住宅クレーム110番
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 今春、新築マンションに住み始めたのですが、フローリングが水平になっていないため、家具が前方向に傾いています(高さ約1.8メートルの家具で、壁からの距離差が上と下とで約3センチ)。そのため、各部屋ごとに、家具などがない状態で、床の水平レベルを測定したところ、ともに部屋の中心と壁際との高低差が約1センチほどありました(「バリアフリー」で高さは同じはずですが、各部屋同士の高さにも差があります)。
 当初、販売業者、建設業者の方は床構造が「乾式二重床」のため、スラブ、パーチクルボードが沈んでしまうので仕方がないという説明でしたが、納得いかなかったため張り替えさせました。しかし、結果は、多少は良くはなっているものの、それでもまだ傾いています。また、張り替え後、建築士の方に依頼をし、調査していただいたところ、「特に生活に支障はないが、危険である」という結果が出されました。
 現在も、販売業者、建設業者の方とどのようにするか話をしているのですが、原因がわからない以上、何度、張り替えを行っても同じような気がします。そこで、お伺いしたいのですが、「乾式二重床」では家具が傾いてしまうのは仕方のないことなのでしょうか? また、考えられる原因は何がありますでしょうか?
 
 「乾式二重床」のパーチクルボードは、20ミリ、30ミリ、40ミリなど用途に合わせて種類があります。20ミリは畳の下地の場合、30ミリは一般の洋室など、40ミリは公共工事の床に使ったりします。今回の場合、30ミリを使っていると思われます。フローリング仕上げの場合、パーチクルボードの上に直に貼るのが一般的です。ビニール床シートやじゅうたんの場合、5.5ミリ程度のベニヤを下張りしているのが一般的です。まずは、パーチクルボードの厚さを確認してみてください。
 「乾式二重床」では家具が傾いてしまうのは仕方のないことか?…ということですが、メーカーによって多少違いはあるかもしれませんが、パーチクルボードの、たわみはゼロではありません。一点に400キログラムの集中加重をかけて7.5ミリ以下のたわみのものが合格としているメーカーもあります。家具は集中加重にはならないでしょうし、高さ約1.8メートルの家具で壁からの距離差が上と下とで約3センチというのは、大き過ぎると思います。
 910×910のパネルに脚が5本ついていると思いますが、特に加重の掛かることがわかっていれば、脚を増やすなどの補強する方法もあります(また張り替えることになってしまうでしょうが)。
 地震時の家具の転倒による災害も考えて、3センチもの隙間をそのままにしておくのは、確かに危険な状態と思います。早速にでも、固定することをお勧めします。



 はじめまして。
 家を買って1年半がたつのですが、どうも揺れすぎるような気がするのですが、測定はできないものでしょうか? 3階で寝ていて、階段の上り下りでも揺れを感じるし、もちろんちょっと風が吹けば、台風かと思うような揺れを感じるときもあります。建売だとこんなものなのでしょうか?
 田舎の家しか知らないので、建売だとこんなものなのかもしれませんが、最初に建築屋ともめたので、やから扱いされるのも嫌ですし、数字的に測定できないものでしょうか?
 
 地盤波長といって、地盤にはそれぞれの特性が存在します。地震の際に、その地盤の上に建築されている工作物に伝える振動の波長が、地盤ごとに異なります。地盤によっては、ゆらゆらと大きく揺れる特性の地盤や、小さく細かく揺れる特性があります。建築物もこの特性に合わせて建物の構造を工夫する技術が確立しています。例えば小さく細かく揺れる地盤には、体力壁の倍率を小さくする。逆に大きく揺れる地盤には、体力壁の倍率を大きくするなどの工夫を行えば、効果的な耐震構造の家を造ることができます。
 本件は建売住宅ですから、このような地盤波長を考慮していない建物であると思います。また、ゆらゆら大きく揺れる特性を持った地盤であると思われます。この場合、確かに揺れは感じますが、意外と地震震動に対し、倒壊や損傷の被害が少ないと言われてます。しかし、不同沈下の恐れはあります。
 調査の方法は、表面波探査方式で行えば、この地盤波長の調査もします。もちろん、数値的な裏づけが添付されます。また地盤調査の結果に基づいた改善仕様(不同沈下防止のためも含む)も作っていただけます。費用は10万円程度です。 調査をされたほうが良いと思います。必要であれば依頼先をご紹介いたします。

★回答者に、もっと詳しく知りたい場合、また、直接聞きたい場合は、回答者のホームページに質問欄があります。 アドレスは http://www.fas-21.com/ です。 もちろん住宅110番に今まで通り質問していただいても構いません。



<〜NPO住宅110番より〜ここに寄せられたご相談へ、読者のみなさんでご意見・アドバイスをいただける方、メールをお寄せください。>

 まだ住宅クレームではないのですが、お知恵を拝借できればと思って、こちらへ寄稿させていただいています。
 条件付土地での売建物件を購入しました。こういう物件のご多分にもれず、いわゆる「条件付のフリープラン」で、「建築業者の指定する標準仕様」内であれば、建物価額はまるごと決まってるという物件です(その標準仕様もずいぶんとアバウトなものしか提示されていないのですが…)。ちなみに、建物の坪単価は約58万程度です。
 条件付ですので、設計士も自動的(?)に連れてこられ、否応なしに間取り打ち合わせに突入しました。すったもんだしながら間取りが決定した日、その設計士が何気なく言った一言がひっかかっています。「これでもうお会いするチャンスはなくなると思いますが…」。
 当方も泥縄式にいろいろ勉強していたのですが、建築の際の施工監理は通常は設計者が行うはずですよね?
 当然、施主である私たちは工事現場に足しげく通うつもりですし、本当に監理をするつもりであれば「現場でまたお会いすることもあると思いますが」というせりふになったのではないでしょうか? いわば、建築業者お抱えの設計士ですので、あとは現場監督(というか下請け工務店)に丸投げとなってしまうような気がします。
 仲介業者に設計監理について確認したところ、「監理」と「管理」の違いすらわからないようで、「設計や施工のかんりは建築業者がちゃんと現場でやりますよ」と繰り返すばかり(どっちの「かんり」なのか、言ってる方もわかってないのでは…)。
 売建物件を手がけていらっしゃる業者様や、売建物件を購入された経験者の方、適正な監理がされているかどうか、また、こういう時、ちゃんとやってくれるものかどうか、教えていただけないでしょうか?




 通常マンションを計画するに当たって商品計画を行います。敷地の容積率・法規制等により建物の規模が決まります。計画地の状況、ターゲットとなる顧客層に合わせて住戸の規模・グレード等が設定され、これに合わせて設計が進められてゆきます。厨房の熱源をガスにするか電気にするかも、早い時点で決められます(電気でもガスでも使えるような設計はやったことがありません)。その後、設計図が出来上がり、施工業者に見積もりさせ、契約・着工となります。したがって以下の理由により、ガスレンジを、電気式レンジに替えるのは非常に難しいわけです。
  1. 電気式レンジに替えると、その住宅の電気容量が増える。また、分電盤も設計変更し、大容量のものにしなければならない。場合によっては、分電盤が取り付け予定位置に付かないことがある。
  2. そのため全体の電気設備の幹線(水道設備の本管に当たるもの)が間に合うか検討し、場合によっては幹線を太くしなければならない。
  3. 電気レンジのオプションが多くなると、トランスの容量も大きくなり、電気室にトランスが納まらなくなる。設計完了後に電気室を大きくすることは、ほとんど不可能。
  4. 上記のようにオプションに対応するためには、大変な手間がかかります。この他レンジを替えると、キッチンユニットに納まるかの検討も必要です。
  5. 工事費の算定も面倒です(ガス工事の減額も算定が必要です)。

 マンションのオプション対応が、車ほど進んでいないとのことですが、車のオプションも基本的には外から取り付けるものだけについて対応しています。マンションの場合も仕上げの壁紙等、あとから取り付け可能なものについては、対応している場合もあります。また、フリープラン方式で自由な間取りを売り物にしているマンションもあります。その場合でもご希望のようなオプションに応じられるものは、ないでしょう。電気温水器で設備してあるマンションをガス湯沸し機にしてほしいと要求しても、断られるのと同じです。基本的にはマンションはシステムも含めた商品計画を行って作られているものです。しかも価格は大きくても、大は数百戸から小さければ十数戸の販売規模です。何万台も売れる自動車とは、同じ製造物でも、計画から完成・販売までのものの考え方が違います。
 参考になったでしょうか。




 換気設備の設計の際には、必ず給気(入ってくる空気、吸気は間違いです)と排気を考えます。換気扇等による排気設備を設ける場合は、給気設備が必要です。給気設備にはファン(給気用換気扇)、換気用レジスター(外壁面についている、丸型・核型の換気口)、ガラリ(窓やバルコニー出入口のガラスの上部につけてあることが多い)があります。手で開閉できるようになっています。排気ファンを運転すると、ここから排気用の空気が供給されるわけです。この給気口がなかったり、しまっていたりすると、空気の入口がないため、サッシやドアの隙間から空気が吸い込まれ、場合によってはヒューという音が発生します。そして窓を開ければ給気量が確保されるので音が消えるわけです。
 従って原因として、
(1)給気口、給気設備の有無:A)ない場合…これは設計の問題です。設計者に見解を求めてください。B)ある場合…シャッターを開けて使ってください。
(2)給気口フィルター(虫除け)の目詰まり:給気口を開けても音がする場合は、給気口についているフィルターを清掃してください。換気用レジスターの場合は、中にフィルターがついているので、室内側または屋外側のグリルを外して清掃してください。これが詰まると、サッシ・ドアの隙間から吸い込むので音がします。換気設備の内容が不明ですのでなんとも言えませんが、設計図に合ったものを取り付けなかったこと以外は施工上の問題とはいえません。
 なお、給気口があっても、厨房・浴室・トイレの同時運転対応の大きさとはなっていないことが多いので、この場合は排気用換気扇を同時に運転すると音がします。また、強風時にも音がすることがあります。




 ご希望の内容はよくわかります。ただ、マンションの場合、建物全体の「電気容量」の問題があり、IHヒーターを希望される住戸のみの問題ではなくなってきます。
  1. その住戸のみであれば可能だが、他住戸の方が、IHヒーターを希望された場合、内部の電気配線のみならず、建物内の変電設備の変更まで必要となる。
  2. 企画当初より、IHヒーター対応の設計を行っていれば問題ないが、設計完了以降や建設途中での変更は非常に難しい(先程の変電室<変電設備>の変更や、配線の変更に伴う、設計変更、工事費の変更、全体工期の問題等が複雑に絡みます)。
  3. 私も、住戸数にして数千戸のマンションを設計してきましたが、先日、初めてIHヒーター対応のマンション(オプションとして。オール電化マンションなら、以前からあります)を設計しました(残念ながら、大阪府下です)。○高齢化に伴う安全性 ○住戸内での空気の汚れ ○キッチンの汚れ防止 等々から、どの程度のオプション希望が発生するか、興味のあるところです。

 マンション購入希望者の方々の「希望」が「顕在化」すれば、IH対応マンションを創ることは簡単なことです。設計者提案を行っても、ディベロッパー側の判断で「不要」とされることがほとんどです。




 質問者の住戸平面が不明ですが、間違いなく、レンジフード排気による外気の侵入が原因と考えられます。

1.玄関ドアの改造は不可
○建築基準法、消防法上の問題。
○玄関ドアからの、外気取り入れは考えるべきではない。

2.台所に近い箇所からの、外気取り入れを考えるべきです。ただし、
○外壁に穴をあけ、外気取り入れ用のレジスター(換気口)を取り付けるのが一般的ですが(質問者の住戸にも取り付けられているのではないか、と思うのですが)、外壁への穴あけは「共用部分の改造」に当りますので、「管理組合」(区分所有者)の了解が必要です。
○外部建具(サッシ)に、換気口が付いている場合もありますが、換気量が不足していることが多いので、「窓用換気扇」を取り付ける”手”もあります。この場合は、サッシも傷付けないので、管理組合の了承を受けることもないと思います。しかし、外部の騒音は気持ち良く入ってきますので、レンジ使用後は、サッシを閉めておく必要があります。




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