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木材の割れに関するご相談<愛知県尾張旭市・Sさん(会社員・35歳・男)>
現在、愛知県で新築住宅を建築中です。木造軸組工法で建てており、明日が上棟式であるため、たくさんの木材が搬入された状態にあります。
柱は東濃檜を使用しております。ところが、その柱の切り口を確認したところ、四方八方に割れが入っていました。当初、私は背割りしてある柱を使用すると思っていましたが、特殊乾燥された「背割りなし」の柱が使用されていました。現場監督に確認したところ、背割りしてある柱は中央のあたりまで切り込みが入っているが、特殊乾燥した柱はそのようなことがないので、多少の割れ(ひび)はあるが、強度的には問題ないという回答でした。しかしながら、四方八方への割れが、多少の割れに入るのか、素人の私には判断がつきません。 家を建てる前からこんなに割れが入っている柱で、本当に強度があるのか非常に不安です。また、本当のところ「背割りのある柱」と「背割りのない柱」とでどちらがすぐれているのか、値段的に安いものを使用されてしまったのか等、日々疑問がわいてきます。本当のところはどうなんでしょう。よろしくご指導願います。 お答えいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
東濃檜のようなブランド品を使った家なので、真壁造りの本格的な和風の家と見受けられます。このことを前提にお答えします。
ご質問は、1)木材の乾燥によるひび割れの件、2)その対処方法としての“背割れ”に関する件、の2つですね。このことを考えるには、いくつか確認することがあります。 ○柱材が芯持材かどうか? 従来は、柱材において芯持(要するに、柱の断面を見て年輪が真中にある)が使われていました。強度がある反面、乾燥が進む上で必ず割れが生ずるため、背割れ(乾燥する上で、仕上げ部分に割れを生じさせないため、表に出ない面にあらかじめ柱の芯まで切り込みを入れ、割れを見えないところに集中させる技術)ということを行っていました。 しかしながら、背割れに“くさび”を打ち直したり、その上での仕上げが必要だったりで、現在は特殊な数奇屋造りなど以外の一般住宅では、取り入れることが難しい技術と思われます。 このことに伴い、現在では芯持材を使用しないのが一般的です。 ○木材の乾燥方法は? 従来は、3ヵ月ほど、日陰で通風の良い所に保管する自然乾燥でしたが、現在では、乾燥釜に入れて1〜2週間ほどの人工乾燥が一般的になっています。この場合でも芯持材は必ず割れが生じるので使用しません。 ○切り口のひび割れによる強度は? 乾燥収縮による割れは、水分を出し入れする“木口”にどうしても生じますが、中までは進行しませんので、強度の問題はないと思います。 ご質問を読む限り“特殊乾燥”とあるので、“人工乾燥”で芯持材は使用していないと思われます。今まで述べたことから、このことは一般的なことであり、この場合、背割れは必要ないことになります。 <結論> 木材は乾燥収縮によってひび割れが生じます。その度合いは乾燥の速度に比例し、また乾燥したものを再度濡らすなどしたほうが大きくなる傾向があります。従って、乾燥方法、木材の養生など吟味するところはありますが、木口のひびであれば問題ないと思いますし、背割れがないことについても現在の一般工法と言えます。 |
風呂の排水口から悪臭<北海道紋別市・HMさん(公務員・45歳・男)>
住宅新築3年目です。2階建て、1階RC2階木造です。風呂が2階にあり、最近、排水口から悪臭がします。風呂に入った翌日、浴槽内(ふたをしているので)に臭いがこもっています。新築当時、設備業者が配水管が1階まで直線的なので臭いがするかもしれないと言っていました。
何か対策がないものか、設計ミスなのか、ミスだとした場合、責任を問えるのかご教授願います。 お答えいたします 山本技術士事務所 所長 山本廣資
衛生器具・排水配管には、臭気の逆流・虫・小動物の侵入を防ぐため、必ずトラップ(水封)が付いています。また、トラップがついていても、排水配管の適切な位置に通気管がついていないと、トラップの水が引っ張られて流出してしまうため、臭気止めの機能がなくなります。
「新築当時、設備業者が配水管が1階まで直線的なので臭いがするかもしれないと言って」いたのは、トラップまたは通気管をつけなかったか、適切な位置についていなかったことを懸念したためと思われます。このホームページへの回答をしていてわかったことですが、住宅設備の場合、トラップや通気管をつけない業者もいるようです(筆者の回答例では3階建てで通気管がなく、臭気・騒音トラブルになった事例と、洗濯機排水口にトラップをつけていない事例がありました)。通気管がなくても機能障害にならない(トラップの水がなくならない)こともあるので、つけていないようです。 竣工時には問題なく、最近(3年後)にトラブルとなった原因は不明です。しかし、通気管がないか、あっても不適切な場合で、排水管の汚れ具合その他の原因で微妙なバランスが崩れ、大便器等他の器具を使ったとき、わずかに残っていたトラップの水が抜け臭気が出ることは考えられます。 いずれにしても臭気の逆流は瑕疵ですから、純粋にメンテナンス上の問題でない限り、手直しを要求できる事項です。トラップや通気管の有無を確認してください。竣工後すぐに発生したトラブルではないので、メンテナンスや使い方で何とかなるものかどうかは不明ですが、抜本的に解決してもらったほうが良いでしょう。 なお、排水配管についてはhttp://www.kon-arts.net/cw/のホームページで「排水の仕組み」を参照してください。 |
エアコンを使って無垢にするか、床暖房を使って合板にするか<神奈川県横浜市・NYさん(主 婦・31歳・女)>
「集成材と無垢」(「集成材か無垢にするか悩んでますの件」)で相談した者です。このたびは相談にのっていただき、ありがとうございました。値段も高くなるのでとても悩みましたが、構造材は無垢にして、構造用合板(家のまわりに合板を貼って2×4みたいにする)も止めました。その分、筋交いを多くすることになり、耐震性を強化しました。健康な家をつくるために、なるべく無垢などを使っていきたいのですが、ハウスメーカーの担当の方は「暴れるし、傷がつきやすいので」とか言います。そんなにメンテナンスが大変なのでしようか?
また、エアコンより床暖房を使ったほうが体にいいのかと思って「床暖房を入れて無垢にしたい」と言ったら、「無垢で床暖房はできない」と言われました。エアコンを使って無垢にするのか、床暖房を使って合板にするのか悩んでいます。よろしくお願いします。 お答えいたします (有)西條インテリアデザイン 西條 正幸 電話:011(774)8599 ホームページ:http://www.saijo-d.com/
無垢の木を生かした家では、気温や湿度により木が伸び縮みします。
夏は閉まりの悪いドアが、冬には調子よく開閉したり、多少の隙間や木の曲がりは覚悟しなければいけません。 木の性格を理解して、時には騙しながら出来の悪い子どものつもりで付き合う必要があります。木のメンテナンスが大変というのは、大きな間違いがあるかもしれません。無垢のフローリングは、無垢のナラ材に植物油塗料を毎度塗るかにより、仕上がりもメンテナンスのサイクルも変わってきます。 私の家は、無垢のナラ材に植物油塗料を3回塗り、みつろうワックスでしっかり仕上げてあります。もうすぐ5年になりますが、台所以外は今まで一度もワックスをかけていません。このフローリングは低温床暖房にも対応できます。 エコロジー建材や自然素材を紹介する本もたくさん出版されています。インターネットで「床暖房用フローリング」を検索してみれば、無垢のものは簡単に探せます。 無垢の「床暖房用フローリング」はないと言ってしまう無知なハウスメーカーにも、問題がありますが、家づくりをするにはユーザーもそれなりに勉強し、自分で良品建材を探す気持ちが必要でしょう。その気になれば、情報はいくらでも手に入る時代なのですから。 |
NPO住宅110番はリニューアルいたしました。 |