物を保たせる摩擦杭工法、その次に、柱状改良をしてベタ基礎にする工法という順となります。それぞれで価格が異なりますが、地盤を調査することで適切な工法が選択されると思います。
ご相談の件ですが、軟弱地盤ということですので、長期的に見た場合、支持地盤まで杭を到達させる工法をとられるほうが安心かとは思いますが、現在、ハウスメーカーで交渉中とのことですので、施工前にボーリングか、もしくはスウェーデン式サウンディング試験を行い、その土地の地層の状態を確認した上で、最適な工法を取られるべきだと思います。 基礎は建物にとって一番重要な部分なので、慎重な工法選定が必要です。 |
外壁の通気がとれていなかった!<神奈川県横浜市・Iさん(会社員・36歳・男)>
昨年12月に輸入住宅を新築し引越しいたしました。外壁通気工法で設計されていたのですが、どうも通気が取れていないようです。施工方法は2×4外張り断熱で、断熱材の外に横胴縁を施工し、縦サイディングを取り付けております。横胴縁なので一定間隔で切れ込みを入れ、通気を取る必要があるようですが、それが全くなされていないそうです。外壁の水切りの部分の下側から眺めたところ、全く空気が入るスペースがないことを偶然に発見し、それを工務店に連絡して調査していただいた結果、判明いたしました。
施工中から、私の家を担当していた監督が、どうもあまり評判が良くなく、施工中もあまり現場を監督に来ていなかったらしく、他の現場でもいろいろトラブルを起こした方だったようです(今現在はその工務店は退職されているそうです) 。 工務店としては全額費用を負担し、最後まできちんと対応すると言っておりますが、通気工法の施工自体は非常に初歩的なミスであり、きちんと専門家が見ればすぐにわかることであったと思います。これから足場を組み、外壁をいったん取り外し、胴縁を正しく施工し、そこからサイディングを取り付け、コーキングして塗装し直すという、気の遠くなる作業が待っております。また、このような一度取り付けたものを取り外し、再度取り付けるなど、家自体に問題は出ないものでしょうか? 全額負担し、最後まできちんと対応すると言われても、本来、完成時にはそのようになっていなければいけないものを、まるで全額費用を負担し、きちんと施工するから問題ありません、という工務店の態度そのものが許せなく思っております。 また、この点以外にもユニットバスの配管が排水管に取り付けられてなく、床下に水がたまり、床下がカビだらけになってもいます(この点については現在、工務店により対応中で和解済みです) 。 せっかく新築の家が完成するのを楽しみにしていたのに、このような結果になり、非常に悔しく思っております。施主自らが検査官となって、すべてを一つ一つ問題ないかチェックしなければならないものでしょうか? 数々の施工上の不備が重なり、私どもはほとほと疲れている状態で、床下の水漏れの件がやっと片づきそうなときに、新たに通気工法の問題が発覚しました。 文章が長くなりましたが、 1)一度取り付けたサイディングを取り外し、再度取り付けるなど、家自体に問題はでないものでしょうか(釘がスタッドまで貫通しているはず)? 2)通気工法のミスで補修する以外に、慰謝料を取ることは可能でしょうか? についてアドバイスいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。 アドバイスいたします ヘリテージホーム 電話:0178(73)5155 ホームページ:http://www.heritagehome.co.jp/
横胴縁の場合、おっしゃるとおり、切れ込みを入れて通気を確保する必要があります。早く気づいて良かったですね。通気が確保できないと結露が発生し、躯体やサイディングに悪影響を及ぼします。
結論から言えば、サイディングを張り替え、通気をきちんと確保する方法が一番よろしいでしょう。一度取り付けた釘を外しても、躯体にはほとんど影響がありませんのでご安心ください。 ひと冬だけなので大丈夫だと思いますが、サイディングを剥がした際に結露が発生していないことを確認しましょう。 慰謝料については、品確法の瑕疵の問題と関連してきますので、なんとも言えません。 |
階段の手摺について<群馬県高崎市・Kさん(29歳・女)>
住宅雑誌を見ていると、手すりが付いていない階段をよく見ます。このような家を建てたいと工務店に申しましたところ、「違反建築だからできない」と言われました。何か方法はありますか? それとも住宅雑誌では堂々と違反建築を掲載しているのでしょうか。教えてください。
アドバイスいたします 一級建築士事務所 m+o エム・アンド・オー 湊谷みち代 電話:011(623)5182 ホームページ:http://members.jcom.home.ne.jp/m--o/
階段の手すりは建築基準法施行令第25条によると、「階段には、手すりを設けなくてはならない」となっています。もちろん住宅に対しても、守らなくてはならない事項です。子どもも大人も高齢者も、そして障害者の方もみんな平等に隔たりなく、安全にスムーズに行来ができるようにと、これからの福祉社会に対しても配慮した内容といえます。「それではなぜ???」という質問になると思いますが…。
あなたが手すりが付いていなくても良い家、そのほうが良いと素直に感じられたことが、実は大切なところなのです。建築とは住宅とはなんでしょうか? 食事をして、本を読み、お風呂に入って、眠りにつき、または家族との安らぎの場であったりと、毎日の生活を営める場所。それだけを満たすのであれば、機能が備わって毎日の生活を守ってくれる、単なる箱のような家で十分ですよね。でも、それだけでいいと思いますか。子どもたちは小さいながらも、毎日いろんな発見をくり返しながら成長していきます。陽が上ってから沈むまで刻々と変わり続ける光や影を感じ、四季折々の風景を楽しんだり、また住まう人も毎日起こり行く出来事を静かに思い起こしたり癒したり。そして「住むこと」を自分の手や皮膚や感覚によって楽しむことができるのなら、とても素敵なことですよね。そのような空間をつくることが建築だ、と私は思っています。その空間を重視するあまりに、手すりの存在がうっとうしくなる…。では、気にならないようにデザインをすれば良いわけで、でも、もしかしたら今の生活において、果たして絶対必要な部分なのでしょうか? 段差も、無いほうが良いと世間では言っていますが、もしそれが腰掛ける高さで使いやすく、しかも空間にめりはりをつける視覚、気持ちが安らぐ感覚効果が生まれるなら、ある部分、納得できるのではないのかと思うのです。住宅は、自分たち家族がお互いに見守り行く、関係同志が住むところです。そして、快適に楽しく毎日を過ごすことを大事に感じることです。 けれども、必要のない法律などつくるわけはないですから、もちろん守るべきです。違反を推奨しているわけでは全くありません。ただ、そんな疑問から自分たちが住み続ける住宅に対して、深く感じらることが大切だということを伝えたかっただけです。その中で互いに理解し得る建築をつくれたらと思います。 |
結露で断熱材を取り去ったけど大丈夫?<長野県・Mさん(会社員・34歳・男)>
お世話になります。
昨年、2階建ての新居を建てまして、間もなく1年になろうとしています。2階部分にウォークインクローゼットがあるのですが、屋根が急勾配のため、その部分の天井は屋根と同じ勾配でいわゆる天井裏がありません。したがって、屋根と天井の間(20センチくらい)に断熱材が入る形になっていました。冬場になると、その部分に結露が発生し、天井から水滴が落ちるほどになったので、施工業者に連絡したところ、換気が悪いために起こったということで、その部分の断熱材を取り去りました。その後、結露することはなくなり、改善されたように見えます。 ただ、断熱材が入っていない状態で夏を迎えるのが心配です。このままでも問題ないのでしょうか? ほかに何か方法があるのでしょうか? よろしくお願いします。 アドバイスいたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
このような、無知な施工方法がいまだに行われていることに驚きを感じます。天井の断熱材は、室内の熱を遮断して、屋根材に熱を当てないことが最大の目的です。また、夏場は、断熱材と屋根材との間に空気層をつくって、屋根材の受けた日射熱を断熱材と屋根材の下部に設けた空間から自然放出させ、冬場は外部の冷気も、この断熱材で冷気遮断することを目的として設置します。
本件は、屋根の下の断熱材が、おそらく施工不備によってその役目を果たしておらず、湿気の伴った室内熱が、不備であっても、室内の温度をある程度遮断するため、屋根下地の温度をさらに低下させ、冷やされて凝縮して結露現象を引き起こしたものと考えられます。 当然、断熱材を取り払いますと、屋根下地が温められて、その部分の温度が上がるため、露天温度にならずに結露現象を発生させないことが考えられます。危惧されているように、このままでは夏場において、その部分の温度が60度以上に上昇するものと思われます。 対策としては、現在、充填していた200ミリの断熱部分を自然通気層にして、棟や妻側から自然排気させ、その下側に、ウレタンボード断熱材を取り付ける方法があります。小屋裏天井が低くなりますが、温熱環境を考慮した場合、ぜひとも実施すべきでしょう。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
NPO住宅110番はリニューアルいたしました。 |