ムクのフローリングと安物カーペット
<某建築設計事務所勤務の Wさん>
一般的なフローリングは、施工の効率の良い、一定の大きさがパネル状になったものを使うのが一般的です。ところが最近、輸入住宅などのブームで、結構いい素材のムクフローリングを居間などに使っているのを見ます。これは1枚1枚、ていねいに揃えていきますので、職人さんも手間のかかる仕事です。で、そうしてせっかく敷きこんだフローリングですが、多くの場合その上にカーペットが敷かれています。それも段通とかペルシャ絨毯とかならわかるのですが、広告チラシの安売りカーペットが敷かれているのを見ると、なんのために?という思いを抱きます。せっかく高い床だから、傷つかないように、という気持ちは分かりますが…。なんだか、こどものおもちゃの高い奴を、もったいないから子供が使えないようにしている、みたいな本末転倒な感じしませんか?
平屋のプランを希望しているのに、
2階建てを勧める営業マン
<北広島市・Tさん>
もう別の会社に頼んで満足できる家を建ててしまったので、クレームということではありませんが、当初に考えていたある輸入住宅メーカーとのいきさつを…。わたしたちは夫婦ともそのメーカーの自然な雰囲気が気に入っていたのです。 そしてプランとしては使いやすくてラクな平屋を希望して、そのことを伝えていました。建ぺい率に無理がないように、敷地もなるべくゆったり確保したいと思って、3区画分も手に入れていたのです。ところが、こちらから連絡して来てもらった、その会社の営業マンが最初に持ってきたプランは、なんと2階建てのもの。「これはなにかの間違いでしょう。私たちは平屋の家を建てたいんです」ともう一度念を押して、再提出をお願いしました。 1週間後、持ってきたのは再び2階建て。必死に説明する、かれの(会社の)考えは「基本プランは2階建てしかなく、平屋にすると高くなりますよ」というもの。要するに私たちには、企画商品でないと会社が儲からないから、それにしろということに、聞こえたのでした。ま、それっきりで願い下げにしましたが…。絶対おかしい!
せっかく換気の機械を入れたけれど、
洗濯物が乾かない…
<千歳市・Sさん>
主人がいろいろ調べて、この工法がいいと選んで建てたわが家。高気密・高断熱はもちろん、換気も機械でちゃんと24時間やっていますから安心…のはずでした。が、それにしては衣類を室内で干すのがほとんどの冬の間、全然乾かないのです。おかしいなあと思っていましたが、ま、難しい工法のことはわかんないし、家を建てたのは初めてですから、こんなものなのかな、と思っていました。ところが、わが家に来た建築関係の知り合いに話すと「そんなことはありえない」とのこと。で、思い切ってメーカーに電話したのです。そして調べてもらったら、なんでも気密測定したときに機械のスイッチを切って測定して(それの方がいい結果が出るのだそうです)、その後、スイッチ入れるの忘れて(!)いたんだそうです。別に欠陥ではなかったのですが、もしそのままにしていたら…と考えたら笑い話ではありません。機械はやっぱり機械だな、と思いました。
わが家の悲惨な住み替え体験記
<石狩市・Nさん>
家がそろそろ老朽化してきて、リフォームしようかどうしようかと迷っていたわが家。ペットで8匹の「家犬」を飼っているので、ペットOKの仮住まい先を探すのは大変だということから、結局今の家を売って、中古の家を購入する「住み替え」にすることにしました。不動産屋さんに頼んでいたら、ほどなく売買双方とも目処が立ちました。わが家を買いたいひとは、すぐにリフォーム業者さんを入れる段取りで、現在の賃貸契約を終了して引っ越してくるので、絶対に4月一杯で明け渡して欲しいと言うこと。そこで住み替え先と早く契約したいと思い、多少の交渉もありましたが成立。
が、いざ契約の段になって「実は…」と売り主さんから切り出されたのが、引き渡し期限の延期。突然の申し入れでしたが、売り主側の不動産屋さんも初耳ということ。しかたなく承諾したのは、「責任を持って約1ヶ月ほどの一定期間の仮住まい先を斡旋しますから…」という売買双方の不動産屋さんたちの言葉があったからでした。
時間もない中、物件の選定をすべて任せた先方の不動産屋さんが、ペットOKの家を探してきて、大急ぎで引っ越しの作業に入りました。事前には確認する暇も取れませんでした。引っ越しの当日(売り先への引き渡し日)、父と兄がその家に行ってびっくり。となりの運送会社から、屈強そうなその筋の業界関係とおぼしき人達が、飛び出してきてとりかこみ、「この家には入れさせない」と凄んできたのです。
仰天してとなりの運送会社のひとから聞いた話では、この建物は倒産会社のトラブル中のものと判明したのです。折悪しく当日は日曜日。くだんの不動産屋さんも休み。絶望の極みでしたが、その運送会社さんも、こちらも被害者ということを理解してくれ入居自体はOKとなりました。実は、この前の日に運送会社の社長とトラブル中の人との間(この建物の登記上の持ち主)で、今日借りる家族が引っ越してくることは了解していたのに、用心棒のひとたちには連絡していなかった、ごめん、ということだったのです。しかし、その業界関係の人達の言葉では「いずれ、借金取りがこの家に押し掛けてくるよ」ということなので、とても平穏な暮らしは出来そうにありません。
さらに、何年も人が住んでいた形跡もなく、風呂は汚く狭くて入る勇気がわかない、トイレはくみ取り式で、かなり臭い、など超劣悪な環境です。翌日、両方の不動産屋さんに集まってもらい、このわが家の悲惨な状況を話しました。責任をとって欲しいとかではなかったのですが、別の借り家を手配してもらいました。
その後、ようやく安心できる借家にはいることが出来、ほどなく住み替えの家にも引っ越しました。もう済んだことですので誰も恨んではいませんが、みなさん、住み替えにはこんな悩み事もあるのです。
後日談ですが、わが家が引っ越した後の家は、もう見違えるほどにきれいにリフォームされていて、一時は心労で寝込んでしまった母と一緒に「これなら、最初から覚悟してリフォームにしたほうが良かった」と、ため息をついたのでした。
「ある訪問販売の“屋根の改造”被害例〜
『悪徳商法最前線』リプラン17号より要旨抜粋」
悪徳商法のセールスマンは悪知恵にたけていて演技がうまいものです。それがだましのテクニックだったと、消費者が気づくのはずっと後になってからです。
ひとり暮らしの山野タキさん<75・仮名>が新素材による屋根の張り替え工事を契約した翌日に「やめたい」と相手に伝え担当セールスマンの承諾を得ていたにもかかわらず、工事を強行されて多額の工事代金を請求されるようになったいきさつを再現してみよう。 タキさんがY社のセールスマン・海野の訪問を受けたのは日課の写経の筆を休めていた時。 海野は玄関で「雪が近いですね。実は…」と言って、新しい屋根材の話を始めた。アルミ板に特殊加工をした新製品で、これだと雪が屋根にくっつかないでサラサラ落ちる、と言う。旦那さんが亡くなって以来屋根の雪の始末に苦労しているタキさんが興味を示すとカタログを広げ始めたので奥へ上がってもらうことにした。
おや、写経をなさってらっしゃるんですね、いつから、どんなわけでなどと海野はソファに腰を下ろすと話題を転じ始めた。書き上げられたばかりの般若心経を手に取って、個性的な字ですね、一字一字に心が感じられるなどと褒めあげ始めた。亡くなった旦那さんの供養に始めたと知ると「15年間もですか、道理で」と感嘆して見せ、「雪の季節を前に奥さん思いのご主人がお導きいただいたに違いない。仏様にお礼を申し上げたい」と言って、海野は仏壇に線香をあげ「ぜひ御守りにしたい」といって写経した般若心経までタキさんからもらい受けた。
すっかりペースに乗せられたタキさんに、「工事費は280万という計算になるが、見本工事のワクが一軒分残っています。それに当てるので特別価格として180万円で。代金は銀行預金が満期になる3か月後に一括で支払うということで…」という条件で、タキさんは契約書にハンコを押した。
銀行に預金していたお金は、いずれ最後のお迎えが来た時、子供に負担をかけないための『葬儀代』にと用意していたもの。海野が帰ってからタキさんは、そのことが気にかかり始め、しだいに不安になっていった。今日明日ということはないにしても、絶対必要なお金。子供が困ることになるかもしれない、そんなことを考えながら眠れないままに朝を迎えていました。「考え直したい」と電話を入れると、海野はすぐにやって来た。仏壇に手を合わせたあとで「奥さんの気持ちを大事にしましょう。手続きは任せてほしい。私の立場もありますので、会社には直接連絡しないで…」とあっさりした口調で念を押すだけ。きっとイヤ味を並べ立てられるのでは、と心配していただけにタキさんは内心ホッとした。おわびの印にと、外国タバコ1カートンをあげて、後ろ姿の海野に手を合わせたともいいます。
一か月ほど過ぎて、屋根の一件を忘れかけ始めたある朝、突然大型トラックが材料を運んできて、タキさんを仰天させた。「契約は取り消したはずだ!」と大声を上げて訴えたが、下請作業員たちは取り合ってくれず、工事は強行された。
会社に電話して問い合わせるといつも、海野は外勤中という。そうしたやりとりが繰り返された挙げ句に信販会社から請求書が届き、間もなく雪の季節になってしまった。半ばはあきらめてしまっていたタキさんだったが、新素材とのふれこみの屋根からは積もった雪がなかなか落ちず(屋根の勾配が緩やか過ぎたらしい)に、いよいよ我慢も限界と消費者センターに救援を求めました。海野はすでに退職しており行方不明。信仰心の厚そうなセールスマンというイメージが幻想だったことを知って、タキさんはハラワタが煮えくり返る思いがしている。
訪問販売でセールスマンは、契約書を手渡すことが義務づけられている。契約書には赤ワクで『8日間以内は書面による通知で契約を解除することができる』という文章が囲ってあります。先述の「クーリング・オフ」を知らせるためのもので、その手続きに必要な手紙の書き方も載っている。しかし『書面で』というのが必要条件で、口頭や電話による解約はあとでトラブルになりやすい。 悪徳商法のセールスマンは海野のように、「解約済」と消費者に思いこませて、期限が過ぎるのを待ったりするのが手なので、十分注意する必要があります。
このケースは、弁護士がなかに入りタキさんは20万円を負担するだけで、屋根もそのままという条件で解決を見ました。大きな買い物の時には、独り決めをしないこと。もし解約を申し込む時には書面で確実に通知すること。そして、おかしいと思った時には迷わずに相談機関の利用をお薦めします。
原野商法の被害者、今度は2重サギにひっかかる。
『悪徳商法最前線』リプラン18号より要旨抜粋」
中山さん(仮名・65才)は道南のO町に土地(166坪)を持っています。ある日、『北海〇〇開発』という会社の営業マンから「周辺の土地がまとまれば坪4万円で買いたいという人がある。請け負っているので、協力して」という話を持ち込まれました。中山さんはひと通り話を聞いたうえで「不動産売買委任契約書」を交わしました。
売買契約金額は4万円×166坪で640万円。売却時に契約金額の3%を成功報酬として業者に支払う、というもので委任期間は一年間。この期間中に売買が成立しない時は契約は自然解消する。もし期間中に他から売買の申し込みがあった場合は必ず北海〇〇開発を仲介させること。また中山さんの都合で途中解約する場合には「委任金額の10%を解約金として支払う」、という条件もつけられていました。
営業マンが帰ってから、中山さんは「やれやれ、これまで物入りがあるたびに家族から引き合いに出されていた”高い授業料”の代償がやっと取り戻せそうだ。売却できたら女房の口癖になっている台所や風呂場のリフォームもできるぞ」と胸算用しながら、久しぶりに口笛でも吹きたくなる気分でした。
というのも、この土地には中山さんの苦い思い出がしみこんでいたからです。
15年前、突然訪ねてきた、不動産業者のセールスマンのアンケートに応じたことから抽選で温泉に無料招待され「ついてるぞ」と思って参加しました。
お湯にくつろいだ後の事業説明会で「青函トンネルの開通は間近。開通すれば開発の進む沿線には、こんなに有望な宅地候補が…」と、パンフレットやスライドによる巧みな説明と「2〜3年後には価格が倍以上になる。郵便貯金や国債よりもずっと有利な資産運用だ。もし現金が必要なときは、責任を持って買い戻す」という宣伝文句を真に受けて購入したのがこの土地です。当時坪1万円でした。
この土地が、どうころんでもタダの原野とわかったのは、購入から数年して現在の住宅を手に入れようとした時です。買い戻しに責任を持つはずの業者はすでに倒産して影も形もなく、転売するにも二束三文の価値しかない、と教えられた時の驚きと怒りは忘れられないそうです。以来、子供の結婚や住宅の改造など、まとまった資金がほしくなる度に『有利な投資』という殺し文句に惑わされて、現物の確認もせずに高額な買い物をしてしまった、当時のことが悔やまれてならなかったのです。その土地が坪4万円で売れる、仲介させてほしい。という話がもちこまれたのですから、ついに、と中山さんがウキウキした気分になったのもわかります。
ところが、この契約から1か月程したある日、今度は『東洋〇〇開発』という会社から「O町の土地を売ってほしい」という電話があり、数日後営業マンが訪ねてきました。
「坪約8万円、総額1330万円で」という。営業マンの相次ぐ来訪に中山さんは、てっきり大がかりなリゾート開発か何かの計画が進んでいるに違いないと思いました。
すでに他業者と委託売買契約をしていることを告げると「坪4万円?、それはひどい」と驚いてみせ「他業者の仲介は困ります。解約のうえで改めて当社と契約を」と勧めた。 中山さんはこの勧めを受け入れ、1か月後に正式の売買契約をするという内容の「不動産売買協議権認書」を取り交わしました。権認書によると、正式契約の当日、手付け金として総額の1割、133万円を支払い、残りはそれから10日後に完済することになっています。坪当たり単価は委託売買業者の2倍、前の業者に解約金66万円を支払っても、ずっと得なことは明らかです。
いやみのひとつも言われるだろうと覚悟して、前の契約先の北海〇〇開発に連絡すると「地主さんのご都合なら仕方ありません」としごくあっさり解約に応じてくれて、中山さんもほっとしました。そして指定された銀行口座に解約金66万円を振り込みました。
ところが、東洋〇〇開発からは約束の日が過ぎても正式契約にやってきません。しびれを切らして催促すると「予期せぬ税務監査が入り預金等を一時拘束されているのでしばらくお待ち下さい」という内容の『地主様へのお願い』と題した文書が届き、その後は電話連絡もとれなくなってしまいました……。
北海〇〇開発は札幌、東洋〇〇開発は大阪を本拠にしていましたが、 調査してみると両者は法人登記もされておらず、どうやら結託して解約金をだまし取ったのではないかと見られています。「儲け話にはウラがある」という教訓を、高い授業料を払って、一度知らされたはずの中山さんは、再び高い授業料を納めることになったようです。
だましの商法によって、二束三文の原野を買わされた人達を狙って、「墓地の計画が進んでいる」「ゴルフ場ができる」と言い、「売りやすくするために今のうちに測量を」と勧めて、多額の測量費を請求する業者もいます。
うまい話、儲かる話は営業マンの説明をうのみにしないで、市町村役場に問い合わせるなど、十分に慎重な対応が必要です。
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