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屋根が音をたてて鳴る<室蘭市・匿名さん(主 婦・38歳・女)>
屋根の騒音に悩んでいます。新築5ヵ月ですが、日の出とともに屋根がバンバンと音をたてて鳴り出します。天気の良い日は、寝ていられないくらいです。業者さんに相談したところ、2〜3年くらいは仕方のないことと言われましたが、釈然としないのです。
お答えいたします 住まいを科学する技術集団・新住協メンバー 須藤建設(株) 副社長 須藤芳巳 ホームページ:http://www.sudo-con.co.jp/
文面から音の鳴る状況が「日の出と共に」「天気の良い日は」と、はっきりしています。要するに、『太陽の日射を受け、屋根面の温度が上昇する。そのために屋根を葺いている長尺カラー鉄板が膨張し、伸びて突っ張るとき(はらむとき)に音を出す』ということです。基本的にはカラー鉄板は「鉄」でできているので、暖められると膨張します。それ自体は防ぐことができません。そのために膨張を予測して、葺くときに突っ張らないよう、少し遊びを取って施工することなど、いくつかの方法がありますが、完全なものではありません。屋根面の方位・葺き方・形状・長さによってもその頻度が変わりますし、音の伝達から屋根断熱・ロフト・吹き抜けの有無などによっても、気になり方が違ってきます。
業者さんに相談したら「2〜3年は仕方がない」と言われたようですが、木材の乾燥のこととは違いますので、年数が経っても変わらないと思います。対策ですが、鉄の膨張ということなので対応は難しく、方法も見あたりません。どうしても我慢できないのであれば、また板金で葺いても保証はないので、音のしない材料(瓦・スレート瓦・鉄板瓦・アスファルト)を選んで葺き替えることになります。 |
基礎の埋め戻しが杜撰だった<埼玉県熊谷市・HSさん(会社員・34歳・男)>
軒下の地面が、数日、雨が続いた後、水配管やガス配管まわりで数ヵ所陥没した。
先日、請負業者を呼んで見てもらったところ、上記のような回答をしました。外構の施工業者に陥没箇所を掘ってもらったところ、ジョウロで注いだ水が溜まることなしに勢いよく吸い込まれていきます。外構業者は、もともとの基礎の埋め戻しが杜撰だったのではないか、との見解。ベタ基礎なのですが、その下の構造がとても心配です。数年後、家が傾斜したり、たてつけが悪くなりそうで、怖いです。何とか補修等ができないものでしょうか? 再度、施工業者を呼んで再検証をさせるのですが、第三者機関の立ち会い等を考えたほうが良いのでしょうか? 呼ぼうにも心当たりがないもので困っています。 お答えいたします いずみ建築工房 泉 徹 電話:011(738)2006 ブログ:http://kenchikudanten.way-nifty.com/ 建築の不思議な納まり:http://kenchikudanten.way-nifty.com/photos/izumiya_phot/
土質の問題は一様に答えを出すわけにいきません。答えにならないかもしれませんが、まず、近くの土質のサンプル(ボーリングデータ)を見ること、ボーリング会社の意見を聞くこと(有料の場合がある)、設計事務所を通すとサンプルとして教えてくれますが、設計事務所に多少の費用がかかります、それを目安に自分の敷地のボーリングデータをとります。土質の調査会社は、それに基づき意見書を書いてくれます。
すでに建っている建物土質改良はデータを見なければわかりません。場所を特定すれば近くの建築技術者を紹介できます。ちなみに、札幌でボーリングは1メートル当たり1万5000円から2万円かかります。 土質の改良は多額の費用を必要とするので、その辺を十分ご理解ください。 |
屋根瓦シールコーティングについて<大阪府高石市・SSさん(会社員・33歳・男)>
屋根瓦のシールコーティングについてお聞きしたいことがあります。
わが家の屋根瓦がズレているとのことで、雨漏りなどの危険もあるため、瓦の前面シールコーティングを平成11年11月25日にお願いし、施工しました。ところが、平成14年7月8日にソーラー湯沸し器の調子が悪く、取り外していただいたのですが、このとき、ソーラーの業者さんから、屋根瓦のズレがひどく、シールが瓦の下の一部しか施されておらず、瓦の縦の部分はズレなどにより隙間が広く、シーラーも施されていないため、雨漏りの原因になると言われました。ソーラーの業者さんで瓦プロテクトというものがあり、これは瓦全体をシーラーし、固定してしまうものだそうです。屋根瓦のシールをしていただいた業者さんに電話で問い合わせすると、瓦全てにシールを施すと空気が入らず、屋根が呼吸できず、腐るため、現在の施工で問題ない、瓦のズレについても古い家であれば多少はズレるもので、雨漏りまではしないとのことです。 屋根瓦のシールコーティングについて、どちらの施工法がいいのでしょうか? 多少のズレや瓦縦部分の隙間は本当に雨漏りにつながらないのでしょうか? お教え願いますでしょうか? よろ宜しくお願い致します。 回答いたします HQ住宅研究所 FAS本部 代表 福地 脩悦
屋根は、最初から屋根瓦そのもので完全に雨漏りを防ぐようにつくられておりません。強風が伴う雨は、簡単に瓦の隙間に浸入してしまいます。その下に施された防水層で受け止められて、瓦の下を通じて軒へと排出されるようになっております。これは、雨漏りが始まりますと、瓦の下の防水層に問題を起こしているわけですから、瓦を外さなければ根本的な修理は不可能なのです。しかし、瓦プロテクトなるものがどんな素材なのかわかりませんが、おそらく雨漏りの発生した屋根を、瓦を外さずに対応できるよう開発されたものであると思います。
瓦は、地震や台風の揺れや震動に、その一つ一つが魚の鱗みたいにストレスを吸収し合うようにつくられています。コーキングだけに頼った瓦屋さんなら、雨漏りクレームに追いかけられて商売にならなくなることでしょう。どうやら、屋根に関しては、ソーラー業者さんより、屋根屋さんのほうが的を得ているような気がします。 ★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。アドレスは http://www.fas-21.com/ です。もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。 |
木製3重サッシの有効性について<NTさん>
某輸入住宅メーカーでは3重木製サッシが評判のようですが、高級な気がしますし、実際、使用している会社も少ないですよね。北陸に住んでいますが、工務店からは樹脂ペアガラスか2重木製をすすめられました。実家が木枠の窓でしたから、アルミクラッドを使用しない木製サッシに憧れていますが、2重を使った友人が、枠がかびたと言っています。
実際、北陸ではどうなのでしょうか? 2重でも十分でしょうか? 3重では金額的に2重木製のどのくらいなのでしょう? 工法は木造在来軸組です。木と珪藻土を主に使います。 お答えいたします ユーロハンズ(株) 小川大輔 電話:0155(28)5083 ホームページ:http://www.eurohands.jp/ はじめまして、ユーロハンズ株式会社(旧社名スキャンコムテック(有)) の代表の小川と申します。どの程度までご参考とアドバイスになるかわかりませんが、木製サッシの特性と優位性、また採用に際しての欠点などもお話させていただけましたら幸いです。北海道をホームグラウンドとしてスウェーデンなどから木製サッシを輸入しています。扱っているのは主に、トリプルガラスタイプの回転サッシ、フィックスサッシ(嵌め殺し)、テラスドア(勝手口)、スライディングサッシ(引き戸)などです。 まず、某ハウスメーカーさんについてはよく存じております。サッシ自体はたいへん優れております。また、家としても全体的に優れたイメージを保つ努力を怠らないメーカーですので、全体的には良いと思われるメーカーのひとつと思います。 北海道では(特に十勝地方、旭川などの極寒地)では、非常にこのタイプのサッシの需要が高く、建築をされる方の大半が検討されると聞いております。現実、私どものホームグラウンドでは、新興住宅地に私どもが輸入したサッシ以外のメーカー、および上記の某メーカーを含めて、たいへん採用は多い地域です。 北海道は地域によっては冬場に−30度にもなり、また夏場も30度を超す、たいへん家にも厳しい土地柄です。樹脂のペアサッシで大半が結露を起こします。木製のペアサッシについては北米の上げ下げ窓が多いため、気密に若干の難点があることも含めて、北欧のサッシのウェートが高くなりつつあります。 サッシ自体の金額という面をお話する前に、サッシ自体が持つペアとトリプルの差、また、そのガラスユニットの構造からくる差、ガラス厚みの差、ガラスの種類の差による性能の大幅な変動があり、同じトリプルでも大幅な差が生まれるため、その点についてもご説明差し上げるのが良いかと思います。 通常の某ハウスメーカーのトリプルガラスユニットは、4ミリのフロートガラスに12ミリの空気層が2層あり、トータル3枚のガラスを使っています。4F−12A−4F−12A−F4 (Aは乾燥空気、Fはフロートガラス)。この場合、熱損失は通常1.86W〜2.02W数値が小さくなったほうが熱が逃げにくいという数値です。俗にLOW−Eガラスといわれるものを採用した場合、4E−12A−4F−12A−F4(EはLOW−Eをさします)の場合、1.32W〜1.45Wまで向上いたします。その空気層のひとつにアルゴンガスという不活性ガスを封入した場合、1.12W〜1.23Wまで、さらに向上いたします。 ただし、アルゴンガスは年間で0.15パーセント強の自然減少が起こるため、早い場合5年、遅くても10年で効果がなくなります。そのため弊社で輸入しているサッシのメイングレードは、4E−12A−4E−12A−E4を基本としています。この場合、熱損失が1.03Wという非常にすばらしい値になります。某ハウスメーカーのサッシに比べ、約半分の損失しかないということになります。同じトリプルでもここまで異なります。トリプルの場合、弊社輸入メーカーですと、最大0.80Wまで可能なガラスを選択できます。ペアガラスユニットですと2.0W以下は珍しく、通常の一番流通しているもので2.80W以上になります。最大でも1.44W程度になります。 木枠については、スウェーデン産のサッシは主に欧州赤松を使っています。北米製のサッシは栂材(ヘム材)シダーウッド(杉材)などが主な材料です。 木目の詰まり方は北欧のほうが成長が遅いこともあり、たいへん木自体に耐久性があります。また北欧のメーカーのほとんどは自然の無害な防腐剤を5ミリ〜10ミリ加圧浸透させているため、非常に持ちが良いという結果も出ています。 約150年以上経った木を伐採し、ラミネートして製造しています。 カビはサッシの配置と屋根からの雨のかかり方、設計によって少なくすることは可能です。北陸の夏場の湿度、冬場の湿度が北海道と比べることはできないとは思いますが、ペアサッシとトリプルガラスサッシの大幅な性能の差がありますので、結露でカビることは北欧製に関しては非常に少ないと感じています。 気候的な厳しさから行けば、トリプルが絶対的に必要とされる土地柄ではないとは思いますが、絶対的な性能はどの地域に行っても変わりませんので、非常にトリプルが優れていると考えます。熱損失が少ないということは、夏場のクーラーの効果も高くなり、たいへんエコロジーでお財布にもやさしいという効果もあります。 北海道でも木造在来に多く採用しております。また、サッシを気密・断熱の良いものにしたから、気密・断熱に優れた家になるわけではなく、全体のバランス、家自体の持つ気密・断熱性も優れていなければ、宝の持ち腐れになります。家はバランスと思っています。 私自身が設計屋ということもあり、どんなにすばらしい素材でもそれを組み込んでいくデザイン力、バランスの取り方に優れていなければ、良い素材が輝きを失ってしまうと思っています。 珪藻土もたいへん湿度をコントロールする良い効果が見込まれる素材ですが、長所短所があり、もっとすばらしいと思っている素材もあります。 まだまだ世界には日本に正しい方法で紹介されていないものも多く、誤解されているもの、高価だと考えられているものが多々あるのが事実です。 お役に立てたでしょうか? あとは少しのお手入れ(車を大切にする程度の)が長持ちの秘訣です。 |
NPO住宅110番はリニューアルいたしました。 |